きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

COP26 先住民が世界のリーダーに発信 大資本を説得せよ

2021-11-11 07:10:09 | 環境問題・気候変動・地球温暖化について
COP26 先住民が世界のリーダーに発信 大資本を説得せよ

子の幸せが共通の願い
ペルーの先住民族 ケチュア出身 フアンカ・インティさん

プアンカ・インティさん(写真はいずれも桑野白馬撮影)

ペルーでは、鉱山採掘の70%が爆発物を使って行われる「露天掘り」と言われています。鉱山からの流出物で丘や湖、川は汚染され、虫や鳥は姿を消す。すると、花は咲かなくなる。川から魚がいなくなり、水を飲む人は死んでいく。無謀な採掘と、石油産業による汚染をやめる必要があります。
世界のリーダーたちは、大資本を説得しなければならない。そうしなければ、2030年、50年には、ますます地球が死んでいきます。お金は命の代わりになりません。
汚染や破壊を食い止める努力をすれば、大金は手に入らないかもしれない。でも、私たち全員が一緒になって行動すれば、子どもは自然を知り、きれいな空気を吸うことができる。彼らが幸せになること、それが世界共通の願いではないでしょうか。


公平に意見言える場を
インドネシアの西パプア出身 ラキ・アップさん

ラキ・アップさん

森林破壊の96%が先住民族の土地で起きていると言われています。世界最大の先住民族の島の一部である西パプアでは、生物多様性をどのようにして維持し森林を保護するのか、大きな問題に直面しています。
いま起こっていることは、先住民にとって「植民地主義の継続」を意味します。石油産業や、新たなもうけを狙う大資本は、森林を破壊し、私たちの生活様式や文化を破壊します。そして、気候変動の危機が起きます。
COPでは、あらゆるコミュニティーの代表が公平に意見を言える場が大事だと思います。大国や大企業のロビー活動を見ていると、先住民は疎外されている。不公平です。
今回、森林破壊を2030年に終わらせるという合意ができた。でも、どうやって?遠い解決策の繰り返しではいけません。私たち若い世代は具体的な行動を求めています。
世界のリーダーたちに呼びかけます。先住民は、生態系を守る本当の方法をよく知っています。この声に耳を傾けてください。


若者・下層部の人と連帯
メキシコの先住民族 ミシュテカ出身 ミキシ・ビオレタさん

ミキシ・ビオレタさん

メキシコでは、鉄道、製油所、発電所などのメガプロジェクトが進行しています。先住民は土地を奪われ、川を汚され、追い出される。反対すれば命を奪われる危険まであります。この現状が、COPの会議で可視化されていないと感じます。
「再生可能エネルギーへの移行」や「植林」という言葉は、耳障りがいいものです。でも、無計画に先住民の土地を変更し、生態系や文化を破壊すれば、自然破壊はより加速し逆効果となります。このような方法では、真の解決策は生み出せません。
私たちは、世界の若者と、気候危機の影響にされされている下層部の人たちと連帯し、「植民地主義的な資本主義システムの中では生きられない」と声をあげています。このままでは、まず島しょ国や先住民のコミュニティーが死ぬ。自然の保護者が死ねば、微妙なバランスを保つ自然も死に、最終的には地球全体の壊滅につながるのです。
世界のリーダーたちは、この声を聞いてほしい。空の約束や、見せかけの温室効果ガス排出削減はいらない。人間の命に焦点を当て、今すぐ行動してください。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年11月9日付掲載


気候危機は、地球温暖化ガスの排出量の少ない国・地域に甚大な影響を与えている。
また、露天掘りによる鉱山採掘、森林伐採により住むところを奪われています。
「再生可能エネルギーへの移行」や「植林」という言葉は、耳障りがいいものです。でも、無計画に先住民の土地を変更し、生態系や文化を破壊すれば、自然破壊はより加速し逆効果。
大資本への規制が必要。

学問はおもしろい 海綿動物学 脳も心臓もないけど“海の黒幕”として君臨

2021-11-10 07:14:45 | 科学だいすき
学問はおもしろい 海綿動物学 脳も心臓もないけど“海の黒幕”として君臨
サイエンスライター 椿 玲未さん

つばき・れみ 1985年生まれ。サイエンスライター、海洋研究開発機構海洋科学技術戦略部アドバイザー。著書に『カイメンすてきなスカスカ』

私が研究しているのは海綿動物で、英語では「スポンジ」といいます。ポリウレタン製が登場したいまも体を洗い、お化粧に使うスポンジとして利用されています。古代ギリシャでは女性用の生理用品・避妊具、画材、医療用品などとして使われていました。
海綿には、脳も神経も心臓も胃腸もなく、あるのはスカスカな体だけです。一見、岩のように動きませんが、植物のように根や茎があるわけではありません。食事方法は、水中の植物プランクトンや微小有機物をこしとる「ろ過食」です。




1ミリ未満から3メートル超えまで
動物の大きな特徴は、他生物に由来する有機物の摂取と多細胞性の著しい発達です。海綿はこの条件を満たす立派な動物です。浅瀬から水深8000メートルを超える深海、淡水にも生息しています。種として定義されている数は8500種以上で、1ミリを超えることがまれな種から、3メートルを超えるものまで多種多様です。
繁殖方法も多様で、オスとメスが精子と卵子を水中に放出して対外受精するケースや、放出された精子をメスが取り込む体内受精もあります。普通ならメスは精子くらいのサイズの有機物はエサにしてしまうのですが、自分に必要な精子は仕分けをして、受精場所に運んできます。とても不思議です。
海綿には「骨」はなく、小さなガラスのかけらである「骨片」が何百、何千と束になり、繊維状のタンパク質とくっつくことで「骨格」をつくっています。中には「骨片」のない海綿も存在し、この種がボディー用のスポンジになります。
動物の基本的な体のつくりは、同種ではそう変わりません。それは「つくりの青写真=ボディープラン」があるからです。海綿にはボディープランの制約がありません。水流に対応して形が変わる種が多いのです。流れが強ければ、エサをたくさんとろうと、立ち上がったような高さになります。
シャーレで海綿を育てていると、骨片を一部残して海綿が移動することもあります。理由は未解明ですが、骨片自身はいつでも作れるので、そう大切なものではないからでしょう。
極端な例ですが、海綿は細胞レベルにまでバラバラにすりつぶしても死なず、ひとりでに細胞が再集合して、また海綿の姿に戻るのです。驚異の再生力です。



ホウオウガイは上の白い部分だけをカイメンの外に出し海水を吸いこむ


ホウオウガイと共生するカイメン。黒い細い切れ込み(スリット)はホウオウガイの一部(椿玲未さん提供)

先生の一言で文学部やめる
私はまず大学の文学部に入りました。読書が好きな少女だったのですが、1年生の一般教養で履修した生態学に魅せられました。文学部の先生からは、「君は人間らしいことが好きではないから生物の研究の方が向いている」と言われ、2年生になるときに、生物の研究ができる総合人間学部に転部しました。
オスとメスがだまし合い、違う生物どうしが共生しながら、いきいき生きている動物の姿にひかれていきました。
例えば、殻がもろいホウオウガイと海綿は共生しています。海水を取り込む口の部分だけ出して、ホウオウガイは海綿の中に隠れるように入り込み、外敵から身を守ります。ホウオウガイが住む海綿は1種だけですが、私が調べた数百の海綿にはすべていました。“空き家率ゼロ”です。ホウオウガイが海水から摂取する栄養のおこぼれを海綿は得るとともに、「骨格」を補強しているのです。
海綿は“存在感のない海の黒幕”として君臨していると、私は考えています。海に行けば海綿はたくさんいるのに、多くの人はまず気づかない。海綿は他の動物が食べられないような微小の植物プランクトンなどを食べ、それを少し大きなフンとして排出します。大きくなったことで動物プランクトンや海底のゴカイなどのエサになります。海の食物連鎖に大きな役割を果たしているのです。
(豊田栄光)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年11月8日付掲載


元々、読書が好きな少女だったのが、一般教養で履修した生態学に魅せられ、生物の研究ができる総合人間学部に転部。
ひとことにカイメンと言っても、1ミリを超えることがまれな種から、3メートルを超えるものまで多種多様。
カイメンは他の動物が食べられないような微小の植物プランクトンなどを食べ、それを少し大きなフンとして排出します。大きくなったことで動物プランクトンや海底のゴカイなどのエサになります。海の食物連鎖に大きな役割を果たしている。


休憩室 歌で心を癒したい 普天間かおりさん

2021-11-09 07:19:57 | 文化・芸術・演劇など
休憩室 歌で心を癒したい 普天間かおりさん
ラジオを通して福島県と絆で結ばれています。ラジオ福島のレギュラー番組「Radio de Show(ラジオでしょー)」(金 後1・0)、同「普天間かおりのぬちぐすいやっさー」(土 後6・15)に出演しています。昨年4月10日からリモート(遠隔)出演を続けて10月9日からは福島に行き放送しています。
「コロナ禍で人と人とのつながりが絶たれたようになりましたが、生放送のリスナーの反応はあたたかくて『おかえり』と迎えてくれてつながりを実感。ラジオもライブなんだと思いました」




本業の音楽は、「ライブの中止が続いて…、歌うことが好きなのに居場所がないような時間でした」。乗り越えて12月に毎年恒例の音楽ライブを開催します。今回は、グランドピアノ2台との“共演”です。「感染対策をしっかりして、ピアノと私の歌声で、コロナ禍で疲れた心を抱きしめるように癒やして『やさしい時間』にしたいんです」
「芸能・文化が不要不急か、悩み、胸の痛い思いをしましたが、そうじゃない。日々がんばっている人生へのごほうびだと思います」

写真・記事 小川浩
「普天間かおりコンサート2021~やさしい時間~」は、12月10日東京文化会館小ホール。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年11月7日付掲載


「芸能・文化が不要不急か、悩み、胸の痛い思いをしましたが、そうじゃない。日々がんばっている人生へのごほうびだと思います」
本当にそうです。歌も心のよりどころです。
今までは沖縄を中心としたコンサートでしたが、今回は東京で…

半導体産業の行方③ 強い技術基盤必要

2021-11-08 06:47:17 | 経済・産業・中小企業対策など
半導体産業の行方③ 強い技術基盤必要
桜美林大学教授 藤田実さん

ロジック半導体の分野は、パソコンのCPU(中央演算処理装置)では、インテルとAMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)の独占市場となっています。スマートフォンなどの半導体チップSoc(*)に関しては、国内には有力なスマホメーカーがないこともあり、クアルコム、アップル、サムスンなどの海外メーカーが圧倒的なシェアを占めています。この分野では、現状では日本企業が参入できる余地はほとんどありません。
*システム・オン・チップの略。特定の目的のために必要な要素全てを載せ、単体でシステムとして機能するよう設計された部品

●小さい企業規模
市場シェアの点で、日本企業が競争力を有していると考えられるのが、先端分野ではないアナログIC(*)と呼ばれる分野です。アナログICは、民生用機器、コンピューター、通信機器、自動車用など多様な用途向けに製造されるICで、製造企業はロジックに比べれば企業規模としては小さいのが特徴です。
*アナログ信号の処理や電源・動力制御などを担う集積回路(IC)。



米アリソナ州の工場外の看板にかかったインテルのロゴ=2020年10月2日(ロイター)

アナログICで日本企業が強いといっても、2020年売上高ランキング(ICインサイツ社調べ)でみると、1位は市場シェア19%の米テキサス・インスツルメンツ(TI)で、それ以外の上位企業の多くも欧米メーカーです。日本企業では、10位にルネサスがランクインしていますが、売上高でいえばTIの1割にも達していません。ルネサスは自動車同けに注力しているため、車載用ICではドイツのインフィニオン、オランダのNXPセミコンダクターズと並んで高い市場シェアを有しています。
しかし、車載用ICは全体としては、コンピューターや通信機器向けと比べて市場規模は大きくないため、半導体企業の売上高ランキングで言えば、下位に位置します。

●先端分野は困難
このように日本企業は、フラッシュメモリを除けば市場規模が大きい先端的分野では再参入は困難であり、市場規模の大きくない、非先端的な車載向けICなど一部分野で競争力を発揮しているにすぎません。現状を見る限り、1980年代のような世界的な市場シェアを有する半導体産業を国内で再構築するのはかなり困難です。
しかし、他方では、IoT(モノのインターネット)技術やAI(人工知能)技術、量子コンピューター技術など将来の技術発展を考えれば、基盤技術となる半導体の研究・開発・製造技術を国内に保持することは重要です。そのためにも、基礎研究も含めて研究者、技術者の処遇を改善し、技術基盤を維持、強化していくことが必要です。
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年11月6日付掲載


IoT(モノのインターネット)技術やAI(人工知能)技術、量子コンピューター技術など将来の技術発展を考えれば、基盤技術となる半導体の研究・開発・製造技術を国内に保持することは重要です。そのためにも、基礎研究も含めて研究者、技術者の処遇を改善し、技術基盤を維持、強化していくことが必要。
やはり、基礎研究や技術基盤が大事なんですね。

半導体産業の行方② 日本の存在感薄く

2021-11-06 07:29:28 | 経済・産業・中小企業対策など
半導体産業の行方② 日本の存在感薄く
桜美林大学教授 藤田実さん

半導体産業の世界市場シェアをみると、日本企業の存在感は薄いというのが現実です。特に先端といわれる分野では、存在感は全くありません。メモリ(記憶)分野でのDRAM(*)では、韓国のサムスンやSKハイニクス、アメリカのマイクロンの3社に集約されています。
*読み書き用の半導体記憶装置の一種。パソコン用の主要なメモリとして一般的に使われています。

●米国企業が買収
1980年代には世界一の地位にあった日本企業は現在、存在していません。
NECと日立のDRAM部門が統合して、99年に発足したエルピーダメモリが2012年に経営破綻し、米マイクロンによって買収されているからです。
ただし、マイクロンの国内生産拠点として、広島工場(旧NEC広島)が残り、先端DRAMの開発・生産のマザー工場(*)として重要な位置を与えられています。この意味では、先端DRAMの開発・生産技術は国内で維持されていると言えます。
*メーカーが国外に工場を設立して事業を拡大する際、生産のシステムや技術面でモデルとなる国内の工場。

メモリ分野のうち、フラッシュメモリ(*)では、キオクシアがサムスンに次ぐ第2位の市場シェアを確保しています。
*電源を切っても記憶されたデータが失われない不揮発性メモリ。東芝が開発。
キオクシアは東芝の半導体事業部門でしたが、2016年の原発事業の失敗や粉飾決算で経営危機に陥り、半導体事業部門を分離、売却して生まれた会社です。キオクシアの業績は、調査会社によれば、19年度は営業利益段階で赤字になっていますが、20年度は売上高が1兆1785億円、営業利益は66億円と黒字に転換しています。ただし20年3月期の自己資本比率は25・7%と低く、70%を超えているサムスンやSKハイニクスと比べると、財務状況はよくないといえます。



米カリフォルニア州アーバインにあるウェスタン・デジタルのビル=2017年1月24日(ロイター)

●先行きは不透明
キオクシアは現在、非上場で、主要株主はベインキャピタルを軸として産業革新機構、日本政策投資銀行などが出資するファンド(49・9%)、ファンドに再出資した東芝(40・2%)、HOYA(9・9%)です。産業革新機構や日本政策投資銀行は、将来的な資本参加を検討するとして、東芝に対してそれぞれ16・7%の指図権を保有しており、政府の意向を反映させることのできる仕組みになっています。
キオクシアをめぐっては、11月にも新規上場するという話もある一方で、アメリカの半導体企業ウエスタン・デジタル(WD)との経営統合の話も出ています。キオクシアとWDが経営統合すれば、市場シェアは30%を超え(20年)、トップのサムスンに匹敵する規模になります。また、この経営統合は、バイデン政権がもくろむ中国封じ込めのための半導体分野の連携の一翼を担うという見方もでています。
このように、キオクシアの行方は、株主構成の複雑さと日米政府の半導体戦略も絡んだことで、不透明になっています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年11月5日付掲載


CPUでもDRAMでも、他国の企業に後れを取っている日本。唯一、フラッシュメモリでその一角に食い込んで言います。
その技術はいまやパソコンでHDDに代わるSSDに応用されているのでしょうね。