きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

巨大電通の漆黒② 元社員に聞く(下) まるで「お殿様」

2020-09-18 08:16:52 | 政治・社会問題について
巨大電通の漆黒② 元社員に聞く(下) まるで「お殿様」
電通のローカル業務部にいたメディアの担当者たちはまるで「お殿様」でした。全国から届いた山のようなお中元で部長の自宅のひと部屋は段ボール箱で埋まります。とにかくメディア側は「うちに広告をお願いします」という態度でした。広告という収入源を握られている手前、電通にいい顔をしないと生きていけないという力関係です。
そんな関係の中でクライアント(広告主)の不祥事をもみ消すよう電通がメディア側に圧力をかけることもありました。

脅しをかけ
大手電機メーカーを担当する部署へ異動したときのことです。テレビ担当だった僕は、隣の雑誌担当の先輩が青ざめた顔をして部長に相談している様子をよく見ていました。「まずいです。企業の不祥事をすっぱ抜かれました。これどうしましょう」と。クライアントの元へ赴き青ざめて帰ってきた2人が「この記事は押さえないととんでもないことになるぞ」と言って雑誌社へ脅しをかけに行くんです。
「向こう1年広告出稿しないけどいいの」とクライアントの意向を伝える形で電通が圧力をかけ記事が消えたということが実際にありました。
クライアントの営業担当や雑誌担当の人間が各雑誌社に張り付いているんです。広告を出す代わりにどんな記事が掲載されるか、何が報道されるのかを教えてくれと。だから内々に電通社員は未発表の情報を入手できます。記事になる前の情報をキャッチしてそれをクライアントに確認するんです。



電通本社ビル=東京都港区

暗黙の了解
電通全体で大企業の多額の広告費を預かっているわけですから、クライアントからもらっているお金でおまえたち新聞や雑誌社は生きているんだろうというパワーバランスが存在します。
だからこそ幅を利かせて「来週どういう記事がでるんだよ。何か特ダネあるの?どれくらい売れるの?」と探りを入れ、「売れるんだったらいっぱい出稿頼めるけどどうなの?」と揺さぶりをかけます。特ダネで売り上げが期待できるときは大手の広告をたくさん入れることができますから、1円でも多く利益を上げたい人たちは「今回こういう特ダネがあるんですよ」と情報を提供するわけです。
だから雑誌の中にも売り上げを上げたい人たちと、目の前の報道を正しく伝えていくのが自分たちの仕事だと思っている人たちが対極にいます。もちろんいい特ダネを載せたら販売部数が上がる、けれども大企業を敵にしたら広告出稿がなくなる、そんな利害関係を抱えているんです。
電通が社会的制裁をうけないというのもまさにそういう関係が背景にあります。電通への社会的制裁をやってしまうとメディアはお先真っ暗になってしまう。広告主からのお金が入らなくなるという力関係があるためにメディアは暗黙の了解のうちに忖度(そんたく)してしまうんです。電通にメスを入れたふうにみせながらも、大きなダメージなく終わるという報道が続いていると感じます。
こういう力関係の中で正しい報道がなされるわけがありません。世にある真実が真実として伝わっていかない。大企業や電通の不祥事が伝わらないなどということがあれば、それは正していかないと社会はより良い在り方になっていかないと思います。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年9月16日付掲載


雑誌の中にも売り上げを上げたい人たちと、目の前の報道を正しく伝えていくのが自分たちの仕事だと思っている人たち。
雑誌社も広告収入がないとやっていけないので、背に腹を変えられないと電通の意向をのんでしまう。

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