米同時テロ9・11 20年 報復戦争の教訓 「死と破壊」のイラク侵略 国民の苦しみ IS生んだ原因に
米国は2001年9月11日に起きた同時多発テロ後、テロとのたたかいと称してアフガニスタン戦争に続き、03年3月イラク戦争に踏み切りました。
家族奪われた
イラク中部ファルージャに暮らすアブ・ムハンマドさん(45)=大工=は本紙の取材に、「米国は数えきれないイラク国民を殺害した。どんな理由をつけて正当化しても許すことはできない」と憤りました。米軍の攻撃で家族2人の命が奪われました。
ファルージャでは2004年、米国が自国の傭兵(ようへい)会社社員を殺害された報復として同地域を包囲し、ヘリコプターでの空爆を含む無差別攻撃を行うなど、多くの住民が米軍に殺害されています。
アブさんは、「米軍に殺された住民の遺族には復讐のためにテロ組織に加わった人もいる」と言います。
一方、北部キルクーク在住のナディア・アザウィさん(46)は、息子がイラク戦争のなかで出現した過激組織ISとの戦闘に加わり、銃弾を背中に受けて障害を負いました。
「米国が言う対テロ戦争とはイラクの侵略であり、それがもたらしたのは死と破壊、混乱、貧困、悲しみだ」
国際テロに詳しいエジプトの作家で研究者モニル・アディブさんは「20年に及ぶ米国の対テロ戦争は、武力による報復でテロは解決できないことを示した」と指摘します。
米国は01年10月、米同時テロを起こした国際テロ組織アルカイダを、アフガニスタンのタリバン政権が引き渡さなかったとして報復戦争を開始しました。
イラク北部キルクークに暮らすナディア・アザウィさん(本人提供)
国際テロに詳しいエジプトの作家で研究者のモニル・アディプさん(秋山豊撮影)
今も活動続く
米軍はその10年後、アルカイダ指導者のウサマ・ビンラディン容疑者を隣国パキスタンで殺害。しかしアディブさんは、アルカイダが今もタリバンに忠誠を誓い、アフガンで活動を続けていると言います。
米国は03年3月、イラクが大量破壊兵器を開発し、アルカイダともつながっているとしてイラクへの空爆を開始。フセイン政権が崩壊しました。
イラク戦争のなかで、アルカイダ系組織に旧フセイン政権のメンバーらが結びついてISが形成されます。ISは13年以降、アサド政権と反体制武装勢力が争うシリアで活動を拡大。女性や子どもを処刑するなど残虐行為を繰り返しました。
米軍はISを空爆し、トランプ前米大統領は19年にIS支配地域を「100%解放した」と宣言しました。しかしアディブさんによるとISは昨年、シリアで約600回、イラクで1400回以上の攻撃を行ったと主張しています。
アディブさんは「米国の軍事行動はテロを拡散し、ISという新たなテロ組織を生み出す原因になった」と語りました。
(カイロ=秋山豊)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年9月16日付掲載
アディブさんは「米国の軍事行動はテロを拡散し、ISという新たなテロ組織を生み出す原因になった」と。
戦争ではテロは根絶できない。
無垢のアフガンやイラクの国民を殺害。憎悪がさらにテロを生み出す。
資金源を断ち、国際政治で包囲することこそ。
米国は2001年9月11日に起きた同時多発テロ後、テロとのたたかいと称してアフガニスタン戦争に続き、03年3月イラク戦争に踏み切りました。
家族奪われた
イラク中部ファルージャに暮らすアブ・ムハンマドさん(45)=大工=は本紙の取材に、「米国は数えきれないイラク国民を殺害した。どんな理由をつけて正当化しても許すことはできない」と憤りました。米軍の攻撃で家族2人の命が奪われました。
ファルージャでは2004年、米国が自国の傭兵(ようへい)会社社員を殺害された報復として同地域を包囲し、ヘリコプターでの空爆を含む無差別攻撃を行うなど、多くの住民が米軍に殺害されています。
アブさんは、「米軍に殺された住民の遺族には復讐のためにテロ組織に加わった人もいる」と言います。
一方、北部キルクーク在住のナディア・アザウィさん(46)は、息子がイラク戦争のなかで出現した過激組織ISとの戦闘に加わり、銃弾を背中に受けて障害を負いました。
「米国が言う対テロ戦争とはイラクの侵略であり、それがもたらしたのは死と破壊、混乱、貧困、悲しみだ」
国際テロに詳しいエジプトの作家で研究者モニル・アディブさんは「20年に及ぶ米国の対テロ戦争は、武力による報復でテロは解決できないことを示した」と指摘します。
米国は01年10月、米同時テロを起こした国際テロ組織アルカイダを、アフガニスタンのタリバン政権が引き渡さなかったとして報復戦争を開始しました。
イラク北部キルクークに暮らすナディア・アザウィさん(本人提供)
国際テロに詳しいエジプトの作家で研究者のモニル・アディプさん(秋山豊撮影)
今も活動続く
米軍はその10年後、アルカイダ指導者のウサマ・ビンラディン容疑者を隣国パキスタンで殺害。しかしアディブさんは、アルカイダが今もタリバンに忠誠を誓い、アフガンで活動を続けていると言います。
米国は03年3月、イラクが大量破壊兵器を開発し、アルカイダともつながっているとしてイラクへの空爆を開始。フセイン政権が崩壊しました。
イラク戦争のなかで、アルカイダ系組織に旧フセイン政権のメンバーらが結びついてISが形成されます。ISは13年以降、アサド政権と反体制武装勢力が争うシリアで活動を拡大。女性や子どもを処刑するなど残虐行為を繰り返しました。
米軍はISを空爆し、トランプ前米大統領は19年にIS支配地域を「100%解放した」と宣言しました。しかしアディブさんによるとISは昨年、シリアで約600回、イラクで1400回以上の攻撃を行ったと主張しています。
アディブさんは「米国の軍事行動はテロを拡散し、ISという新たなテロ組織を生み出す原因になった」と語りました。
(カイロ=秋山豊)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年9月16日付掲載
アディブさんは「米国の軍事行動はテロを拡散し、ISという新たなテロ組織を生み出す原因になった」と。
戦争ではテロは根絶できない。
無垢のアフガンやイラクの国民を殺害。憎悪がさらにテロを生み出す。
資金源を断ち、国際政治で包囲することこそ。
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