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日本共産党兵庫県委員会で働いています。

日韓の歴史をたどる⑳ 「皇民化政策」 権利なき「帝国臣民」

2020-04-18 08:49:36 | 日韓の歴史をたどる
日韓の歴史をたどる⑳ 「皇民化政策」 権利なき「帝国臣民」
水野 直樹
みずの・なおき 1950年生まれ。京都大学名誉教授。『創氏改名』、『在日朝鮮人ー歴史と現在』(共著)ほか

一 私共は大日本帝国の臣民であります
一 私共は心を合せて天皇陛下に忠義を尽くします
一 私共は忍苦鍛錬して立派な強い国民となります
これは、1937年10月、朝鮮総督府が制定して朝鮮人に唱えさせた「皇国臣民ノ誓詞」(児童用)である。戦時期朝鮮での「皇民化政策」を象徴するもので、45年の日本敗戦まで、各種の会合、学校の朝礼などで必ずこれを唱え、新聞や雑誌は、これを掲載しなければ発行を許さないという政策が続けられた。



「内鮮一体」の宣伝絵葉書


「皇国臣民ノ誓詞」カード(児童用)(写真はいずれも『図録 植民地朝鮮を生きる』から)

「内鮮一体」唱え 戦時動員を強化
36年に朝鮮総督に就任した陸軍大将南次郎(前関東軍司令官)は「国体明徴」を掲げていたが、37年7月に日中戦争が開始されると、朝鮮での戦時動員体制を強化するため、「内鮮一体」を唱えて朝鮮人の「皇国臣民」化を推し進めた。
その最初の手段として制定されたのが、「皇国臣民ノ誓詞」であった。児童用のほか中等学校生徒や一般人用の「誓詞」も定められたが、これは総督府学務局長の通達で唱えることを指示しただけで、法的根拠のないものであった。
総督府は神社参拝や日常生活での日本語使用などについても、それまで以上に強制的な手法をとりはじめた。「皇国臣民」としての自覚を朝鮮の子どもたちに持たせるために、11年に公布された朝鮮教育令を改定すること、志願兵制度を実施することなどを決め、37年12月に閣議決定した。それを受けて、南総督と拓務大臣は昭和天皇に対して、これらの政策が「朝鮮の日本化」を促進するものであると説明した。皇民化政策は日本全体の政策になったのである。
それまで朝鮮人が通う学校は普通学校、高等普通学校と呼ばれていたが、教育の「内鮮一体」を図るとする朝鮮教育令の改定によって、日本人学校と同じように小学校、中学校に名称が変更された。しかし、日本人と朝鮮人が別々の学校に通う実態はほとんど変わらなかった。
「内鮮一体」を口実として朝鮮語の授業が随意科目とされ、実質的に学校での朝鮮語教育は廃止されることになった。皇民化教育を強化・拡張するため、学校数は戦時期に増え続けたが、義務教育は結局実施されずに終わった。

地域に「愛国班」 創氏改名を強要
日本「内地」で総動員体制が固められていくのに合わせて、朝鮮でも38年7月に国民精神総動員朝鮮連盟が結成された(40年に国民総力朝鮮連盟に改組)。総督府政務総監を頂点に総督府や朝鮮軍(朝鮮駐屯の日本軍)の官僚・軍人が名を連ねた官製団体だったが、下部では地域・職域ごとに連盟が置かれ、最末端には愛国班が組織された。「内地」での隣組に類するもので、神社参拝や国防貯金、金属類の供出など、皇民化政策や戦争協力に動員された。
このような皇民化政策は40年以降、いっそう強化され、朝鮮人経営の朝鮮語新聞の強制廃刊や「創氏改名」が実施されるとともに、労働者や「軍隊慰安婦」の動員、徴兵制の実施などの形で日本の戦争遂行に直接動員されることになる。
「内鮮一体」を掲げた皇民化政策だが、朝鮮人に日本人同様の権利を認めるものではなかった。朝鮮人の側が政治的権利(日本の議会への議員選出権など)や社会的権利(「内地」渡航の制限廃止など)を要求しても、日本政府は決して受け入れようとしなかった。
冒頭に紹介した「皇国臣民の誓詞」は、皇民化政策の強圧性を示している。誓詞は一時朝鮮語に翻訳されラジオで放送されたこともあるが、日本語で唱えなければならないとして、朝鮮語訳は禁止された。
図版の「誓詞」の文章の横にハングルが書かれているが、これは朝鮮語の翻訳ではなく、日本語の読みをハングルで記しただけのものである。つまり、内容を理解しなくても、日本語で唱えることが強制されていたのである。この「誓詞」カードに皇民化政策の強圧性と矛盾を見ることができる。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年3月31日付掲載


朝鮮の植民地化。皇民化、臣民になるってといっても、日本人ですら制限された権利。
戦争協力だけさせられて、権利っていっても実態はないものでした。

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