#通常国会150日の軌跡⑤ 憲法原則ふみにじる
通常国会で浮き彫りになったのは、憲法を踏みにじって恥じない安倍政権の姿勢です。
#検察に介入
憲法は、立法、行政、司法の三つを分立させることで、権力の乱用・集中を防いでいます。しかし、安倍政権は1月31日、黒川弘務東京高検検事長(当時)の定年を延長することを閣議決定。準司法官である検察官の人事に対する内閣の介入であり、三権分立の蹂躙(じゅうりん)そのものでした。
昨年秋以降、安倍政権を直撃する国政私物化や疑惑が相次ぎました。こうした疑惑や不正で、司法からの追及をいかに防ぐか―。これを目的に「官邸の守護神」と呼ばれた黒川氏の定年を延長し、検事総長に据えようとしたとの見方が広がりました。
しかも、安倍政権はこの閣議決定を後追いで正当化するために、内閣の判断で特例的に検察官の定年延長を可能とする検察庁法改定案を3月に国会に提出し、検察幹部人事に干渉・介入する仕組みの導入まで狙いました。
日本共産党は、政府が戦前の裁判所構成法に定年延長の趣旨があると主張したことに「(当時は)三権分立は不十分であり、なぜ裁判所構成法がもちだされたか。論立てが大間題だ」(藤野保史衆院議員)と批判。検察庁法改定案について、「検事長等の人事は官邸が握ると公言するようなもの」「こういう仕組みをつくること自体、疑惑隠しだと疑念をもたれる」(山添拓参院議員)と一貫して厳しく追及しました。
5月に入り、検察OBが検察庁法改定に反対する異例の意見書を森雅子法相に提出。さらに、政府の新型コロナ対策が後手後手を踏む中で、検察をも私物化しようとする「火事場泥棒」的な動きだとして、数百万ものツイッターデモが起こりました。市民の力と野党の追及によって、検察庁法改定案を廃案に追い込みました。次なる「黒川氏」を生まないためにも、定年延長の閣議決定そのものを撤回することが必要です。
検察庁法改定案に反対する意見書を発表する清水勇男・元最高検検事(左)と松尾邦弘・元検事総長=5月15日、東京・霞が関
#巨額予備費
安倍政権は、憲法の財政民主主義をも踏みにじりました。第2次補正予算に、同予算総額(約32兆円)の3分の1を占める10兆円もの巨額予備費を計上した問題です。
憲法83条は「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない」と定めており、具体的にどの課目に、どれだけの予算をあてるかは、国会での審議・議決が必要です。
このため予備費はあくまで例外であり、歴代政権もその計上には抑制的でした。戦時中の1943年でさえ、政府が計上した予備費は予算全体の10・9%でした。
安倍政権は野党の追及に、「どのような事態にも対応できるようにするためだ」と言い逃れに終姶しました。
コロナ対策で迷走したあげく、疑惑まみれの安倍政権に巨額予備費を託していいのかという声が広がっています。国会には、閉会中も行政監視機能を果たすことが求められています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年6月26日付掲載
三権分立を冒す、内閣の判断で特例的に検察官の定年延長を可能とする検察庁法改定案。財政民主主義を踏みにじる巨額の予備費。
まさにモラルの崩壊が起こっています。
通常国会で浮き彫りになったのは、憲法を踏みにじって恥じない安倍政権の姿勢です。
#検察に介入
憲法は、立法、行政、司法の三つを分立させることで、権力の乱用・集中を防いでいます。しかし、安倍政権は1月31日、黒川弘務東京高検検事長(当時)の定年を延長することを閣議決定。準司法官である検察官の人事に対する内閣の介入であり、三権分立の蹂躙(じゅうりん)そのものでした。
昨年秋以降、安倍政権を直撃する国政私物化や疑惑が相次ぎました。こうした疑惑や不正で、司法からの追及をいかに防ぐか―。これを目的に「官邸の守護神」と呼ばれた黒川氏の定年を延長し、検事総長に据えようとしたとの見方が広がりました。
しかも、安倍政権はこの閣議決定を後追いで正当化するために、内閣の判断で特例的に検察官の定年延長を可能とする検察庁法改定案を3月に国会に提出し、検察幹部人事に干渉・介入する仕組みの導入まで狙いました。
日本共産党は、政府が戦前の裁判所構成法に定年延長の趣旨があると主張したことに「(当時は)三権分立は不十分であり、なぜ裁判所構成法がもちだされたか。論立てが大間題だ」(藤野保史衆院議員)と批判。検察庁法改定案について、「検事長等の人事は官邸が握ると公言するようなもの」「こういう仕組みをつくること自体、疑惑隠しだと疑念をもたれる」(山添拓参院議員)と一貫して厳しく追及しました。
5月に入り、検察OBが検察庁法改定に反対する異例の意見書を森雅子法相に提出。さらに、政府の新型コロナ対策が後手後手を踏む中で、検察をも私物化しようとする「火事場泥棒」的な動きだとして、数百万ものツイッターデモが起こりました。市民の力と野党の追及によって、検察庁法改定案を廃案に追い込みました。次なる「黒川氏」を生まないためにも、定年延長の閣議決定そのものを撤回することが必要です。
検察庁法改定案に反対する意見書を発表する清水勇男・元最高検検事(左)と松尾邦弘・元検事総長=5月15日、東京・霞が関
#巨額予備費
安倍政権は、憲法の財政民主主義をも踏みにじりました。第2次補正予算に、同予算総額(約32兆円)の3分の1を占める10兆円もの巨額予備費を計上した問題です。
憲法83条は「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない」と定めており、具体的にどの課目に、どれだけの予算をあてるかは、国会での審議・議決が必要です。
このため予備費はあくまで例外であり、歴代政権もその計上には抑制的でした。戦時中の1943年でさえ、政府が計上した予備費は予算全体の10・9%でした。
安倍政権は野党の追及に、「どのような事態にも対応できるようにするためだ」と言い逃れに終姶しました。
コロナ対策で迷走したあげく、疑惑まみれの安倍政権に巨額予備費を託していいのかという声が広がっています。国会には、閉会中も行政監視機能を果たすことが求められています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年6月26日付掲載
三権分立を冒す、内閣の判断で特例的に検察官の定年延長を可能とする検察庁法改定案。財政民主主義を踏みにじる巨額の予備費。
まさにモラルの崩壊が起こっています。
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