2022年12月14日
リポート 北海道機船漁業協同組連合会 原口聖二
[#6 洋上風力発電と漁業 海外の経験 米国東部大西洋沿岸9州 単一補償管理機関設置へ]
米国東部大西洋沿岸の9つの州(メイン州・ニューハンプシャー州・マサチューセッツ州・ロードアイランド州・コネチカット州・ニューヨーク州・ニュージャージー州・メリーランド州・バージニア州)は、洋上風力発電の地元漁業への影響緩和と補償問題解決を目的とする単一の地域基金管理者の設置に向けた行動を進めている。
各州は、洋上風力エネルギーの開発と漁業分野の維持を両立させることの重要性を認識し、漁業分野への影響緩和と補償のための基金管理者の設置に関し、漁業分野、洋上風力発電開発者、事業者らの意見、情報を求めている。
これらのとりまとめは、財務管理機関および関心のある一般市民に通知される。
これは、2022年6月に内務省海洋エネルギー管理局 (BOEM)が発表した漁業分野への影響を緩和するための枠組み草案に対応したもので、影響を受ける大西洋沿岸沖合の漁業者と洋上風力発電事業者にとって、公正、公平で透明な方法で機能するシステムを目指しているとし、影響を受ける漁業関係者の経済的損失に対する資金を調達し、適性に分配するため、大西洋沿岸沖合を対象に単一の地域管理者を設置する最善の方法を選択すると加えている。
BOEM がバージニア・ ビーチ距岸24カイリの“バージニア”プロジェクトと、ニューヨーク州モントーク距岸東方沖合26.5 マイルにある“サンライズ”プロジェクトの環境影響に関する草案を 用意しており、2022年12月16日、官報で公開され、2023年2月14日までの60日間がパブリック・ コメントの期間となる。
これらの洋上風力発電プロジェクトは、審査段階の4番目と5番目の案件となっており、最初の“ヴィンヤード”と“サウス・フォーク“の2つのプロジェクトはBOEMによって承認されている。
ただし、マサチューセッツ州沖で建設中の“ヴィンヤード”のプロジェクトについては“米国漁業代表者連合”と“責任ある沖合開発同盟 (RODA)”が、マサチューセッツ州沖で建設中のプロジェクトを停止させるための訴訟を起こすなど、環境上の理由等からますます抵抗が強まっている。