きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

職場のトラブルQ&A② 正社員と仕事は同じなのに手当てがない 非正規との不合理な格差禁止

2019-04-22 14:09:54 | 職場のトラブルQ&A
職場のトラブルQ&A② 正社員と仕事は同じなのに手当てがない 非正規との不合理な格差禁止
今回は、「正社員」と契約社員など「非正規社員」の格差についての相談を取り上げます。
 運送会社で1年契約のトラック運転手として働いています。仕事の内容や転勤がないことなどは正社員の運転手と全く同じです。それなのに、正社員には払われている通勤手当、無事故手当、皆勤手当が、私たち契約社員には支払われていません。これっておかしくないですか。

 手当の支給に違いを設けるのは、労働契約法20条の違反となる場合があります。
同条は、有期雇用の契約社員など非正規社員の労働条件が、同じ会社の正社員の労働条件と異なる場合、その違いが、①仕事の内容②仕事の内容や配置が変わる範囲③その他の事情―を考えて「不合理なものであってはならない」と定めています。
「不合理なもの」とは法律的な表現ですが、「納得できる理由がないもの」というほどの意味でしょうか。




あなたの場合は、仕事の内容や転勤がないことなどが正社員と同じということですから、そもそも、正社員との間で差をつける「合理的な理由」は考えにくいと思われます。
特に、通勤手当や無事故手当や皆勤手当といった手当の性格や目的を考えると、契約社員と正社員の間で必要性や程度が変わるものではありません。
不合理な違いについては、損害賠償として支払いを求めることができます(ハマキョウレックス事件最高裁判決・2018年6月1日)。会社に是正と差額の支払いを求めてみてはどうでしょうか。
会社が応じない場合は、都道府県労働局の相談、都道府県等の相談窓口、法テラスなどの法律相談などで相談してみてください。
今回の「働き方改革」でも、「同一労働同一賃金」の問題が大きく注目されました。「同じ中身の仕事をする労働者には、同じ水準の賃金を支払う」という原則です。
国会では有期契約社員、パート社員、派遣労働者について、それぞれ正社員との間の不合理な格差を禁止する法律ができました。
基本給、賞与、各種手当、福利厚生等について、格差が問題となるケース、ならないケースを示したガイドライン(指針)も策定されました。(表)


あってはならない手当◆時間外労働、深夜労働、休日労働の手当
◆食費の負担補助手当
◆通勤手当、出張手当
◆単身赴任手当、地域手当
福利厚生◆福利厚生施設や社宅の利用
◆慶弔休暇、健康診断時の勤務免除
正規と非正規の待遇の差 同一労働同一賃金のガイドラインの主な内容
あってもよい基本給能力または経験に一定の違いがある場合は、その違いに応じた墓本給を支給。能力・経験が同じ場合は同一の基本給ボーナス会社の業績への貢献に一定の違いがある場合は、その違いに応じたボーナスを支給。貢献が同じ場合は同一のボーナス


さらに会社側には、待遇の違いやその理由を説明する義務を課しました。また、訴訟よりも負担が軽い「裁判外の紛争解決手続き」も整備されました。会社による自主的な解決の努力義務、都道府県労働局長による助言・指導、労働局での調停制度の導入などです。
今回の改正法の施行は20年4月以降となりますが、それまでは前に述べたとおり、労働契約法20条で対抗できます。
これらを活用し、不合理な格差をなくしていきましょう。
今村幸次郎(弁護士)

「しんぶん赤旗」日曜版 2019年2月17日付掲載


基本給やボーナスに差があってもOKだが、時間外手当や通勤手当、食堂や宿直室などの施設の利用の差別はあってはならない。
もちろん基本給がちがうので、手当の額が違う場合もあります。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿