徹底追及 統一協会 信者2世編Ⅱ① “どんな相手でも甘受せよ” 洗脳されて集団結婚 14万円で買われた
作家 冠木結心(かぶらぎけいこ)さん
1992年、高校のテスト休み中で家にいた作家の冠木結心さんは、昼のワイドショーを見て愕然(がくぜん)としました。東京ドームの映像と「宗教団体の大会が行われているもようです」との声が流れたからです。東京ドームはその日、母親が「集会がある」と出かけた場所でした。統一協会(世界平和統一家庭連合)の大会だったのです。
「親孝行」で入信
両親の仲が悪く、母親は、仏教の一派を名乗る天地正教にはまっていきました。数万円する数珠や大理石の弥勒菩薩(みろくぼさつ)を買うことも。実は天地正教は、統一協会のダミー団体でした。
「母親は仏教を信じていたと思っていました」と冠木さん。母親は天地正教から統一協会へのみ込まれていきます。
母親は、冠木さんを統一協会に勧誘するようになります。当時、統一協会に関する報道が盛んでした。ただ生き生きとしていくように見えた母親の誘いを断ることはできません。親孝行のつもりで入信しました。
会社員になってから、母親は冠木さんに「献身」=出家をすすめました。
「身も心も全て神にささげるというもので、ホームと呼ばれる一軒家で約30人の信者と暮らしました。圧倒的に女性が多かったです」
夜中まで講義を受け、15畳ほどの部屋に雑魚寝。朝5時に起きて祈祷(きとう)し、勤務先へ向かう生活を送りました。
ある日、21日間の修練会に行くことが決まります。長期間仕事を休むわけにはいかず、やむなく退職することに。
修練会では四六時中講義を聞かされます。深く洗脳され、集団結婚を決めました。
1992年に統一協会のダミー団体「世界平和女性連合」が東京ドームで開いた集会。韓鶴子総裁が出席しました(『日本統一運動史』より)
殴る蹴るの暴行
統一協会が選んだ結婚相手は、年下の韓国人でした。
教義をまとめた『原理講論』の教えでは日本は韓国に奉仕する「エバ国家」です。日本人にとって韓国人とつながれることは光栄なことで、「どんな男性でも甘受しろ」と教えられました。
当時、集団結婚のために統一協会に、日本人は140万円、韓国人は140万ウォン(約14万円)を払う仕組みでした。
「韓国では『日本人と結婚できる』と宣伝され、信仰心がない人が集まりました。『14万円で嫁を買う』という感覚なのだと思います。まるで人身売買です」
言葉が全く通じない状況で家庭生活が始まりました。夫は家にお金も入れず、毎日のように飲みに出かけました。怒鳴りつけることや、殴る蹴るなどの暴力をふるうことも。
出産を機に離婚を決意。「子どもに暴力がふるわれるかもしれないということが一番怖かったです」
それでも統一協会は「離婚はサタンが喜ぶ」と脅します。やっとの思いで親に切り出しましたが、専門機関ではなく、統一協会の教区長に相談することに。教区長は「うまく彼を立てれば大丈夫」と夫の肩を持ちました。
失望した冠木さんは、覚悟を決め、離婚を告げました。夫は養育費を支払わないことを条件にした上、家中の金目になるものを奪い、姿を消しました。(つづく)
(統一協会取材班)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年9月19日付掲載
教義をまとめた『原理講論』の教えでは日本は韓国に奉仕する「エバ国家」です。日本人にとって韓国人とつながれることは光栄なことで、「どんな男性でも甘受しろ」と教えられました。
「韓国では『日本人と結婚できる』と宣伝され、信仰心がない人が集まりました。『14万円で嫁を買う』という感覚なのだと思います。まるで人身売買」
統一協会は、宗教団体とは縁のゆかりもない、文鮮明のための金集めの偽装団体だ。
作家 冠木結心(かぶらぎけいこ)さん
1992年、高校のテスト休み中で家にいた作家の冠木結心さんは、昼のワイドショーを見て愕然(がくぜん)としました。東京ドームの映像と「宗教団体の大会が行われているもようです」との声が流れたからです。東京ドームはその日、母親が「集会がある」と出かけた場所でした。統一協会(世界平和統一家庭連合)の大会だったのです。
「親孝行」で入信
両親の仲が悪く、母親は、仏教の一派を名乗る天地正教にはまっていきました。数万円する数珠や大理石の弥勒菩薩(みろくぼさつ)を買うことも。実は天地正教は、統一協会のダミー団体でした。
「母親は仏教を信じていたと思っていました」と冠木さん。母親は天地正教から統一協会へのみ込まれていきます。
母親は、冠木さんを統一協会に勧誘するようになります。当時、統一協会に関する報道が盛んでした。ただ生き生きとしていくように見えた母親の誘いを断ることはできません。親孝行のつもりで入信しました。
会社員になってから、母親は冠木さんに「献身」=出家をすすめました。
「身も心も全て神にささげるというもので、ホームと呼ばれる一軒家で約30人の信者と暮らしました。圧倒的に女性が多かったです」
夜中まで講義を受け、15畳ほどの部屋に雑魚寝。朝5時に起きて祈祷(きとう)し、勤務先へ向かう生活を送りました。
ある日、21日間の修練会に行くことが決まります。長期間仕事を休むわけにはいかず、やむなく退職することに。
修練会では四六時中講義を聞かされます。深く洗脳され、集団結婚を決めました。
1992年に統一協会のダミー団体「世界平和女性連合」が東京ドームで開いた集会。韓鶴子総裁が出席しました(『日本統一運動史』より)
殴る蹴るの暴行
統一協会が選んだ結婚相手は、年下の韓国人でした。
教義をまとめた『原理講論』の教えでは日本は韓国に奉仕する「エバ国家」です。日本人にとって韓国人とつながれることは光栄なことで、「どんな男性でも甘受しろ」と教えられました。
当時、集団結婚のために統一協会に、日本人は140万円、韓国人は140万ウォン(約14万円)を払う仕組みでした。
「韓国では『日本人と結婚できる』と宣伝され、信仰心がない人が集まりました。『14万円で嫁を買う』という感覚なのだと思います。まるで人身売買です」
言葉が全く通じない状況で家庭生活が始まりました。夫は家にお金も入れず、毎日のように飲みに出かけました。怒鳴りつけることや、殴る蹴るなどの暴力をふるうことも。
出産を機に離婚を決意。「子どもに暴力がふるわれるかもしれないということが一番怖かったです」
それでも統一協会は「離婚はサタンが喜ぶ」と脅します。やっとの思いで親に切り出しましたが、専門機関ではなく、統一協会の教区長に相談することに。教区長は「うまく彼を立てれば大丈夫」と夫の肩を持ちました。
失望した冠木さんは、覚悟を決め、離婚を告げました。夫は養育費を支払わないことを条件にした上、家中の金目になるものを奪い、姿を消しました。(つづく)
(統一協会取材班)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年9月19日付掲載
教義をまとめた『原理講論』の教えでは日本は韓国に奉仕する「エバ国家」です。日本人にとって韓国人とつながれることは光栄なことで、「どんな男性でも甘受しろ」と教えられました。
「韓国では『日本人と結婚できる』と宣伝され、信仰心がない人が集まりました。『14万円で嫁を買う』という感覚なのだと思います。まるで人身売買」
統一協会は、宗教団体とは縁のゆかりもない、文鮮明のための金集めの偽装団体だ。