ロシア漁業ニュースヘッドライン

北海道機船漁業協同組合連合会
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一般社団法人北洋開発協会

ロシア漁業発展・地域貢献のために必要となる仕分けされた関連統計  リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

2024-09-07 15:52:17 | 日記

2024年09月07日

リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

[ロシア漁業発展・地域貢献のために必要となる仕分けされた関連統計]

1992年9月4日、ロシア連邦政府決定No.708により、漁業の民営化が開始された。

ロシアにおける漁業分野の民営化後の歴史全体は、“連邦規制当局-地方-漁業”という三角形のバランスを模索する苦難の日々だった。

1990年代前半から、約15年間にわたり漁業分野の資産掌握、裁定は主に地方知事の権限が大きく、連邦政府、漁業規制当局は、業界の発展のための一貫した戦略を策定したり、実行したりすることができなかった。

この間の問題は、地方自治体による漁業管理が、地方予算制度や社会経済発展に、漁業分野が貢献することが出来ず、当該自治機関がこの分野の利益を享受したことにある。

2000年代後半からは、ロシア漁業分野の構造や経営体制に大きな変化が起きている。

M&Aが進み、水棲生物資源の漁獲割当の大きなシェアをもつ巨大なグループ企業が出現している。

その結果、“連邦規制当局-地方-漁業”という三角形の力のバランスは、連邦規制当局側にシフトしつつある。

同時に、複数の地域で地元当局から独立して操業している大規模漁業者の影響力も拡大している。

このバランスの変化自体は正しい方向への一歩だが、厄介な影響も存在している。

連邦政府は、漁業法を改正する際、地域の特性に言及することに一種のアレルギーを持っている。

また、連邦規制当局と大企業は社会的な側面を見ずに行動することが多くなっている。

ロシア漁業者水産物輸出者協会ヴァルペ会長ズベレフは、漁業分野の地域社会への貢献を示す複数のインデクスの評価を提案している。

地域社会に対する漁業分野の貢献を過小、さらには不正確に評価すると、誤った経営判断が生じるリスクが高まるとした上で、この中には、財政余剰処分が含まれると指摘している。

1つのインデクスは財政、つまり地方予算システムへの納税であり、例えばカムチャツカ地方では、昨年2023年、漁業分野から地方予算への納税額は21%増加し450億ルーブルを超えている。

もう1つのインデクスは、地域総生産への貢献となるが、漁業分野の生産についてロシア統計当局ロススタットは“農業、狩猟、林業、漁業、養殖”のひとまとまりにしており、水産加工分野は“加工産業”内に「隠蔽」されている。

ロススタットは漁業活動に関する個別の統計記録を残していない。

また、船舶修理、港湾施設、物流、水産物製品貿易、造船、教育に対する漁業複合体の貢献に関する記録も残していない。

更に、もう1つのインデクスは、社会および労働関係に対する漁業分野の貢献となる。

例えばカムチャツカ地方では、社会基金の資金調達への漁業の貢献は、電力、建設、運輸、鉱業を合わせた調達の1.3倍となっている。

漁業分野の社会的側面の魅力は、極東に若者を留めておくことと、この地域に新たな定住者を惹きつけることの両方にある。

この3つのインデクスをすべて使用した場合にのみ、地域の社会経済発展に対する漁業分野の貢献を確実かつ正確に評価することができ、“連邦規制当局-地方-漁業”という三角形の力のバランスを調整することが可能で、当該目的のために正しい統計が必要である。

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没収されたロシア極東海域カニ漁獲割当再販オークション 三度び不成立

2024-09-07 11:19:48 | 日記

2024年09月07日

北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

[没収されたロシア極東海域カニ漁獲割当再販オークション 三度び不成立]

国家によって没収されたロシア極東海域カニ漁獲割当再販オークションが三度び不成立となった。

実施予定日は2024年9月6日で、申請受付期限が同年9月4日だったが、やはり応札申請者がなかった。

今回、*スタート・プライスは、前回の約22億ルーブルから10%引き下げされていた。

この再販オークションは、2024年7月11日、同年8月7日にも実施が予定されたが応札申請がなく、いずれも不成立となっていた。

落札者は、向こう15年間の漁獲割当配分を受けると同時に、全長50m以上のカニ漁船の建造プロジェクトの実行が義務付けされている。

上場対象資源は、西サハリン海域のズワイガニ(オピリオ)とケガニ、沿海地方海域のハナサキガニ、東サハリン海域のハナサキガニ、南クリール海域のイバラガニ、そして東サハリン海域のアブラガニで、これらの漁獲割当は、極東業界で最もコネクションを利用する人物として知られ、“ダリモレプロドクト“(Дальморепродукт)の実質オーナーで、2010年の刑事事件の後、海外に出たドミトリー・ドレムリュガの関連企業“メルリオン”(Мерлион)が2019年10月、オークションによって落札された経緯のあるパッケージ・ロットとなっている。

2024年1月、“メルリオン”は、検察総局から、極東海域における水棲生物資源を違法に利用、取引を行い、組織的に利益を上げるため、ロシア連邦の権利を侵害し、国家の財産に損害を与えたと指摘を受け、その後、連邦漁業庁との間で締結された漁獲割当配分合意は無効となり、当該漁獲割当は国家によって没収されていた。

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ロシア科学研究機関 バレンツ海タラバガニ資源調査完了 ”スターリンの赤軍”(Красной армией Сталина:クラスノイ・アルミエイ・スターリナ)

2024-09-07 11:18:47 | 日記

 

2024年09月07日

北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

[ロシア科学研究機関 バレンツ海タラバガニ資源調査完了]

全ロシア海洋漁業研究所ヴニロ北極地方支部ピンロは、主にバレンツ海ロシアEEZのタラバガニを対象とした資源調査を完了したことを発表した。

調査航海は150のトロール・ステーションと150の海洋観測ポイントを設定し行われ、タラバガニの空間分布の特徴、パターン、サイズ、性別構成、成熟度、繁殖力、外皮の状態、また、そのほか底魚の資源状況、包括的な海洋に関するそれぞれの情報が収集された。

バレンツ海のタラバガニは、旧ソ連によって極東海域から移植され、2000年代に定着、繁殖を続けた。

この繁殖により、隣接するノルウエーも年間約2,000トンのタラバガニをバレンツ海で漁獲してきた。

一方で、2021年、スペイン紙”ラ・バングアルディア”はノルウエーの漁業者と環境保護団体が、ロシアの漁業活動の漁獲努力の生態系への悪影響、漁具被害等に関連し批判していることを伝えた。

これを受け、ロシア漁業庁は、1990年代半ばから、ノルウエーのタラ漁業者らが”スターリンの赤軍”(Красной армией Сталина:クラスノイ・アルミエイ・スターリナ)と呼び、タラバガニの移植事業を批判する動きがあったが、2010年頃から、ノルウエーは、堂々と”ノルウエーのタラバガニ”と称し宣伝、漁獲、販売しており、”ロシアの起源”であることさえ忘れているようで、この”侵略者”への主張の変化が全てを表していると反論、FAOのデータを引用し、漁具のデザインの変化等で問題は解決され、”期待されたタラ資源の急激な減少”は実現しなかったと皮肉に言及、移植タラバガニが、今のノルウエー漁業に莫大な利益をもたらしていると加えた経緯がある。

今年2024年漁期、ロシアのタラバガニのTAC設定は、極東海域1万6,060トンに対しバレンツ海1万2,690トンで、その比率が56%:44%と接近してきている。

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