きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

2023年度 概算要求の焦点⑨ 軍事費 金額示さず膨張青天井

2022-09-25 07:07:23 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2023年度 概算要求の焦点⑨ 軍事費 金額示さず膨張青天井
2023年度の軍事費は青天井で要求されています。概算要求で明らかになっているだけでも総額で5兆5947億円と、過去最大だった22年度当初予算を約2000億円上回りました。前年度を上回るのは13年度から11年連続で、9年連続で過去最大を更新しました。金額を一切示さない「事項要求」が多数盛り込まれ、これまで示してきた各装備品の調達数や物件費などの内訳に加え、自衛隊員の定数までも明らかにせず、積算根拠を隠すという前代未聞の事態です。

GDP2%念頭
岸田文雄首相は5月の日米首脳会談で、国内総生産(GDP)比2%を念頭に軍事費の「相当な増額」を対米公約し、6月の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議でも大軍拡を宣言。国民が苦しむ物価高騰対策には背を向け、青天井に軍事費を膨張させる姿勢をむき出しにしています。
違憲の敵基地攻撃能力につながる「スタンド・オフ・防衛能力」を「事項要求」の対象とし、射程を現在の百数十キロから1000キロ程度に延ばす「12式地対艦誘導弾」(地発型)の量産化に初めて着手。また、大気圏内を超音速滑空・攻撃可能な「高速滑空弾」(早期装備型)の量産や、F15戦闘機に搭載するスタンド・オフ・ミサイル「JASSM」の取得もあげました。



石垣島で建設が進められている自衛隊ミサイル基地=5月28日



日本の戦禍想定
さらに突出して増大したのが、新たなツケ払いである「新規後年度負担」です。高額兵器を複数年度にわたって支払い、翌年度以降に計上する軍事ローンで、23年度は22年度比で19%増の2兆9351億円で過去最大となりました。
対中国を念頭に、沖縄本島への地対艦ミサイル部隊の配備計画を示し、陸自勝連(かつれん)分屯地(うるま市)への配備が想定されています。宮古島、石垣島、鹿児島県の奄美大島には既に地対艦ミサイル部隊の配備が進められており、沖縄が再び戦火に巻き込まれる危険が高まっています。
具体的な戦闘戦を想定し、12地対艦誘導弾など弾薬の製造体制の確保、スタンド・オフ・ミサイルなどを保管する火薬庫の整備費、さらに司令部の地下化や、被害を受けた滑走路を復旧する機材も明示。対中戦争に米軍と参戦し、日本に戦禍が呼び込まれることを想定したものです。
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年9月23日付掲載


岸田文雄首相は5月の日米首脳会談で、国内総生産(GDP)比2%を念頭に軍事費の「相当な増額」を対米公約し、6月の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議でも大軍拡を宣言。国民が苦しむ物価高騰対策には背を向け、青天井に軍事費を膨張させる姿勢をむき出しに。
具体的な戦闘戦を想定し、12地対艦誘導弾など弾薬の製造体制の確保、スタンド・オフ・ミサイルなどを保管する火薬庫の整備費、さらに司令部の地下化や、被害を受けた滑走路を復旧する機材も明示。対中戦争に米軍と参戦し、日本に戦禍が呼び込まれることを想定したもの。

2023年度 概算要求の焦点⑧ 地方経済・デジタル 住民サービス後退の危険

2022-09-24 07:11:45 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2023年度 概算要求の焦点⑧ 地方経済・デジタル 住民サービス後退の危険
地方財政・デジタル総務省は2023年度予算の概算要求で、地方の一般財源総額(地方税や地方交付税など自治体が自主的判断で使える財源)を、22年度比0・2兆円増の62・2兆円と見込みました。
地方税等(地方譲与税、地方特例交付金を含む)は、1・2兆円(2・6%)増の45兆円。地方交付税等(同交付税不足分を振り替える臨時財政対策債1・3兆円を含む)は0・4兆円(2%)減の19・5兆円としました。
一般財源総額をめぐっては、「21年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保」する(『23年度の地方財政の課題』)としており、今回の要求はおおむね同方針を踏まえたものです。



牧島かれん前デジタル相(左)と河野太郎デジタル相(デジタル庁HPから)

独自施策に困難
一方、「自治体DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進と財政マネジメントの強化」を掲げ、公共施設等の適正配置や水道・下水道の広域化、公立病院経営強化プランの推進など、自治体リストラにつながる「改革」を挙げており注意が必要です。
全国知事会などが継続・拡充を求めていた「まち・ひと・しごと創生事業費」は、引き続き22年度と同額の1兆円が計上されました。
総務省は「デジタルへ変革への対応、グリーン化の推進、活力ある地域づくり」を主要な柱の先頭に掲げ、デジタル基盤の整備に1883・5億円を計上しています。そのうち763・2億円はマイナンバーカードの更新や新規取得者への交付、カードの海外使用を見込んだ氏名のローマ字表記、地域独自のポイント給付施策をオンライン実施する自治体マイナポイントの全国展開のための予算です。ローマ字表記のための経費は229・6億円です。
政府はマイナンバーに医療保険証や運転免許証、預貯金口座など、国民のさまざまな情報をひも付けようとしており、個人情報のプロファイリング(人物像の推定)や国民監視、情報漏えいの危険があります。
自治体DX推進計画の改定と自治体情報システムの標準化・共通化等の推進に4・5億円を計上しました。子ども・子育て支援や生活保護、介護保険など、基幹20業務システムを25年度までにガバメントクラウド上に構築された標準化基準に適合したシステムへ移行する予算です。
自治体の施策が国の鋳型にはめられて独自施策に困難が生じ、住民サービスの後退が懸念されます。

個人情報の活用
発足2年目のデジタル庁の概算要求額は5694・3億円(22年度比974億円増)です。
同庁が一括計上する各府省の政府情報システムの整備・運用費は、5556・1億円を計上。個人情報の利活用を進める「データ連携基盤」や地方自治の抑制などにつながるガバメントクラウドの整備、自治体の基幹業務システムの統一・標準化のための環境整備などです。
また、医療や教育、子どもなどの準公共分野でのデータ連携などを進める実証経費に11・3億円(0・3億円増)を計上。「高度なデジタルの知見」を持つ民間企業出身者の人件費として22・6億円を計上しています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年9月22日付掲載


デジタル化は良いことばかりではありません。
自治体DX推進計画の改定と自治体情報システムの標準化・共通化等の推進に4・5億円を計上しました。子ども・子育て支援や生活保護、介護保険など、基幹20業務システムを25年度までにガバメントクラウド上に構築された標準化基準に適合したシステムへ移行する予算です。
自治体の施策が国の鋳型にはめられて独自施策に困難が生じ、住民サービスの後退が懸念。
マイナンバーカード取得促進のために763・2億円を計上。

2023年度 概算要求の焦点⑦ 文教・こども 教員定数差し引き974人減

2022-09-23 07:13:16 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2023年度 概算要求の焦点⑦ 文教・こども 教員定数差し引き974人減
2023年度の文部科学省の概算要求は22年度当初予算比で6130億円増の5兆8949億円です。そのうち文教関係予算は4兆3589億円です(事項要求除く)。
新型コロナ危機を契機に文科省は21年度から5年間かけ小学校全学年を現在の40人学級から35人学級に引き下げる計画です。3年目の23年度は4年生が対象で、同省はそのために3283人の教職員定数改善を求めています。
ただし、そのうち1205人は現在自治体の判断で35~39人学級の実現に充てている加配定数を振り替えるため、少人数学級の推進に伴う教職員定数の純増は2078人にとどまります。加配定数は少人数指導など政策目的に応じて配分される定数です。
そのほか小学校高学年での教科担任制の推進に950人の加配を求めるなど、全体で5158人の定数改善を要求。一方、少子化や学校統廃合による定数減が6132人に上るため、少人数学級を進めても差し引きでは974人減です。過労死水準の長時間労働の解消や子どもへのきめ細やかな支援に逆行しています。

デジタル化巨額
小中学校に整備されたパソコンの1人1台端末の活用を支援する「GIGAスクール運営支援センターの機能強化」に102億円(92億円増)、学校運営に必要な仕事(校務)をデジタル化する実証事業に10億円(新規)、デジタル教科書・教材の活用のための通信環境の調査研究に6億円(新規)など、教育のデジタル化に巨額の予算を計上しています。多くの施策で民間活用を想定しており「教育の市場化」がいっそう進む危険があります。


2023年度概算要求の教職員定数の増減
小学4年生での35人学級実現3283人
通級指導や外国人児童生徒への指導充実425人
小学校高学年での教科担任制の推進950人
学校における働き方改革など500人
定数改善計5158人
少子化による基礎定数減-3167人
学校統廃合等に伴う「合理化」減-1760人
35人学級実現のための加配定数振り替え-1205人
定数減計-6132人
差し引き-974人



1人1台与えられたパソコン端末を操作する小学生

獲得を競わせる
国立大学法人運営費交付金は1兆1116億円(330億円増)です。本来大学の規模や学部編成に応じて機械的に配分すべき同交付金の一部に自公政権は19年度、外部資金獲得実績などの指標で評価して傾斜配分する改革インセンティブ制度を導入。概算要求では1千億円ですが、予算折衝で財務省からさらなる増額を迫られるとみられます。
さらに同交付金のうち915億円(140億円増)を、文科省が位置づける政策課題を実現するための予算枠とし、各大学に獲得を競わせる競争的資金にしています。交付金の傾斜配分や競争的資金化は、国立大学の安定的運営を困難にし、日本の研究力を掘り崩していると批判されています。
私立大学等経常費補助は3021億円(46億円増)です。政府の教育未来創造会議は定員未充足の大学への減額率を引き上げるなどの見直しを、23年度以降順次実施するとしており注意が必要です。
23年4月に発足するこども家庭庁の概算要求は、一般会計と特別会計を合わせて4兆7510億円です。ただ数字がついているのは厚生労働省や内閣府から移管された事業で、新規事業の予算は全て事項要求です。岸田文雄首相はこの間、子ども関連予算の「倍増」を表明してきましたが、概算要求では中身が全くみえません。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年9月21日付掲載


小中学校に整備されたパソコンの1人1台端末の活用を支援する「GIGAスクール運営支援センターの機能強化」に102億円(92億円増)、学校運営に必要な仕事(校務)をデジタル化する実証事業に10億円(新規)、デジタル教科書・教材の活用のための通信環境の調査研究に6億円(新規)など、教育のデジタル化に巨額の予算を計上。
国立大学法人運営費交付金のうち915億円(140億円増)を、文科省が位置づける政策課題を実現するための予算枠とし、各大学に獲得を競わせる競争的資金にしています。交付金の傾斜配分や競争的資金化は、国立大学の安定的運営を困難にし、日本の研究力を掘り崩していると批判されている。

2023年度 概算要求の焦点⑥ 社会保障 「自然増」も病床も削減へ

2022-09-22 07:18:31 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2023年度 概算要求の焦点⑥ 社会保障 「自然増」も病床も削減へ
社会保障厚生労働省の2023年度概算要求は22年度当初比1・9%(6340億円)増の33兆2644億円で、23年4月創設の「こども家庭庁」に移す関連予算を含めると実質的に過去最大です。ただ、新型コロナウイルス禍で医療体制などの逼迫(ひっぱく)を繰り返すなか、コロナ対策の大半は額を明示していません。逆に、高齢化などで当然増える社会保障費の「自然増」分の削減議論を加速させています。
コロナ対策として、引き続き医療機関の病床確保の支援やワクチン接種の体制確保、治療薬確保、介護事業所のサービス継続支援などを並べていますが、大半は金額を示さない「事項要求」です。感染拡大の状況を踏まえて年末の予算編成までに決める見通しです。

抜本的支援こそ
発熱外来や救急、入院治療をはじめ、回復期の患者を受け入れる後方支援医療や在宅医療、一般医療の維持など、地域医療全体の強化・連携を進める抜本的支援が求められています。21年度中に次々廃止した、医療機関に支払われる診療報酬の感染防止対策向けの各種加算の復活や、支給対象・要件が厳しい新加算の緩和を求める声も相次いでいます。
深刻な人手不足の問題では、保健師の派遣・研修や女性医師の「人材バンク」、医療従事者の働き方の改善、介護ロポットの開発加速など各事業を増額しましたが、抜本的増員は示さないままです。





医療・社会保障を立て直そうと訴える集会参加者=2021年10月、東京都内

現場に分断混乱
コロナ禍を受けて21年2月から始めた看護・介護職などの「賃上げ」分を引き続き計上していますが、看護職は月1万2000円程度、介護職などは月9000円程度と、不十分すぎます。しかも、看護職の対象者は大病院に限定しているうえ、同じ職場の看護補助者や理学療法士など多くの他職種を対象に加えるかどうかは病院任せです。現場に分断と混乱を持ち込んでいると批判が殺到しています。
コロナ禍のなかでも、消費税を財源にして病床削減や医療機関の統廃合へと誘導する「病床機能再編支援事業」に固執。計12道県18区域を選定している統廃合などの「重点支援区域」のサポート事業を増額しています。
国民負担増・給付削減で安倍・菅政権から2兆円を削り込んできた、社会保障費の「自然増削減路線」にも無反省です。22年度の自然増は5600億円と見込んで、介護保険の利用者負担増などの議論を進めています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年9月20日付掲載


コロナ禍を受けて21年2月から始めた看護・介護職などの「賃上げ」分を引き続き計上していますが、看護職は月1万2000円程度、介護職などは月9000円程度と、不十分。
コロナ禍のなかでも、消費税を財源にして病床削減や医療機関の統廃合へと誘導する「病床機能再編支援事業」に固執。計12道県18区域を選定している統廃合などの「重点支援区域」のサポート事業を増額。

2023年度 概算要求の焦点⑤ エネルギー・中小企業 原発固執 脱炭素逆行も

2022-09-21 07:13:13 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2023年度 概算要求の焦点⑤ エネルギー・中小企業 原発固執 脱炭素逆行も
電力不足を口実に、岸田文雄政権は次世代革新炉の開発・建設や原発7基の再稼働、既存原発の稼働期間の延長を表明しました。5月23日の日米首脳会談で、両国は「革新原子炉や小型モジュール炉の開発・世界展開を加速」することで合意。経済産業省も2023年度概算要求で原子力関連事業への増額を要望しています。

基盤強化24億円
高速炉をめぐる技術開発委託事業へ55・9億円、小型炉等の技術開発支援事業へ17億円を計上しました。22年度当初予算からそれぞれ12・4億円、5億円の増額です。革新軽水炉実証試験などには9・2億円増の32・5億円、技術・人材の維持・強化などにより原発業界を支援する「原子力産業基盤強化事業」へは同11・6億円増の24億円を盛り込みました。
脱炭素社会の実現に逆行する施策も多い。高効率の石炭火力のさらなる低炭素化を進めるなどとして180億円を新規計上。回収した二酸化炭素を地中に埋める「CCS」事業化へも新たに45億円を要求しました。太陽光の普及促進事業や風力・地熱などの開発事業を盛り込んではいるものの、4年間や5年間の時限事業が目立ちます。





川内原発の20年延長反対を訴え、パレードする参加者=8月21日、鹿児島県薩摩川内市

選別と切り捨て
新型コロナ禍の長期化で、過剰債務を抱えた中小企業の「あきらめ破綻」が増えると危惧されています。国として債務軽減・免除・返済猶予への支援が急務です。
しかし、政府は日本政策金融公庫などによる実質無利子の融資を9月末で打ち切ると発表しました。中小企業の資金繰りの命綱となる信用保証協会への補助・出資もわずか67・7億円の要求にとどまります。物価高騰が経営回復の足かせとなる中、中小企業の価格転嫁対策に資する「中小企業取引対策事業」へも27・9億円しか計上されていません。
一方、「自己変革への意欲が高い企業への支援強化」に巨額を投じています。企業の合併・買収(M&A)の推進を軸にした「中小企業活性化・事業承継総合支援事業」へ225億円を、デジタルなど先端技術に特化した「成長型中小企業等研究開発支援事業」へ132・9億円をそれぞれ要求しました。
成長分野に支援を集中する「選別と切り捨て」ではなく事業の継続の下支えこそ必要です。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年9月17日付掲載


脱炭素社会の実現に逆行する施策も多い。高効率の石炭火力のさらなる低炭素化を進めるなどとして180億円を新規計上。回収した二酸化炭素を地中に埋める「CCS」事業化へも新たに45億円を要求。太陽光の普及促進事業や風力・地熱などの開発事業を盛り込んではいるものの、4年間や5年間の時限事業が目立つ。
新型コロナ禍の長期化で、過剰債務を抱えた中小企業の「あきらめ破綻」が増えると危惧されています。国として債務軽減・免除・返済猶予への支援が急務。