道理なき消費税増税① 大型公共事業を継続
消費税率の引き上げがあと1年に迫っています。民主、自民、公明3党の談合によって成立した消費税増税法は2014年4月から8%、15年10月からは10%に税率を引き上げることになっています。しかし、消費税増税には何の道理もありません。
(清水渡)
消費税を増税する口実は、「社会保障の拡充」と「財政再建」でした。消費税増税法には、その趣旨について「社会保障の安定財源の確保及び財政の健全化を同時に達成する」と明記しています。ところが、安倍晋三政権は消費税増税をあてこんで不要不急の大型公共事業に巨額の税金を費やそうとしています。

増税でゆとり
消費税増税法は付則18条2項で、「(消費税増税で)財政による機動的対応が可能となる」「成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分する」としています。つまり、消費税増税で財政にゆとりができるので、公共事業や大企業向けに税金を使うということです。
その具体化として、2013年度予算には不要不急の大型公共事業が多数盛り込まれました。
事前防災・減災対策を口実に、新規のダムや高速道路の建設を行おうとしています。民主党政権時代に一度は凍結した群馬県の八ツ場(やんば)ダムに本体関連工事費18億円を含め98億円の事業費を計上。また、継続が決まった山鳥坂ダム(愛媛)には18億円の予算がつきました。また、高速道路については「代替性確保のためのネットワークの整備」との看板で1598億円を計上しました。
「成長戦略」の名目で大型公共事業が展開されています。たとえば三大都市圏環状道路などの「物流ネットワークの整備」に3539億円を計上。ここには、「1メートル=1億円」といわれる東京外郭環状道路や、首都圏中央自動車道(圏央道)も含まれます。
また、整備新幹線に706億円の国費を投入。リニア新幹線(東京―名古屋)についても7000万円の調査費を計上し、リニア新幹線の浮上走行に欠かせない「高温超電導技術」の開発費に2億6000万円を充てます。そのほか、国際コンテナ戦略港湾の整備に400億円、首都圏空港の強化に123億円が計上されています。

高尾山(奥)に突き刺さるように建つ圏央道の橋脚=東京都八王子市
大企業支援策
税制でも、大企業支援策が強化されます。13年度「税制改正」大綱では、国内で設備投資した企業に対する減税が創設されました。大企業・連結企業グループの利用が84・9%を占める研究開発減税も拡充されます。こうした大企業減税によって、税収の空洞化はさらに進みます。
「財政危機」をあおり、消費税増税を国民に押しつけながら、大企業ばかりが潤う公共事業や減税を行うことに道理はありません。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年5月8日付掲載
消費税増税で増えた税収で、八ツ場(やんば)ダム、東京外郭環状道路、首都圏中央自動車道(圏央道)さらには、リニア新幹線(東京―名古屋)などにも新たな税金がつぎ込まれようとしています。
その裏で大企業へは減税。税収の空洞化が進みます。
消費税増税は、なんとしてもストップさせないといけません。
消費税率の引き上げがあと1年に迫っています。民主、自民、公明3党の談合によって成立した消費税増税法は2014年4月から8%、15年10月からは10%に税率を引き上げることになっています。しかし、消費税増税には何の道理もありません。
(清水渡)
消費税を増税する口実は、「社会保障の拡充」と「財政再建」でした。消費税増税法には、その趣旨について「社会保障の安定財源の確保及び財政の健全化を同時に達成する」と明記しています。ところが、安倍晋三政権は消費税増税をあてこんで不要不急の大型公共事業に巨額の税金を費やそうとしています。

増税でゆとり
消費税増税法は付則18条2項で、「(消費税増税で)財政による機動的対応が可能となる」「成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分する」としています。つまり、消費税増税で財政にゆとりができるので、公共事業や大企業向けに税金を使うということです。
その具体化として、2013年度予算には不要不急の大型公共事業が多数盛り込まれました。
事前防災・減災対策を口実に、新規のダムや高速道路の建設を行おうとしています。民主党政権時代に一度は凍結した群馬県の八ツ場(やんば)ダムに本体関連工事費18億円を含め98億円の事業費を計上。また、継続が決まった山鳥坂ダム(愛媛)には18億円の予算がつきました。また、高速道路については「代替性確保のためのネットワークの整備」との看板で1598億円を計上しました。
「成長戦略」の名目で大型公共事業が展開されています。たとえば三大都市圏環状道路などの「物流ネットワークの整備」に3539億円を計上。ここには、「1メートル=1億円」といわれる東京外郭環状道路や、首都圏中央自動車道(圏央道)も含まれます。
また、整備新幹線に706億円の国費を投入。リニア新幹線(東京―名古屋)についても7000万円の調査費を計上し、リニア新幹線の浮上走行に欠かせない「高温超電導技術」の開発費に2億6000万円を充てます。そのほか、国際コンテナ戦略港湾の整備に400億円、首都圏空港の強化に123億円が計上されています。

高尾山(奥)に突き刺さるように建つ圏央道の橋脚=東京都八王子市
大企業支援策
税制でも、大企業支援策が強化されます。13年度「税制改正」大綱では、国内で設備投資した企業に対する減税が創設されました。大企業・連結企業グループの利用が84・9%を占める研究開発減税も拡充されます。こうした大企業減税によって、税収の空洞化はさらに進みます。
「財政危機」をあおり、消費税増税を国民に押しつけながら、大企業ばかりが潤う公共事業や減税を行うことに道理はありません。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年5月8日付掲載
消費税増税で増えた税収で、八ツ場(やんば)ダム、東京外郭環状道路、首都圏中央自動車道(圏央道)さらには、リニア新幹線(東京―名古屋)などにも新たな税金がつぎ込まれようとしています。
その裏で大企業へは減税。税収の空洞化が進みます。
消費税増税は、なんとしてもストップさせないといけません。