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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

関西財界と万博カジノ~その狙い① 6本の「連名要望書」から見える2大事業は最初からセット

2024-06-13 06:36:30 | 政治・社会問題について
関西財界と万博カジノ~その狙い① 6本の「連名要望書」から見える2大事業は最初からセット

維新の大阪府・市政が自公政権とともにすすめる「大阪・関西万博」が大揺れです。
日本共産党大阪府委員会は昨年8月、「2025年大阪・関西万博中止を求める声明」を発表しました。「パビリオン建設の遅れと建設労働者への長時間労働のおしつけ」「膨れあがる建設費と関連事業費」「危険な夢洲での開催」「背景にあるカジノ建設」を理由にしたものです。その3カ月後、共同通信の世論調査で「大阪・関西万博は不要」との回答が「68・5%」ました。
今年1月に能登半島震災があり、「万博より被災地支援を」の声が大きく高まりました。そして3月28日、夢洲1区でガス爆発事故が起こりました。「いのち輝く」どころか、「命を危険にさらす」事態なのに、府内の児童・生徒を「無料招待」するという吉村洋文知事の姿勢に教育関係者から懸念と批判がうずまいています。



万博関連事業について関西財界と大阪府・市などによる連名の要望書=2024年1月

中止できない理由
これだけ問題山積の大阪・関西万博をなぜ中止できないのか。中止しようとしないのか―その背景、ねらいをリアルに語る文書があります。
21年7月から24年1月まで半年刻みに6回出された政府に対する「大阪・関西万博関連事業に関する要望書」(以下「連名要望書」)。出したのは、吉村洋文・大阪府知事、横山英幸・大阪市長、三日月大造・関西広域連合長、松本正義・関西経済連合会会長、鳥井信吾・関西商工会議所会長(大阪商工会議所会頭)、角元敬治、宮部義幸の両関西経済同友会代表幹事、十倉雅和・日本国際博覧会協会長(肩書はすべて今年1月時点)。関西財界と大阪府・市など行政トップによる連名です。
これに政府(内閣官房国際博覧会推進本部)は21年8月「大阪・関西万博に関連するインフラ整備計画」をはじめ、「アクションプラン」をver.1(同年12月)からver.4(23年6月)まで出して応えています。



万博会場の建設現場=大阪市・夢洲

関西同友会が提言
そこから見えるのは「万博」を中止できない最大の理由は「カジノ」だということです。
関西財界にとって「万博」と「カジノ(IR)」は初めから一体でした。「連名要望書」も、「夢洲(IR)と関西・西日本等を結ぶ水上観光ルートを構築し、さらなる広域観光が促進」「万博後のIR開業等の影響も踏まえ、関空の将来需要を精査中」など「IR」は当然の前提です。
橋下徹氏の大阪市長当選時に「大阪にふさわしいIR(統合型リゾート)の誘致」を提言した関西経済同友会は、12年3月に「関西統合型リゾート『KIR』実現に向けて」を打ち出し、以後毎年IR誘致への提言を出していきます。
「関西経済の地盤沈下…『負のスパイラル』に陥っている」現状のなかで、「関西一円に経済効果をもたらすような具体的な活性化策がないか」を検討した結果、「統合型リゾートの誘致が有効」というものでした。
関西財界のIR構想は当初、MICE(企業等の会議、報奨・研修旅行、国際会議、展示会・イベントの頭文字を並べたもの)の展示場面積は35万平方メートル(当時の世界2位を上回る)でした(実際の計画は2万平方メートル。大阪市のインテックス大阪の7万平方メートルをも大きく下回るものです)。
関西経済同友会で「IR」提言を発表したのは「万博&MICE・IR推進委員会」。名称の通り、「万博&カジノ」は最初から一体でした。提言は「一過性のイベントではなく、未来社会、未来都市を創造する計画は恒久的な波及効果が得られ、国際博覧会の候補地選定において有利」「インフラ整備の共通化を図ることにより双方のコストダウン、国際博覧会のコア施設をレガシーとして活用」とねらいを描いていました。
驚くべきことに、「健全なゲーミングは、ストレス発散の一つとして健康の保持増進の効果があると想定される」とさえ書き、ギャンブル依存症問題などはまったく視野の外です。カジノにすがる関西財界には、「三方よし」(売り手よし、買い手よし、地域よし)の精神や「浮利を追わず」(住友の事業精神)はどこへ行ったと問わなければなりません。
関西財界は大阪府・市と一体に、大阪・関西万博で何をねらい、何を政府に求めているか、連載でみてみます。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年6月8日付掲載


21年7月から24年1月まで半年刻みに6回出された政府に対する「大阪・関西万博関連事業に関する要望書」(以下「連名要望書」)。
出したのは、吉村洋文・大阪府知事、横山英幸・大阪市長、三日月大造・関西広域連合長、松本正義・関西経済連合会会長、鳥井信吾・関西商工会議所会長(大阪商工会議所会頭)、角元敬治、宮部義幸の両関西経済同友会代表幹事、十倉雅和・日本国際博覧会協会長(肩書はすべて今年1月時点)。関西財界と大阪府・市など行政トップによる連名。
関西財界にとって「万博」と「カジノ(IR)」は初めから一体。
「関西経済の地盤沈下…『負のスパイラル』に陥っている」現状のなかで、「関西一円に経済効果をもたらすような具体的な活性化策がないか」を検討した結果、「統合型リゾートの誘致が有効」というもの。

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