食品添加物ナノ粒子 腸内フローラに影響 EUは禁止に
腸内環境や腸内細菌叢(そう=集まり)への注目が集まっています。特に、脳腸連環として、腸内環境が、ヒトの脳の活動に影響を与えることが明らかになり、うつや発達障害などの人の症状にも腸内環境が何らかの影響を与えていることが世界的に報告されています。
このような中で、食品に含まれる食品添加物や残留農薬が、腸内環境や腸内細菌叢に影響を与えているのではないかとの懸念が広がっています。多くの研究がその懸念を裏づけてきています。
残留農薬ではグリホサート、グリホサート製剤による腸内細菌叢への悪影響が、自閉症発症と関わっている可能性が指摘されています。さらに神戸大学の星信彦教授は、農薬ネオニコチノイドの投与によってラットの腸内の乳酸菌が減少し、乳酸菌の減少が腸内細菌叢の異常を引き起こすことを明らかにしました。グリホサートもネオニコチノイドも日本で使われている代表的な農薬です。
食品添加物では食品添加物ナノ粒子の安全性が問題となっています。食品添加物に使われる金属ナノ粒子は、酸化第二鉄が赤色の着色料、二酸化チタンが白色の着色料などに使用されています。食品添加物ナノ粒子は腸内での吸収性を良くするためにナノ化されており、腸内細菌叢を変化させ、体に影響を与えることが指摘されています。
日本では使用を認められている二酸化チタンは、2021年5月に欧州連合(EU)で使用が禁止されました。欧州食品安全機関(EFSA)は、食品添加物としての二酸化チタンの使用は、もはや安全とは見なせないという結論に達し、使用を禁止したのです。
食品の安全性をリスク評価する食品安全委員会は、食品添加物や残留農薬の腸内フローラに対する影響評価を実施しているのでしょうか。
食品安全委員会は「添加物に関する食品健康影響評価指針」で腸内フローラに対する毒性試験は明記しませんでした。
「残留農薬、添加物、遺伝子組換え食品が腸内細菌に与える影響を調査して、管理措置をとることを要望する提案があったが、具体的なハザードの記載がなかったことから、自ら評価の案件候補に該当しないと判断された」と、具体的なハザード(危険性)の指摘がないので、食品安全委員会が自ら行うリスク評価の対象にはしないことを明らかにしたのです。
しかし、腸内細菌問題は、日々研究が進み、脳腸連関が明らかになっている中で、「今後の食品安全の確保においては、従来手法のみにとらわれることなく、消化管内環境や腸内細菌叢の視点から安全性を科学的かつ包括的に評価する必要がある。」(大阪大学薬学研究科・吉岡靖雄博士「腸内フローラ解析を基盤とした食品ナノマテリアルの安全性評価」)との専門家の指摘もあります。食品安全委員会は、腸内細菌叢問題を食品健康影響評価の柱に据え、安全性チェック作業に取りかかるべきです。
小倉正行(おぐら・まさゆき 食ジャーナリスト)
「しんぶん赤旗」日曜版 2023年1月15日付掲載
腸内環境や腸内細菌叢(そう=集まり)への注目が。特に、脳腸連環として、腸内環境が、ヒトの脳の活動に影響を与えることが明らかになり、うつや発達障害などの人の症状にも腸内環境が何らかの影響を与えていることが世界的に報告。
腸内細菌問題は、日々研究が進み、脳腸連関が明らかになっている中で、「今後の食品安全の確保においては、従来手法のみにとらわれることなく、消化管内環境や腸内細菌叢の視点から安全性を科学的かつ包括的に評価する必要がある。」との専門家の指摘。
腸内環境や腸内細菌叢(そう=集まり)への注目が集まっています。特に、脳腸連環として、腸内環境が、ヒトの脳の活動に影響を与えることが明らかになり、うつや発達障害などの人の症状にも腸内環境が何らかの影響を与えていることが世界的に報告されています。
このような中で、食品に含まれる食品添加物や残留農薬が、腸内環境や腸内細菌叢に影響を与えているのではないかとの懸念が広がっています。多くの研究がその懸念を裏づけてきています。
残留農薬ではグリホサート、グリホサート製剤による腸内細菌叢への悪影響が、自閉症発症と関わっている可能性が指摘されています。さらに神戸大学の星信彦教授は、農薬ネオニコチノイドの投与によってラットの腸内の乳酸菌が減少し、乳酸菌の減少が腸内細菌叢の異常を引き起こすことを明らかにしました。グリホサートもネオニコチノイドも日本で使われている代表的な農薬です。
食品添加物では食品添加物ナノ粒子の安全性が問題となっています。食品添加物に使われる金属ナノ粒子は、酸化第二鉄が赤色の着色料、二酸化チタンが白色の着色料などに使用されています。食品添加物ナノ粒子は腸内での吸収性を良くするためにナノ化されており、腸内細菌叢を変化させ、体に影響を与えることが指摘されています。
日本では使用を認められている二酸化チタンは、2021年5月に欧州連合(EU)で使用が禁止されました。欧州食品安全機関(EFSA)は、食品添加物としての二酸化チタンの使用は、もはや安全とは見なせないという結論に達し、使用を禁止したのです。
食品の安全性をリスク評価する食品安全委員会は、食品添加物や残留農薬の腸内フローラに対する影響評価を実施しているのでしょうか。
食品安全委員会は「添加物に関する食品健康影響評価指針」で腸内フローラに対する毒性試験は明記しませんでした。
「残留農薬、添加物、遺伝子組換え食品が腸内細菌に与える影響を調査して、管理措置をとることを要望する提案があったが、具体的なハザードの記載がなかったことから、自ら評価の案件候補に該当しないと判断された」と、具体的なハザード(危険性)の指摘がないので、食品安全委員会が自ら行うリスク評価の対象にはしないことを明らかにしたのです。
しかし、腸内細菌問題は、日々研究が進み、脳腸連関が明らかになっている中で、「今後の食品安全の確保においては、従来手法のみにとらわれることなく、消化管内環境や腸内細菌叢の視点から安全性を科学的かつ包括的に評価する必要がある。」(大阪大学薬学研究科・吉岡靖雄博士「腸内フローラ解析を基盤とした食品ナノマテリアルの安全性評価」)との専門家の指摘もあります。食品安全委員会は、腸内細菌叢問題を食品健康影響評価の柱に据え、安全性チェック作業に取りかかるべきです。
小倉正行(おぐら・まさゆき 食ジャーナリスト)
「しんぶん赤旗」日曜版 2023年1月15日付掲載
腸内環境や腸内細菌叢(そう=集まり)への注目が。特に、脳腸連環として、腸内環境が、ヒトの脳の活動に影響を与えることが明らかになり、うつや発達障害などの人の症状にも腸内環境が何らかの影響を与えていることが世界的に報告。
腸内細菌問題は、日々研究が進み、脳腸連関が明らかになっている中で、「今後の食品安全の確保においては、従来手法のみにとらわれることなく、消化管内環境や腸内細菌叢の視点から安全性を科学的かつ包括的に評価する必要がある。」との専門家の指摘。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます