車中避難は ば・す・だ・し・で 誤った方法では命の危険
被災生活で、車中避難をする人が増えています。しかし、車中避難には、エコノミークラス症候群など、命に関わる危険も。アウトドア防災ガイドの、あんどうりすさんに注意点を聞きました。
日恵野香記者
アウトドア防災ガイド あんどうりすさん
自身の阪神・淡路大震災被災経験やアウトドアの知識を生かして啓発活動を行う
コロナ対策やプライバシーの確保などで、車中泊を検討する人もいると思います。誤った方法をとると、健康上の危険を招くこともあります。国や自治体は積極的には推奨していません。自宅の駐車場やキャンプ場などで体験しておくのを勧めます。
事前に体験お勧め 車とつながるテントの活用も
日中は体動かす
車中避難の注意点は「ばすだしで」で覚えましょう。
「ば」は場所選びです。
普段は安全で快適そうに見える場所でも、災害時には利用できない可能性があります。ハザードマップで、浸水や洪水、土砂災害などの危険がない、避難場所と避難経路を確認しましょう。安全で、水道とトイレが使える場所を探してください。
「す」は、水平です。
車中泊で一番気をつけなければいけないのは、エコノミークラス症候群です。
狭い場所に長時間座って体を動かさないと、血栓ができて肺に詰まり、肺塞栓などを誘発する恐れがあります。日中はできるだけ車外で体を動かし、車内で過ごすのは休む時に限る方が良いでしょう。
座席を倒して水平にし、隙間に緩衝材やクッションを詰めます。脚を伸ばして水平に寝られ、寝返りできる空間が確保できないのであれば、車中避難はおすすめしません。車とつなげられるテントなどを活用する方法もあります。
「だ」は断熱です。
車は熱伝導率のいいガラス・鉄でできているので、熱しやすく冷めやすいです。冬場は屋外のテント内よりも寒く、夏場は50度超になることもあります。
足元や寝床の下には銀マットなどの断熱材を敷きます。プチプチした空気緩衝材や段ボール、ヨガマットなども使えます。車のトランクに備えておきましょう。
冬は冷気を防ぐために、特に断熱します。窓には銀マットや空気緩衝材をはがしやすいテープなどで貼り、扉には、段ポールをギュッと押しつけて密着させます。
夏場は、昼間のフロントガラス部分からの熱でやけどする危険もあるので気をつけましょう。フロントガラス用の断熱のサンシェードは、ホームセンターなどで購入できます。
「し」は、収納です。
狭い車内では、鍵や携帯電話、財布など、荷物が行方不明になりがちです。出入りの際に貴重品を落とさないために、つり下げて使うウォールポケットなどが便利です。
断熱した座席の下も、収納スペースに有効活用(本人提供)
「で」は電源です。
電源の確保ができれば、スマホやパソコンで情報収集や救助を求める発信ができます。モバイルバッテリーは必須です。
電気自動車やハイブリッド車は、延長コードを使って室内の家電を動かせる場合があります。車の説明書を確認しましょう。
ガソリン車は、走行中やアイドリング状態の時に、シガーソケットに差し込む型の機器を使えばスマホやパソコンが充電できます。
アイドリング状態は、大雪の場合、一酸化炭素中毒の危険があります。マフラー周辺は徹底的に除雪を。
情報届きにくい
災害時はガソリン不足が問題になり、移動が困難になります。ガソリンが半分になったら給油する習慣をつけておくと安心です。
車中避難では、配給など必要な情報が届きにくいという課題があります。避難所に足を運ぶ、自治体の公式ツイッターをフォローする、防災ラジオを聴くなど、意識的に情報を確認しましょう。
防災の備えを特別なものと考えず、日々の暮らしの中に取り入れると、災害時に新たにやるべきことが減り、心身の負担も減らせます。いろいろ試して、あなた流の防災術を工夫してみてください。
【車中避難持ち物リスト】
□携帯トイレ
成人のトイレの使用回数は1日平均5回。家族の人数×必要日数分の確保を。持ち運びできる簡易トイレにもなる折り畳みイスもあると、さらに安心。
□ヘッドライトやLEDランタン
着替えや車中で過ごす際や、夜間のトイレ外出などに。
□モバイルバッテリーやポータブル電源
スマホやパソコンの電源確保に。
□寝袋
吸湿に優れ、小さくまとまる寝袋を。布団では、体温と車内の温度差により結露が発生して湿ります。
□弾性ストッキング
むくみやエコノミークラス症候群防止に。
「しんぶん赤旗」日曜版 2021年3月7日付掲載
避難所のプライバシー確保はかなり改善されつつありますが、いろいろ便利と車中避難・車中泊をする人がいます。
「ば」は場所選び。「す」は水平。「だ」は断熱。「し」は収納。「で」は電源。
ヘッドライトやLEDランタン、モバイルバッテリーやポータブル電源、寝袋などもそろえておくと便利。
被災時はガソリンスタンドに車が並ぶことも。常に半分以上は入れておくように心がける。
被災生活で、車中避難をする人が増えています。しかし、車中避難には、エコノミークラス症候群など、命に関わる危険も。アウトドア防災ガイドの、あんどうりすさんに注意点を聞きました。
日恵野香記者
アウトドア防災ガイド あんどうりすさん
自身の阪神・淡路大震災被災経験やアウトドアの知識を生かして啓発活動を行う
コロナ対策やプライバシーの確保などで、車中泊を検討する人もいると思います。誤った方法をとると、健康上の危険を招くこともあります。国や自治体は積極的には推奨していません。自宅の駐車場やキャンプ場などで体験しておくのを勧めます。
事前に体験お勧め 車とつながるテントの活用も
日中は体動かす
車中避難の注意点は「ばすだしで」で覚えましょう。
「ば」は場所選びです。
普段は安全で快適そうに見える場所でも、災害時には利用できない可能性があります。ハザードマップで、浸水や洪水、土砂災害などの危険がない、避難場所と避難経路を確認しましょう。安全で、水道とトイレが使える場所を探してください。
「す」は、水平です。
車中泊で一番気をつけなければいけないのは、エコノミークラス症候群です。
狭い場所に長時間座って体を動かさないと、血栓ができて肺に詰まり、肺塞栓などを誘発する恐れがあります。日中はできるだけ車外で体を動かし、車内で過ごすのは休む時に限る方が良いでしょう。
座席を倒して水平にし、隙間に緩衝材やクッションを詰めます。脚を伸ばして水平に寝られ、寝返りできる空間が確保できないのであれば、車中避難はおすすめしません。車とつなげられるテントなどを活用する方法もあります。
「だ」は断熱です。
車は熱伝導率のいいガラス・鉄でできているので、熱しやすく冷めやすいです。冬場は屋外のテント内よりも寒く、夏場は50度超になることもあります。
足元や寝床の下には銀マットなどの断熱材を敷きます。プチプチした空気緩衝材や段ボール、ヨガマットなども使えます。車のトランクに備えておきましょう。
冬は冷気を防ぐために、特に断熱します。窓には銀マットや空気緩衝材をはがしやすいテープなどで貼り、扉には、段ポールをギュッと押しつけて密着させます。
夏場は、昼間のフロントガラス部分からの熱でやけどする危険もあるので気をつけましょう。フロントガラス用の断熱のサンシェードは、ホームセンターなどで購入できます。
「し」は、収納です。
狭い車内では、鍵や携帯電話、財布など、荷物が行方不明になりがちです。出入りの際に貴重品を落とさないために、つり下げて使うウォールポケットなどが便利です。
断熱した座席の下も、収納スペースに有効活用(本人提供)
「で」は電源です。
電源の確保ができれば、スマホやパソコンで情報収集や救助を求める発信ができます。モバイルバッテリーは必須です。
電気自動車やハイブリッド車は、延長コードを使って室内の家電を動かせる場合があります。車の説明書を確認しましょう。
ガソリン車は、走行中やアイドリング状態の時に、シガーソケットに差し込む型の機器を使えばスマホやパソコンが充電できます。
アイドリング状態は、大雪の場合、一酸化炭素中毒の危険があります。マフラー周辺は徹底的に除雪を。
情報届きにくい
災害時はガソリン不足が問題になり、移動が困難になります。ガソリンが半分になったら給油する習慣をつけておくと安心です。
車中避難では、配給など必要な情報が届きにくいという課題があります。避難所に足を運ぶ、自治体の公式ツイッターをフォローする、防災ラジオを聴くなど、意識的に情報を確認しましょう。
防災の備えを特別なものと考えず、日々の暮らしの中に取り入れると、災害時に新たにやるべきことが減り、心身の負担も減らせます。いろいろ試して、あなた流の防災術を工夫してみてください。
【車中避難持ち物リスト】
□携帯トイレ
成人のトイレの使用回数は1日平均5回。家族の人数×必要日数分の確保を。持ち運びできる簡易トイレにもなる折り畳みイスもあると、さらに安心。
□ヘッドライトやLEDランタン
着替えや車中で過ごす際や、夜間のトイレ外出などに。
□モバイルバッテリーやポータブル電源
スマホやパソコンの電源確保に。
□寝袋
吸湿に優れ、小さくまとまる寝袋を。布団では、体温と車内の温度差により結露が発生して湿ります。
□弾性ストッキング
むくみやエコノミークラス症候群防止に。
「しんぶん赤旗」日曜版 2021年3月7日付掲載
避難所のプライバシー確保はかなり改善されつつありますが、いろいろ便利と車中避難・車中泊をする人がいます。
「ば」は場所選び。「す」は水平。「だ」は断熱。「し」は収納。「で」は電源。
ヘッドライトやLEDランタン、モバイルバッテリーやポータブル電源、寝袋などもそろえておくと便利。
被災時はガソリンスタンドに車が並ぶことも。常に半分以上は入れておくように心がける。
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