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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

核兵器禁止条約が発効 廃絶へ新たなスタート

2021-01-24 07:39:32 | 平和・憲法・歴史問題について
核兵器禁止条約が発効 廃絶へ新たなスタート

史上初めて核兵器を違法化し、「悪の烙印(らくいん)」を押す核兵器禁止条約が22日、ついに発効します。2017年の同条約の国連会議での採択に貢献し、ノーベル平和賞を受寅したlCAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)のベアトリス・フィン事務局長に条約発効の意義などを聞きました。
坂口明記者


史上初めて国際法で違法に。日米とも逃れられません
ノーベル平和賞のICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)事務局長 ベアトリス・フィンさん

Beatrice Fihn=1982年、スウェーデン生まれ。婦人国際自由連盟(WILPF)などを経て、2013年からICANで活動。14年から同事務局長

核兵器禁止条約は、広島・長崎への原爆投下から75年続けられてきた被爆者の活動や長年の核兵器廃絶運動など、さまざまな活動が結実したものです。条約が発効しても、核をめぐる状況が一夜で変わるわけではありません。しかし、これによって史上初めて、国際法が「核兵器は違法だ」と規定したのです。
核兵器保有国が受ける圧力は今後、時間の経過につれて増大するでしょう。日本など、核兵器を承認する核依存国も同様の圧力を受けます。核兵器に賛成する全ての国は永久に国際法違反国の側に立つことになります。
多くの人々にとって国際法は、あまり身近なものではありません。それでも国連憲章、ジュネーブ条約、生物兵器禁止条約、化学兵器禁止条約、地雷禁止条約などを振り返れば、これらの条約が各国の行動を縛っていることが分かります。
それらは条約未参加の国の行動をも縛っています。
核兵器が史上初めて違法化される今は、本当に歴史的な瞬間です。核廃絶に向けた新たな局面の出発点です。



国々の力関係が変わつた
国連安全保障理事会の常任理事国5カ国(P5)は全て核保有国であり、核兵器禁止条約を認めていません。禁止条約発効により、P5が国際法に従わないという信じがたい状況が生まれます。
これまではP5のような大きな力を持つ大国がルール(規則、国際法)を作るのが、国際社会の伝統的な在り方でした。
しかし今は、それがひっくり返り、世界の多数派の国々が核兵器禁止条約のようなルールを定める時代になっています。この条約は、世界の力関係の変化を象徴的に示しています。
世界は今、コロナ禍という地球規模の大災害に直面しています。これが示すのは、人類が今日と将来に直面する危機は、パンデミック(感染症の世界的大流行)、気候変動、資源紛争など、米ソ冷戦よりもっと複雑な危機だということです。そこでは核兵器は何の役にも立ちません。
今日の世界では核兵器に膨大な資金が投資されています。しかし、それによって人々は守られていません。人々は兵器使用の威嚇によってではなく、お互いを気遣うことによって守られています。今、私たちに必要なのは核兵器ではなく、より多くの医師、看護師、医療・介護従事者です。
今こそ真の安全保障とは何かを考え直す好機です。パンデミックが示すのは、国境を超えて協力しあう必要性です。ウイルスも気候変動も国境を超えて影響を及ぼします。今では、これらこそ国の安全保障の問題です。それらは一国だけでは解決できません。
私たちが直面する、これらの複雑な安全保障の危機は、兵器と無関係です。時代遅れの冷戦思考に頼っていては今日の脅威に対処できません。兵器に巨費を投資し、他国を威嚇する「冷戦」の手法は、もう通用しません。


絶望に陥った核保有国
米国は昨年10月、核兵器禁止条約を批准した国に、批准の撤回を求める書簡を送りました。国際法の専門家に尋ねたところ、自国が気に入らない条約を批准した他国に、その撤回を求めるという攻撃的行為は前例がないそうです。それは禁止条約をめぐり核保有国が、どれほど絶望的になっているかを示しています。
この要求を真に受けた国は皆無でした。禁止条約は効いているのです。
フランス政府代表は国連の会議でP5を代表して発言し、「P5は禁止条約に拘束されない。同条約が慣習国際法の発展に貢献するとか、新たな国際規範を樹立するとの主張を受け入れない」と述べました。禁止条約の批准国は51で、署名国は86です。慣習国際法としてはまだ不十分です。しかし、それと国際規範の確立は別問題です。
国際規範を作るのは外交宮ではなく、世界の諸国民です。禁止条約の批准国は今後ますます増えます。条約を支持する都市、国会議員、文化人も増えています。今、「核兵器は違法だ」という新たな国際規範が台頭しつつあるのです。禁止条約に賛成していない国も今後、立場を変えると私は確信しています。
核兵器保有国は9力国だけで、180以上の国は持っていません。気候変動は生活の全てが関係しますが、核問題は気候変動より解決しやすい課題です。


日本には特別な責任が
核不拡散条約(NPT)は核軍縮・廃絶を各国に義務づけています。2010年のNPT再検討会議は「核への依存を減らす」と合意しました。ところが米国の「核の傘」の強化を求める日本は、このNPTの義務、合意を実行せず、その土台を掘り崩しています。
日本が毎年、国連総会に提出する核問題の決議案は、ますます悪い内容になっています。これは深刻な問題です。
日本国民は核兵器の被害を世界で最もよく理解し、それを世界に伝える特別の責任があります。日本政府が国民の意思を代表していないことを私たちは知っています。「禁止条約に賛成しないなら投票しない」と政治家に迫ってください。
北大西洋条約機構(NATO)加盟国でも禁止条約をめぐって新たな動きが出ており、今年は一連の国で選挙があります。日本でも新たな進展があることを期待しています。
(スイス・ジュネーブ勤務の同氏にスカイプで取材)








世界51力国が批准
核兵器禁止条約は2017年7月に国連会議で、122力国の賛成で採択されました。発効に必要な50力国の批准を昨年10月に達成。現在5ーカ国が批准しています。
禁止条約は、前文で被爆者と核実験被害者の容認しがたい苦難と損害に触れ、核兵器が二度と使用されない唯一の方法がその完全廃絶だと指摘。第1条で核兵器の開発、実験、製造、備蓄、移譲、使用、使用の威嚇などを禁止しています。
この禁止事項をアニメーション映画監督で、日本政府に禁止条約の署名・批准を求める署名呼びかけ人の有原誠治さんがイラストにして公表しています。「署名活動で使いたい」「自宅に張りたい」などの問い合わせが相次ぎ、好評です。
藤川良太記者


世界の皆に「おめでとう」
作家・僧侶 瀬戸内寂聴さん

新年早々、コロナの感染拡大とか嫌な話ばかりの中で、核兵器禁止条約の発効は、今年始まって一番のいいニュースですね。世界のみなさんに「おめでとう」といいたいです。
私は、戦争にも、核兵器にも、原発にもずっと反対してきました。私たちの「いのち」と相いれないからです。
核兵器って、人類にとって良くないものだとみんなわかっています。それなのに、隠して持っていたり、何と言われようと公然と持ち続ける人たちがいる。いつか使おうと思っているからでしょう。
だから、どこの国も持、てないようにしなくてはなりません。すべての国が核兵器は捨てる、やめる。国と国が核兵器を持って競っていたらきりがないです。
私は戦争の時代を生きてきましたから、広島と長崎で何が起きたかよく知っています。本当にこわいこと、無残なことが起きました。でも、世代が代わり、身近に知っている人は減ってきた。そういう被爆の体験を書いたり読んだりするのはつらいから、人々の関心は自分たちの安寧ばかりになりがちです。
でも、それでいいのでしょうか。核兵器というのは全人類にとってとても恐ろしいことですよ。
そのことをみんなでもっと身近なこととしてとらえ、核も戦争も原発も地上からなくしたいですね。これからが大事ですよ。
聞き手・田中倫夫記者


日本の政府を代えよう
アニメーション映画監督 有原誠治さん

フランスの芸術家ジャン・リュルサは、広島・長崎への原爆投下を知り、「世界の歌」と題する9枚のタペストリーをつくりました。核兵器が使われた絶望的状況から始まり、最後は人類が英知を結集し恐怖や絶望から解放されることを予言的に表現したものです。
禁止条約ができたとき、この作品が頭に浮かびました。発効は人間の素晴らしさ、世界の英知が結集された結果です。被爆者運動と国際連帯がつくった核なき世界への道標です。
唯一の戦争被爆国である日本の政府は禁止条約に署名も批准もしていません。こんな政府は代える必要があります。核兵器のない世界をつくるために今後も頑張っていきたい。


「しんぶん赤旗」日曜版 2021年1月24日付掲載


核兵器禁止条約が発効。核兵器が史上初めて国際法で違法に。日米とも逃れられません。
世界の多数派の国々が核兵器禁止条約のようなルールを定める時代になっています。この条約は、世界の力関係の変化を象徴的に示しています。
日本国民は核兵器の被害を世界で最もよく理解し、それを世界に伝える特別の責任があります。「禁止条約に賛成しないなら投票しない」と政治家に迫ってください。

世界の皆に「おめでとう」 作家・僧侶 瀬戸内寂聴さん
日本の政府を代えよう アニメーション映画監督 有原誠治さん

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