2024年09月01日
北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[アイランド漁業界 自国政府とEUが共謀し産業を追い込んでいると批判]
アイルランド漁業界は、自国政府とEUが共謀し同業界を追い込んでいると批判、不信感を表明している。
アイルランド漁業・水産物連盟(Irish Fishing & Seafood Alliance:IFSA)代表コルマック・ブァルク(Cormac Burke)は、現在、夏季休暇を楽しんでいる権力者たちは、直面している厳しい困難について、少しでも考えているだろうかと語り、このセクターが奈落の底に沈んでいると言及、同国の漁獲割当量が毎年縮小し、アイルランドの漁船の減船が続き、一方で、EU漁船団の漁獲割当は増加していると指摘した。
コルマック・ブァルクは、アイルランドの漁業が、EU諸国と明らかに手を組んでいる自国の政治家や当局によって、徐々に縮小されつつあることは広く知られている事実だと述べ、船主が漁船をアイルランド以外のEUの買い手に売却し、彼らがアイルランド海域で漁業を行うことで利益を得る可能性もあると言及、今こそ行動を起こす時で、次期選挙で政治的変化を求める必要があると強調した。
今年2024年6月には、アイルランドの漁業・水産加工業5団体の代表者がダブリンに集まり、団結して英国離脱後のEU改革を求めるための初の作業会合を行っている。
キリーベグズ・漁業者機構(Killybegs Fisherman’s Organisation:KFO)、アイルランド漁業生産者機構(Irish Fish Producers Organisation :IFPO)、アイルランド南部・西部漁業生産者機構(Irish South & West Fish Producers Organisation:IS&WPO、 アイルランド南部・東部漁業生産者機構(Irish South & East Fish Producers Organisation:IS&EPO)、そして、アイルランド水産物加工者輸出者協会(Irish Fish Processors and Exporters Association :IFPEA)の代表者が参加した。
5団体は、作業会合を終了後、アイルランド漁業が、英国EU離脱によって漁獲割当が削減され、大きな打撃を受けていること等、重大な課題に対する認識を高めるために協力することに合意したと発表、団結して自国政府とEUに対し問題解決のための働きかけを行っていくことを表明した経緯がある。
英国のEU離脱による漁獲割当の譲渡は、2021年から開始されており、2026年半ばまで実行される。
譲渡のプロセスは(括弧内は全体に対する比率)次のとおりとなる。
2021年:60%(15.0%) 2022年:70%(17.5%) 2023年:80%(20.0%) 2024年:92%(23.0%)
2025年:100%(25.0%)
非TAC魚種については、2012年から2016年の間に記録された平均漁獲量をベースに、2026年半ばまでに制限されることになっている。
英国に渡る漁獲割当の国別負担は、アイルランドが40%で、EU諸国が60%とされている。