きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

憲法から考える 9条を生かした平和外交⑦ 日本外交の転換~軍事同盟から抜け出る時

2013-05-08 21:25:14 | 平和・憲法・歴史問題について
憲法から考える 9条を生かした平和外交⑦ 日本外交の転換~軍事同盟から抜け出る時

「憲法9条は、戦争放棄や戦力不保持を決めているだけでなく、前文とともに平和的外交のあり方を枠付けるものです」
憲法9条の求める外交のあり方について東海大学の永山茂樹教授(憲法学)は指摘します。
「領土問題など国際紛争で軍事に頼らない外交、対話による問題解決、そして単に戦争しないというだけの平和でなく、平和的生存権とセットで『恐怖と欠乏』からの解放を目指す外交が重要です」
インドネシア副大統領補佐官のアンワルさんが、ASEAN(東南アジア諸国連合)の対話外交と日本の憲法9条の共通性について述べていたことと重なります。

想定と違ったもの
こうした外交のあり方は、日本がサンフランシスコ平和条約によって独立を回復した後に、国会の民主的コントロールのもと、政府によって展開されるはずでした。
しかし日本の「独立」は、平和条約と日米安保条約がセットとなり、憲法の想定とは違ったものとなりました。
日本国憲法の制定過程にも関わった憲法学者の佐藤功氏(故人)は「日本国憲法50年」を記念する座談会で(1996年)、「『安保条約プラス自衛隊』という方式で我が国の安全保障政策が確立され」、それが長年続いてきたと指摘。「このような経過は、九条の理念と目標が、国際状況の現実によって押し流され、ゆがめられたプロセスだ」とのべています(『ジュリスト』1089号)。



憲法改悪反対を訴えてパレードする5・3憲法集会参加者=5月3日、東京都千代田区

ASEANの知恵
元外務省国際情報局長の孫崎享氏は「日米同盟のもとで日本は米国の世界戦略に組み込まれ、自衛隊を海外で使う動きが出てきた。それが集団的自衛権行使の問題だ。さらに日米同盟で利益をあげるグループが、日本の自主的なアジアとの友好関係の発展を妨げ、外交をゆがめてきた。尖閣問題は、米中接近のもと米国の悩みの種になると同時に日中分断の好材料になった」と指摘します。
日米同盟に縛られ、9条本来の平和外交が妨げられてきた―。いまこそ、9条を生かす平和外交への転換を進めるときです。
国際政治学者の進藤栄一筑波大名誉教授は「いま日本が学ぶべき外交のパターンはASEANの知恵にある。対話の継続で緊張をコントロールするのがポイントだ」と語ります。
「尖閣問題で中国と領有権の交渉をするとしても相当時間がかかる。その中で、経済協力などで信頼醸成の努力をしながら、東シナ海での平和的行動原則を日中韓、北朝鮮で交渉するなどのイニシアチブが必要だ。集団的自衛権の行使で日米同盟強化という政府の姿勢はもってのほかで、そういう時代はもう終わったと認識すべきだ。軍事同盟から抜け出る発想が必要だ」。進藤氏は、こう指摘しました。(おわり)
(この連載は面川誠、中祖寅一が担当しました)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年5月8日付掲載


日本国憲法の制定時は占領軍のアメリカも日本の非軍事化と民主化を進める立場で取り組んでいました。しかし、その憲法の施行時からアメリカの戦略は、中国革命を経て、反共の防波堤と位置付けるようになりました。
その後、日本はサンフランシスコ平和条約で独立を果たすのですが、それと同時に日米安全保障条約を結ばされ、アメリカの事実上の支配下に置かれるようになります。
日本国憲法の想定していたものと違った政治が行われるようになり、60年以上が経過しました。

いまこそ、軍事同盟から脱却してASEANの知恵に学ぶ時です。

憲法から考える 9条を生かした平和外交⑥ 対話路線ない日本~行き詰る軍事一辺倒

2013-05-08 21:09:46 | 平和・憲法・歴史問題について
憲法から考える 9条を生かした平和外交⑥ 対話路線ない日本~行き詰る軍事一辺倒

「ASEAN(東南アジア諸国連合)は、セキュリティーコミュニティー(安全保障共同体)として発展しているといえる。しかし、北東アジアはまったく異なり、信頼関係が非常に薄い」
米国の著名な政治学者は、4月に行われた都内の講演でこう強調しました。外務・防衛両省はじめ安全保障問題の専門家が集う会合でした。

「特別な国」でいい
「日本は防衛力を強め『普通の国』になることを目指すより、『特別な国』であってもいい。アジアにセキュリテイーコミュニティーをつくるため、どれだけ努力ができるかを考えるべきだ。ASEANができたとき、これだけの共同体に発展するとはだれも考えていなかった」
ところが、安倍・自公政権は、平和の地域共同体づくりはまったく念頭になく、日米軍事同盟の強化ばかりに血道をあげています。
北朝鮮の核開発による緊張の高まりを前にしても、米国や韓国も対話の糸口を探ろうとしているなか、安倍首相は米国務長官に「彼らは約束しても守らない」とのべ、対話路線をけん制したと報じられています。実際に、とっている対応は「ミサイル防衛」という軍事による備えだけ。
尖閣諸島問題でも「物理的に対応していくことが正しい対応だ」(安倍首相)と強調。
日米の政府高官が相対するたびに「尖閣諸島は日米安保条約の適用範囲」と確認し、米国の軍事力をちらつかせます。
こうした軍事的対応路線について、元外務省国際情報局長の孫崎享(まごさきうける)氏は、行き詰まりを指摘します。



会談前に韓国の朴槿恵(バク・クネ)大統領(左)と握手するケリー米国務長官=4月12日、ソウル(ロイター)


会談前に習近平国家主席(右)と握手するケリー米国務長官=4月13日、北京(ロイター)

対米従属から転換
「ミサイル防衛は技術的に成り立たず、落下するミサイルを撃墜することはできない。軍需産業のもうけになるだけだ。尖閣を含む東シナ海では、制空権をめぐり中国が優位だと米国国防省の報告で述べられている」
孫崎氏は、ロシア、イラン、イラク大使などを歴任。しかし、イラク戦争以降、日米同盟のあり方に疑問を持ったといいます。09年に防衛大学校教授を退任後、対米従属政治の転換を訴えています。
「核の時代」に前線基地の意味は薄れ、在日米軍基地の戦略的意味も減少している。沖縄は米海兵隊にとって安上がりで快適な拠点という以上の意味はない―孫崎氏は、持論を展開しつつ次のように指摘します。
「北東アジアで軍事衝突が起こった場合の損失は計り知れず、互いにマイナスにしかならない。それがごまかされ続け、『経済より主権』と喧伝(けんでん)されている。
私は軍事も国益のための一つの選択肢だと考えてきたが、いまや軍事優先の時代ではない。ASEANが進む対話路線への切り替えに、リベラル勢力の結集を図るべきだ」
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年5月6日付掲載


確かに北朝鮮は約束しても守らない国だと思います。しかし、だからといって対話のチャンネルを絶ってしまうことは得策ではありません。
日本や中国など世界の経済生産の集中する北東アジア地域で、軍事衝突が起こることによる経済的損失は計り知れません。
日本も中国や北朝鮮、韓国との対話のチャンネルを強化すべきですね。