きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

ウクライナ戦時下の子どもたち① ロシア侵略開始2年 「早く戦争終わって」

2024-02-21 07:11:46 | 国際政治
ウクライナ戦時下の子どもたち① ロシア侵略開始2年 「早く戦争終わって」

ロシアがウクライナに侵略して始まった戦争は24日で2年を迎えます。命が脅かされる日々が続く中、ウクライナの子どもたちはどう暮らしているのか―。西部リビウ市で、不安や心の傷に苦しみながらも懸命に生きる子どもたちの姿を追いました。
(リビウ=桑野白馬、吉本博美)




「家のシェルターにいても地面が揺れるのを感じたよ。すごく怖かった」。時おり目をふせながら語るのはマキシム・トハムさん(13)です。昨年12月29日、自身が通うオリヤナ公立学校のすぐ近くにロシア軍が発射したミサイルが着弾しました。学校から徒歩15分の距離にあるトハムさんの家でも「聞いたことのない大きな音」が聞こえました。


ミサイルの破片で傷ついた校舎=2月12日、リビウ(吉本博美撮影)

窓ガラス散乱
今月12日、トハムさんの案内で学校の敷地に入ると、割れた窓ガラスが散乱していました。壊れた窓が取り外され、子どもたちが、けがをしないよう立てかけてあります。
写真を撮影していると、追いかけっこをして遊ぶ子どもたちの笑い声が聞こえてきました。「友達と冗談を言いあって、なるべく楽しく過ごすようにしているよ。ミサイルのことばかり考えていたくない」と話すトハムさん。ただ、長期化する戦争の話になると顔が曇ります。「つらくて悲しい。何より疲れたよ。早く戦争が終わってほしい」
東部で兵役についた親戚が命を落としたばかり。「2週間後に葬式を控えているんだ」と打ち明けました。「10人の親戚が戦場に出ている。もうこれ以上、誰も死んでほしくない」
友達と遊んで気を紛らわせるものの、空襲警報が鳴ったり、悲惨なニュースを目にしたりすると現実に引き戻されてしまいます。「警報が鳴るたびに勉強を中断しなきゃいけないのは、もう嫌だ。早く元の生活に戻りたい」。こう話すと、周りで話を聞いていた友達もうなずきました。



マキシム・トハムさん(右から2人目)と仲間たち(吉本博美撮影)

卒業生犠牲に
昨年12月のミサイル着弾は、校舎からわずか数十メートル離れた場所でした。リリア副校長(53)に案内され学校の裏手にまわると、芝生がえぐり取られた異様な光景が広がっています。幅数十メートルにわたって雨水がたまり、まるで沼地のようになっています。ミサイルの破片は窓を突き破り、教室内の机や椅子をなぎ倒しました。
リリアさんは「学校が休みの日で良かった」と胸をなでおろします。学校では6歳から17歳までの生徒1200人が学んでいます。「もし子どもたちが授業を受けていたらと思うと…」
生徒の焦りや不安を肌で感じています。「シェルターでは歌を歌ったりゲームをしたりします。みんなの目を爆撃から自分の人生に向けさせるのです」
夜間には近隣住民が避難してくることもあるため、教員は救急治療やメンタルヘルスケアの研修を受け「いざというとき」に備えています。「付近の住民たちに寄り添うのも私たちの役目です」
卒業生の多くが今回の戦争で命を落としました。「素晴らしい生徒たちだったのに」。涙ぐむリリアさんは、子どもたちの将来を見据えてこう語りました。「他人を思いやる優しい人間に育ってほしい。戦時下では人間らしさを保つことが一番大切だから」
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年2月19日付掲載


記者が写真を撮影していると、追いかけっこをして遊ぶ子どもたちの笑い声が。「友達と冗談を言いあって、なるべく楽しく過ごすようにしているよ。ミサイルのことばかり考えていたくない」と話すトハムさん。ただ、長期化する戦争の話になると顔が曇ります。「つらくて悲しい。何より疲れたよ。早く戦争が終わってほしい」
涙ぐむ副校長のリリアさんは、子どもたちの将来を見据えてこう語りました。「他人を思いやる優しい人間に育ってほしい。戦時下では人間らしさを保つことが一番大切だから」

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