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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

北陸新幹線の延伸 水・暮らし・文化を破壊 京都市長選 24.2.4 福山候補「福祉に回せ」

2023-12-14 07:07:46 | 政治・社会問題について
北陸新幹線の延伸 水・暮らし・文化を破壊 京都市長選 24.2.4 福山候補「福祉に回せ」
「京都を南北につらぬく巨大地下トンネルを掘れば井戸水が枯渇する危険に」「市の財政負担は数千億円にも」―。北陸新幹線の延伸が暮らしと文化を壊してしまうと住民が声を上げ、京都市長選(来年1月21日告示、2月4日投票)の大きな争点の一つになっています。
(速水大地)

来年3月に金沢―敦賀(福井県)間が開業する北陸新幹線。計画では、2046年には敦賀から小浜を通り、京都を縦断して大阪まで延伸。ルートの約8割がトンネルです。(図)
地下40メートル以深のトンネルを掘ることで懸念されるのが地下水の枯渇です。京都盆地の地下には琵琶湖に匹敵する巨大な水がめがあり、豊かな地下水が京都を彩る京料理、お茶、湯葉や豆腐、和菓子、酒といった伝統産業や暮らしを支えています。
すでに工事が進んでいる敦賀市では農業用水の水枯れなどの被害が起き、京都市内でも鉄道の地下工事で井戸水が枯れた過去もあります。大深度トンネルを掘って地下の湖に穴をあけてしまった時に何が起きるのか「掘ってみないとわからへん」というのが土木の専門家の見解です。



北陸新幹線延伸 敦賀―新大阪延伸ルート案

残土どうする
大量の残土も問題です。試算では、全体で約880万立方メートルと、10トンダンプ車160万台以上に相当。西京極球場に置けば、高さ640メートルで大文字山(標高465層メートル)を超える量ですが、処分方法は決まっていません。
工事が始まれば、地域によっては10年を超える長期間、大量のダンプ車が往来し、周辺の自然や住環境が激変。気候変動で災害が大規模化する今、残土の置き場によっては、21年に静岡県熱海市で起きたような大規模土砂災害の危険性も指摘されています。
ルート候補地の南丹、京北地域は原生的な自然や希少動物、里山の暮らしが残る土地。工事は自然や生態系を壊すだけでなく、丹波山地の掘削で地下に眠っていた有毒なヒ素が川や田畑に流入すれば、里山の暮らし、農林業などのなりわいが破壊されます。



延伸反対パレードで市民と談笑する福山氏(中央奥)=11月23日、京都市役所周辺

負担額も不明
京都市がいくら負担するかも決まっていません。総工費2・1兆円(2016年試算)の仮に10%なら、2100億円の負担。物価高などで北海道新幹線の札幌延伸や北陸新幹線の金沢-敦賀間の工費が約4割も増えており、今回の延伸に当てはめれば総工費は約4兆円に。当初の「ぎりぎり黒字」といわれた時とは状況が大きく変わって、着工自体も厳しくなり「北陸へはサンダーバード、大阪へは在来線も新幹線もあり、もう一本、新幹線は必要ない」との声は強まっています。
京都府・京都市は、日本共産党を除く「オール与党」推薦の首長のもとで延伸計画を進め、今回、新たな候補を推薦して対決のポーズをとる維新の会も、大阪のカジノ計画を見据えて延伸を推進しています。
「つなぐ京都2024」の福山和人候補は「京都市はこの間“財政破綻するかも”と言って民間保育園の補助金カット、学童保育料や敬老乗軍証の値上げなど、50億円以上も市民の福祉を削ったが、新幹線は数千億円の借金を残す危険がある」と批判。北陸新幹線延伸の現行計画に白紙撤回を含む抜本的な見直しを求め、削減された福祉施策の復活を公約に掲げています。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年12月13日付掲載


来年3月に金沢―敦賀(福井県)間が開業する北陸新幹線。計画では、2046年には敦賀から小浜を通り、京都を縦断して大阪まで延伸。ルートの約8割がトンネル。
地下40メートル以深のトンネルを掘ることで懸念されるのが地下水の枯渇。ルート候補地の南丹、京北地域は原生的な自然や希少動物、里山の暮らしが残る土地。
採算問題に合わせて、北陸へはサンダーバード、大阪へは在来線も新幹線もあり、もう一本、新幹線は必要ないとの声も。
来年1月の京都市長選挙の争点の一つに浮上。

原発は強い地震来ない

2023-12-13 07:17:24 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
原発は強い地震来ない
『南海トラフ巨大地震でも原発は大丈夫と言う人々』
樋口英明 著
ひぐち・ひであき=1952年生まれ。元裁判官。『私が原発を止めた理由』

著者は元裁判官であり、2014年5月、福井地裁の裁判長として、関西電力大飯原発3・4号機の運転差し止めを命じる判決を言い渡した。15年4月にも、関西電力高浜原発3・4号機の再稼働差し止めの仮処分決定を出している。原発の危険性に警鐘を鳴らしてきた人である。
本書のメッセージはタイトルに凝縮されている。少し言葉を補うと「南海トラフ巨大地震がきても原発は大丈夫と言う人たちがいるけれど、それって一般の市民感覚からするとおかしくないですか?」ということだ。



旬報社・1430円

一般に、原発差し止め裁判の争点は「強い地震がきても原発は耐えられるか否か」だと思われているだろう。しかし著者は、そうではないと言う。これはよくある誤解で、実際には電力会社も強い地震に耐えられないことは認めているが、「原発の敷地に限っては強い地震はきませんから安心してください」と主張しているのだ。
現在の科学的知見で「この場所には一定水準以上の強い地震が絶対にこない」と断言できるのか、おそらく多くの人が疑問に思うはずだ。司法には細かな知識ではなく、こうした一般の市民感覚に沿ったリアリティーのある判断が求められるのだと著者は言う。そうすれば「原発を止めるべきだ」という結論にごく自然に到達するであろう。
著者は元裁判官として、東電福島第1原発事故被害者の集団訴訟で最高裁が22年6月に国の責任を否定したことを、「不公平で無責任」だと厳しく諫めている。また、岸田政権による原発回帰と安保政策の転換に対しても、強く批判する。
時宜にかなった警告の著である。現状を憂う多くの人に読んでほしい。

除本理史・大阪公立大学教授

「しんぶん赤旗」日曜版 2023年12月10日付掲載


本書のメッセージはタイトルに凝縮されている。少し言葉を補うと「南海トラフ巨大地震がきても原発は大丈夫と言う人たちがいるけれど、それって一般の市民感覚からするとおかしくないですか?」ということ。
実際には電力会社も強い地震に耐えられないことは認めているが、「原発の敷地に限っては強い地震はきませんから安心してください」と主張。
これって、科学的じゃないですね。

二酸化炭素濃度増加 4、5度高い時に匹敵

2023-12-11 07:12:07 | 環境問題・気候変動・地球温暖化について
二酸化炭素濃度増加 4、5度高い時に匹敵
現在の大気中の二酸化炭素濃度は、1400万年前と同水準であることがわかったと、世界の16力国の80人以上の研究者のグループが米科学誌『サイエンス』(8日付)に発表しました。当時の地球の平均気温は、現在よりも4~5度高かったときれています。
研究グループは、南極の氷や、古代の土壌、海底堆積物、化石植物などさまざまな材料を使ってこれまで得られたデータを、最新の知見を加味しながら統一的に評価。恐竜が絶滅した約6600万年前以降の大気中の二酸化炭素濃度と地球の平均気温の変化の様子を再現しました。
その結果、約5000万年前、大気中の二酸化炭素濃度は1600PPmに達し、地球の平均気温が現在より12度高かったことがわかりました。その後、大気中の二酸化炭素濃度は徐々に減少し、それとともに地球の平均気温も低くなり、3400万年前には南極の氷床が形成されはじめました。



グリーンランド氷床の緑は氷が解けて地面がむき出しになっています。(© Kevin Krajick/Earth Institute)

250万年前には大気中の二酸化炭素濃度が産業革命前の280PPm程度まで低下し、極域が氷で覆われる氷河期が始まりました。産業革命により二酸化炭素の人為的な排出が急激に増え、現在の大気中の二酸化炭素濃度は約420PPmと、産業革命前の約1・5倍に上昇しています。
このまま、排出が続けば、大気中の二酸化炭素濃度は、今世紀中に2倍を超える可能性があると指摘されています。今回の研究で、大気中の二酸化炭素濃度が2倍になると、地球の平均気温は5~8度高くなる可能性があることがわかったといいます。
長期的な気候が二酸化炭素などの温室効果ガスの影響を非常に受けやすいことも示しており、研究グループは産業革命前より1・4度以上高くなっている現在の地球の平均気温がさらに高くなる可能性があると警鐘を鳴らしています。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年12月9日付掲載


250万年前には大気中の二酸化炭素濃度が産業革命前の280PPm程度まで低下し、極域が氷で覆われる氷河期が始まりました。産業革命により二酸化炭素の人為的な排出が急激に増え、現在の大気中の二酸化炭素濃度は約420PPmと、産業革命前の約1・5倍に上昇。
このまま、排出が続けば、大気中の二酸化炭素濃度は、今世紀中に2倍を超える可能性があると指摘。今回の研究で、大気中の二酸化炭素濃度が2倍になると、地球の平均気温は5~8度高くなる可能性があることがわかったと。

探査機「SLIM」月面へ 日本初の着陸目指す 来月20日

2023-12-10 07:11:33 | 科学だいすき
探査機「SLIM」月面へ 日本初の着陸目指す 来月20日
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は5日、小型探査機「SLIM(スリム)」の月面着陸を来月20日に実施すると発表しました。成功すれば、日本初。世界でも、米国、ロシア、中国、インドに続き、5番目の月面着陸です。
SLIMは、月の狙った場ピンポイント着陸や、月面着陸に必要な装置の軽量化、月の起源探査などの目的を実証するための小型探査機。9月に鹿児島県の種子島ンターから打ち上げられ、月に向かって飛行を続けています。



月面着陸したSLIMの想像図(JAXA提供)

今月末に月の周回軌道に投入され、日本時間の来年1月20日午前0時ごろから着陸降下を開始し、同0時20分ごろ月面着陸する予定です。目指す着陸地点は月の表側、赤道近くの「神酒(みき)の海」にある小さなクレーターです。従来の月着陸精度である数キロメートル~十数キロメートルに対して誤差100メートル以内の高精度着陸に挑みます。
月上空で撮影した月表面の画像からクレーターを認識し、あらかじめ内蔵された月面地図と照合することで、SLIMは機体の位置と速度を精度よく測定。自動制御しながら目標地点に接近し、危険な岩などを避けて着陸します。
会見したSLIMプロジェクトマネージャの坂井真一郎教授は「着陸には、航空機の何倍もの速度を減速させなければならないなどさまざまな困難が待ち受けているが、なんとしても成功させ、日本ならではの技術で今後のさまざまな宇宙探査に貢献したい」と語りました

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年12月6日付掲載


今月末に月の周回軌道に投入され、日本時間の来年1月20日午前0時ごろから着陸降下を開始し、同0時20分ごろ月面着陸する予定。
月上空で撮影した月表面の画像からクレーターを認識し、あらかじめ内蔵された月面地図と照合することで、SLIMは機体の位置と速度を精度よく測定。自動制御しながら目標地点に接近し、危険な岩などを避けて着陸。
今までは、「着陸できるところに着陸する」だったが、今度は「着陸したいところに着陸する」に発展。2回に渡る小惑星探査の技術が生かされています。


JAXA法を改定 宇宙の軍事利用に民間技術取り込む

2023-12-09 07:01:35 | 政治・社会問題について
JAXA法を改定 宇宙の軍事利用に民間技術取り込む
岸田文雄政権は、国立研究開発法人・宇宙航空研究開発機構(JAXA)法を改定し、民間企業や大学への資金提供機能を加えました。
JAXAは、宇宙科学技術の先端的な研究開発で、企業・大学と連携しています。法改定で、先端的な研究開発を担う企業や、大学、研究機関への助成金拠出が可能となったため、そのための基金を設置しました。

10年間で1兆円
基金は内閣府主導のもと、JAXAを所管する文部科学省、宇宙関連事業を所管する経済産業省、総務省が資金を拠出。10年間で1兆円規模とされ、2023年度補正予算には計3000億円が盛り込まれました。
政府は、基金で新興企業の支援などを行い、宇宙産業の市場規模を現在の4兆円から30年早期に8兆円に倍加させる計画です。
JAXAの民間支援機能の強化の背景には、民間の宇宙技術の軍事転用を進める狙いがあります。
政府は、今年度中に策定予定の「宇宙技術戦略」で、技術開発から商業化に至るまでの国の集中支援の工程表を提示します。JAXAが同戦略の「中核機関」を担います。支援の柱には、ミサイル防衛のための「衛星コンステレーション(小型衛星群)」が位置付けられています。



JAXAの小惑星探査機「はやぶさ」(手前)などの実物大模型


米国が運用するGPS(全地球測位システム)の補完・補強が目的の測位衛星「みちびき」(イラスト=内閣府宇宙開発戦略推進事務局提供)

今年6月に策定された「宇宙安全保障構想」では、JAXA基金などを念頭に「政府が安全保障上重要な技術開発を行う企業を支援する」と指摘されていました。6月改定の「宇宙基本計画」では宇宙科学技術の「デュアルユース(軍事転用)」を踏まえた官民協力が強調されました。
JAXAの基金が政府の宇宙軍拡政策のために使われる危険があります。
経団連は「宇宙基本計画に向けた提言」(3月14日公表)で、企業の研究開発を支援するJAXAへの基金設置と併せ、安全保障分野でのJAXAの機能強化を要求しました。
政府は、24年度中に米国防総省が運用する光学センサーを搭載した衛星を打ち上げる予定です。米軍がアジアの静止軌道上での宇宙領域認識を強化することが狙いです。JAXAが開発中の新型「H3ロケット」で打ち上げるとしています。「宇宙は、今や明白な戦闘領域である」(20年6月、国防宇宙戦略)と位置づける米国の宇宙での軍事活動にJAXAが協力することになります。

歯止め規定なし
JAXA本来の役割には平和目的の宇宙開発があります。「わが国における宇宙開発及び利用の基本に関する決議」(1969年5月9日)は、宇宙開発について「平和の目的に限り」とし、JAXAの前身の宇宙開発事業団の事業目的も「平和の目的に限」ることを掲げました。このもとでJAXAは探査機「はやぶさ」シリーズによる小惑星試料の採集など宇宙の解明に貢献してきました。
しかし2012年のJAXA法改定で平和目的への限定を定めた文言が削除されました。軍事利用に対する歯止め規定が外されたもと、岸田政権は日米一体の宇宙軍拡にJAXAを組み込もうとしています。
(日隈広志)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年12月7日付掲載


JAXAの民間支援機能の強化の背景には、民間の宇宙技術の軍事転用を進める狙いが。支援の柱には、ミサイル防衛のための「衛星コンステレーション(小型衛星群)」が位置付け。
JAXA本来の役割には平和目的の宇宙開発が。このもとでJAXAは探査機「はやぶさ」シリーズによる小惑星試料の採集など宇宙の解明に貢献。
軍事利用に対する歯止め規定が外されたもと、岸田政権は日米一体の宇宙軍拡にJAXAを組み込もうと。