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日本共産党兵庫県委員会で働いています。

変わる高校野球① 神奈川・市ケ尾高校 米国流「球数制限」導入

2021-12-12 07:14:09 | スポーツ・運動について
変わる高校野球① 神奈川・市ケ尾高校 米国流「球数制限」導入
高校野球に古くからある指導や練習を見直す指導者やチームが、各地で出てきました。指導が厳しく、けがが多い、練習が長いというイメージが強かった高校野球に起こっている変化を追いました。(山崎賢太)

1試合の投球数に応じた休養日を定め、「独自の球数制限」をつくるチームがあります。
神奈川県立市ケ尾高校(横浜市青葉区)野球部のロッカーには「市ケ尾ピッチスマート」と名付けられた表が張り出されていました。
2、3年生だと試合で106球以上投げた投手は休息日(投球をしない日)を5日とること。85球までなら3日、70球までなら2日―と、細かく定められています。公式戦だけでなく練習試合やシート打撃(実戦練習)での全力投球にも適用しています。
菅澤悠監督(34)=同校保健体育教諭=が、赴任した5年前に設定しました。投手の投げ過ぎを防ぐため、投球後の回復期間が必要と感じたといいます。「前任校で指導していた頃から連投をさせない方針はありましたが、はっきりした基準がなかった。アメリカの指導で使われるピッチスマートという目安を知り、それをもとに日本の高校生でも可能な球数を探り、何度か改めながらいまの形に落ち着いています」



練習で打撃投手をつとめる菅澤監督(右)=市ケ尾高校グラウンド

投手陣が成長
基準があると先発して長く投げた投手の連投がなくなり、練習試合でも多くの投手が登板できます。そのため、「控えだったり、3番手以降だった投手がよく伸びるようになりました」。
この球数制限を導入してから、チームは公式戦で結果を残すようになりました。2018年夏の北神奈川大会ではベストー6に進出。勝ちあがりを想定した投手のローテーションを組み、ノーシードから4回戦まで進みました。
エースに頼るのではなく多くの投手に役割があり、総合力の高い投手陣をつくることができたのです。「試合に出て課題を見つけることで練習に目的が生まれ、上達につながります」
ある2年生投手は、この環境で自分の体をコントロールする技術が身についたと語ります。「硬式野球クラブでプレーした中学生の頃は投げ過ぎて肘を痛め、調子が戻らなくなることがありました。ここでは投げ過ぎることがないので、投球後のアイシング、ストレッチ、休養で本来の調子に戻すことができる。不安のない状態で投げられるようになりました」

指導者が学ぶ
菅澤監督が米国のピッチスマートを知ったのは、指導者向けの研修会に参加したときでした。また、栄養についての講習を受けたり、科学的根拠に基づいた指導について情報交換したりするオンラインサロンなどを活用し、新しい理論や情報を学び、取り入れるものを選んでいます。
球数制限に対し“エースを完全燃焼させるべき”という声が上がることがあります。このことについて尋ねたときの、菅澤監督の答えが印象的でした。
「そのエースが完全燃焼したところで、他の選手は不完全燃焼ですよね。他の投手が投げても大丈夫という状況をつくるのが指導者の仕事だと思います。エースがたくさん投げて疲れたなら、その日は違う投手で投げて、次の試合はエース頼むよ、と送り出すのがうちのチームです。途中で負けることもありますが、1人のいい投手に無理させれば勝てるのかというと、それはわからない話なので」
取材した日は平日の夕方。練習開始から1時間ほどでグラウンドの日が落ち、あっという間に下校時刻になりました。
「限られた時間をどう使うのかも勉強です。限られているからこそ、何事も根拠があることをやらないと」
従来の野球指導を見直し、工夫しながら取り組むチームの挑戦は続きます。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年12月8日付掲載


投手の投球制限。高校野球では、画期的ですね。
エースだけでなく、控えの投手や三番手などの成長の機会を与えるんですね。

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