2023年度 概算要求の焦点⑧ 地方経済・デジタル 住民サービス後退の危険
地方財政・デジタル総務省は2023年度予算の概算要求で、地方の一般財源総額(地方税や地方交付税など自治体が自主的判断で使える財源)を、22年度比0・2兆円増の62・2兆円と見込みました。
地方税等(地方譲与税、地方特例交付金を含む)は、1・2兆円(2・6%)増の45兆円。地方交付税等(同交付税不足分を振り替える臨時財政対策債1・3兆円を含む)は0・4兆円(2%)減の19・5兆円としました。
一般財源総額をめぐっては、「21年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保」する(『23年度の地方財政の課題』)としており、今回の要求はおおむね同方針を踏まえたものです。
牧島かれん前デジタル相(左)と河野太郎デジタル相(デジタル庁HPから)
独自施策に困難
一方、「自治体DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進と財政マネジメントの強化」を掲げ、公共施設等の適正配置や水道・下水道の広域化、公立病院経営強化プランの推進など、自治体リストラにつながる「改革」を挙げており注意が必要です。
全国知事会などが継続・拡充を求めていた「まち・ひと・しごと創生事業費」は、引き続き22年度と同額の1兆円が計上されました。
総務省は「デジタルへ変革への対応、グリーン化の推進、活力ある地域づくり」を主要な柱の先頭に掲げ、デジタル基盤の整備に1883・5億円を計上しています。そのうち763・2億円はマイナンバーカードの更新や新規取得者への交付、カードの海外使用を見込んだ氏名のローマ字表記、地域独自のポイント給付施策をオンライン実施する自治体マイナポイントの全国展開のための予算です。ローマ字表記のための経費は229・6億円です。
政府はマイナンバーに医療保険証や運転免許証、預貯金口座など、国民のさまざまな情報をひも付けようとしており、個人情報のプロファイリング(人物像の推定)や国民監視、情報漏えいの危険があります。
自治体DX推進計画の改定と自治体情報システムの標準化・共通化等の推進に4・5億円を計上しました。子ども・子育て支援や生活保護、介護保険など、基幹20業務システムを25年度までにガバメントクラウド上に構築された標準化基準に適合したシステムへ移行する予算です。
自治体の施策が国の鋳型にはめられて独自施策に困難が生じ、住民サービスの後退が懸念されます。
個人情報の活用
発足2年目のデジタル庁の概算要求額は5694・3億円(22年度比974億円増)です。
同庁が一括計上する各府省の政府情報システムの整備・運用費は、5556・1億円を計上。個人情報の利活用を進める「データ連携基盤」や地方自治の抑制などにつながるガバメントクラウドの整備、自治体の基幹業務システムの統一・標準化のための環境整備などです。
また、医療や教育、子どもなどの準公共分野でのデータ連携などを進める実証経費に11・3億円(0・3億円増)を計上。「高度なデジタルの知見」を持つ民間企業出身者の人件費として22・6億円を計上しています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年9月22日付掲載
デジタル化は良いことばかりではありません。
自治体DX推進計画の改定と自治体情報システムの標準化・共通化等の推進に4・5億円を計上しました。子ども・子育て支援や生活保護、介護保険など、基幹20業務システムを25年度までにガバメントクラウド上に構築された標準化基準に適合したシステムへ移行する予算です。
自治体の施策が国の鋳型にはめられて独自施策に困難が生じ、住民サービスの後退が懸念。
マイナンバーカード取得促進のために763・2億円を計上。
地方財政・デジタル総務省は2023年度予算の概算要求で、地方の一般財源総額(地方税や地方交付税など自治体が自主的判断で使える財源)を、22年度比0・2兆円増の62・2兆円と見込みました。
地方税等(地方譲与税、地方特例交付金を含む)は、1・2兆円(2・6%)増の45兆円。地方交付税等(同交付税不足分を振り替える臨時財政対策債1・3兆円を含む)は0・4兆円(2%)減の19・5兆円としました。
一般財源総額をめぐっては、「21年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保」する(『23年度の地方財政の課題』)としており、今回の要求はおおむね同方針を踏まえたものです。
牧島かれん前デジタル相(左)と河野太郎デジタル相(デジタル庁HPから)
独自施策に困難
一方、「自治体DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進と財政マネジメントの強化」を掲げ、公共施設等の適正配置や水道・下水道の広域化、公立病院経営強化プランの推進など、自治体リストラにつながる「改革」を挙げており注意が必要です。
全国知事会などが継続・拡充を求めていた「まち・ひと・しごと創生事業費」は、引き続き22年度と同額の1兆円が計上されました。
総務省は「デジタルへ変革への対応、グリーン化の推進、活力ある地域づくり」を主要な柱の先頭に掲げ、デジタル基盤の整備に1883・5億円を計上しています。そのうち763・2億円はマイナンバーカードの更新や新規取得者への交付、カードの海外使用を見込んだ氏名のローマ字表記、地域独自のポイント給付施策をオンライン実施する自治体マイナポイントの全国展開のための予算です。ローマ字表記のための経費は229・6億円です。
政府はマイナンバーに医療保険証や運転免許証、預貯金口座など、国民のさまざまな情報をひも付けようとしており、個人情報のプロファイリング(人物像の推定)や国民監視、情報漏えいの危険があります。
自治体DX推進計画の改定と自治体情報システムの標準化・共通化等の推進に4・5億円を計上しました。子ども・子育て支援や生活保護、介護保険など、基幹20業務システムを25年度までにガバメントクラウド上に構築された標準化基準に適合したシステムへ移行する予算です。
自治体の施策が国の鋳型にはめられて独自施策に困難が生じ、住民サービスの後退が懸念されます。
個人情報の活用
発足2年目のデジタル庁の概算要求額は5694・3億円(22年度比974億円増)です。
同庁が一括計上する各府省の政府情報システムの整備・運用費は、5556・1億円を計上。個人情報の利活用を進める「データ連携基盤」や地方自治の抑制などにつながるガバメントクラウドの整備、自治体の基幹業務システムの統一・標準化のための環境整備などです。
また、医療や教育、子どもなどの準公共分野でのデータ連携などを進める実証経費に11・3億円(0・3億円増)を計上。「高度なデジタルの知見」を持つ民間企業出身者の人件費として22・6億円を計上しています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年9月22日付掲載
デジタル化は良いことばかりではありません。
自治体DX推進計画の改定と自治体情報システムの標準化・共通化等の推進に4・5億円を計上しました。子ども・子育て支援や生活保護、介護保険など、基幹20業務システムを25年度までにガバメントクラウド上に構築された標準化基準に適合したシステムへ移行する予算です。
自治体の施策が国の鋳型にはめられて独自施策に困難が生じ、住民サービスの後退が懸念。
マイナンバーカード取得促進のために763・2億円を計上。