揺らぐ地域スポーツ⑦ 温水プール開設 区民の熱意 行政動かす
「プールができて小躍りするくらいうれしい。本当にありがたい」。2月にオープンした東京都板橋区小豆沢(あずさわ)体育館の温水プール。自転車で10分の場所に住む女性(71)は興奮気味に語りました。
このプールは区民が声を上げ続け、区政を動かし実現しました。
以前、同地には1968年開設の区営屋外プールがありました。区民に親しまれていたものの、施設が古くなり2008年に利用休止へ。その後、野ざらし状態になっていました。
2月にオープンした板橋区の小豆沢プール
粘り強く署名
最初に署名を集めだしたのが10年。日本共産党の荒川なお区議が議員になる前に運動を立ち上げました。「プールを使えるようにしてほしい」との運動は広がり、年末に500人以上の署名を区に提出します。
すると翌11年、区が整備計画を示し、区長も「14年度に開設したい」と議会で表明しました。
しかし、喜びもつかの間。状況が暗転します。区は12年、財政難などを理由に計画をストップさせてしまいました。
これには地域住民だけでなく障害者団体、スポーツ団体からも厳しい声が上がります。再び立ち上がったのは区民でした。その中心だった吉田忠治さん(76)は振り返ります。
「近所の高齢者から『別のプールまで月2、3回通っている。でも、いつまで通えるか。元気なうちに小豆沢につくって』と声をかけられた。なんとかしなきゃと思いましたね」
スポーツ愛好者10人に呼び掛けて、署名を取ることにしました。14年7月から集め始め、530人あまりになりました。
「私の目の黒いうちに実現してほしい」「近所の子どもたちのために」。そんな切実な声がいくつも寄せられたといいます。
15年6月、吉田さんらはそれを区に提出し、交渉も行いました。すると次年度の区の基本計画に盛り込まれ、再び建設が動き出しました。区民の熱意が行政を動かした形です。
障害者更衣室
この間、日本共産党の荒川区議や小林おとみ区議が再三、議会で採り上げてきたことも大きな力となりました。
荒川区議は障害者団体の再三の要望を粘り強く議会に届けました。すると車いすも使用できる障害者更衣室が、区内で初めて設置されました。
「一連の経過は住民の声がいかに区政を動かす力になったか。その大切さを改めて実感した」と荒川区議。小林区議も「この成果を力に今後も住民の声をもっと議会に届けていきたい」と声をはずませます。
いま全国の公共スポーツ施設は減少の一途をたどっています。1996年の6万6千から20年間で5万3千施設になっています。一方、スポーツ基本法では、スポーツは「人々の権利」と定め、国と地方自治体にたいし、身近な施設の整備を求めています。
スポーツをする環境はいまだお寒い状況を脱し切れていません。しかし、その現実を変えていく確かな力は、住民のそれを求める声にほかなりません。(和泉民郎)(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年4月9日付掲載
新たにスポーツ施設を作るってことも市民運動で出来るんですね。それもバリアフリー対応で…。
「プールができて小躍りするくらいうれしい。本当にありがたい」。2月にオープンした東京都板橋区小豆沢(あずさわ)体育館の温水プール。自転車で10分の場所に住む女性(71)は興奮気味に語りました。
このプールは区民が声を上げ続け、区政を動かし実現しました。
以前、同地には1968年開設の区営屋外プールがありました。区民に親しまれていたものの、施設が古くなり2008年に利用休止へ。その後、野ざらし状態になっていました。
2月にオープンした板橋区の小豆沢プール
粘り強く署名
最初に署名を集めだしたのが10年。日本共産党の荒川なお区議が議員になる前に運動を立ち上げました。「プールを使えるようにしてほしい」との運動は広がり、年末に500人以上の署名を区に提出します。
すると翌11年、区が整備計画を示し、区長も「14年度に開設したい」と議会で表明しました。
しかし、喜びもつかの間。状況が暗転します。区は12年、財政難などを理由に計画をストップさせてしまいました。
これには地域住民だけでなく障害者団体、スポーツ団体からも厳しい声が上がります。再び立ち上がったのは区民でした。その中心だった吉田忠治さん(76)は振り返ります。
「近所の高齢者から『別のプールまで月2、3回通っている。でも、いつまで通えるか。元気なうちに小豆沢につくって』と声をかけられた。なんとかしなきゃと思いましたね」
スポーツ愛好者10人に呼び掛けて、署名を取ることにしました。14年7月から集め始め、530人あまりになりました。
「私の目の黒いうちに実現してほしい」「近所の子どもたちのために」。そんな切実な声がいくつも寄せられたといいます。
15年6月、吉田さんらはそれを区に提出し、交渉も行いました。すると次年度の区の基本計画に盛り込まれ、再び建設が動き出しました。区民の熱意が行政を動かした形です。
障害者更衣室
この間、日本共産党の荒川区議や小林おとみ区議が再三、議会で採り上げてきたことも大きな力となりました。
荒川区議は障害者団体の再三の要望を粘り強く議会に届けました。すると車いすも使用できる障害者更衣室が、区内で初めて設置されました。
「一連の経過は住民の声がいかに区政を動かす力になったか。その大切さを改めて実感した」と荒川区議。小林区議も「この成果を力に今後も住民の声をもっと議会に届けていきたい」と声をはずませます。
いま全国の公共スポーツ施設は減少の一途をたどっています。1996年の6万6千から20年間で5万3千施設になっています。一方、スポーツ基本法では、スポーツは「人々の権利」と定め、国と地方自治体にたいし、身近な施設の整備を求めています。
スポーツをする環境はいまだお寒い状況を脱し切れていません。しかし、その現実を変えていく確かな力は、住民のそれを求める声にほかなりません。(和泉民郎)(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年4月9日付掲載
新たにスポーツ施設を作るってことも市民運動で出来るんですね。それもバリアフリー対応で…。
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