2022年12月24日(日本経済新聞様から)
北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[国内損保 ロシア全域で船舶保険停止]
国内損害保険各社は2023年1月1日から、ロシアやウクライナの全海域で戦争による船舶の沈没などの被害を補償する保険の提供を停止する。
日本経済新聞が伝えた。
ロシアのウクライナ侵攻から約10カ月が経過するが、戦争が収束するめどはいっこうに立っていない。海外の再保険会社がロシア関連のリスクの引き受けを拒否したことが、今回の判断の背景にある。
東京海上日動火災保険と損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険の3社が23日から船主への通知を始めた。日本企業が参加する石油・天然ガス開発事業「サハリン2」からの液化天然ガス(LNG)の輸入などに影響する可能性がある。
船舶保険はほぼ全ての船舶が加入している。被害を補償する保険がなければ、航行は極めて難しくなる。今回の措置の対象には、ウクライナに近い黒海やアゾフ海だけでなく、ロシア東部や北極海航路などの全海域が含まれる。
これまでウクライナやロシアの海域を航行する場合、軍事行動に伴う被害でも補償を受けるには、主契約とは別に「船舶戦争保険」に加入する必要があった。航行する際には事前に保険会社に通知して補償条件や保険料を確認し、割増保険料を払うことで補償を受けることができた。今後は保険に加入することができなくなる。
世界最大の保険市場を運営するロイズ保険組合を中心とした英国の委員会は22年2月、ウクライナ周辺を「リスクの高い地域」に指定し、4月には対象をロシア全域に広げた。損保各社は危険海域の拡大にあわせ、沈没リスクなどを補償する船舶保険で高めの保険料を設定する地域を広げてきた。
無保険の状況が続けば、ロシアから日本への資源輸入に影響を与える公算が大きい。損保各社は保険サービスの提供を再開することが可能か、再保険会社との交渉をクリスマス休暇明けから始める見通しだ。だが、再保険会社が再び引き受けに転じるかは不透明な情勢だ。