2024年09月18日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[第7回ロシア国際漁業フォーラム 円卓会議“水産物輸出の発展と支援のための措置” スケトウダラの課題]
今年2024年9月17日から同19日までの間、サンクトペテルブルグで第7回ロシア国際漁業フォーラムが開催されており、現地時間2024年9月17日、当該フォーラムの円卓会議“水産物輸出の発展と支援のための措置”が行われ、報告担当者、原口聖二もヴァーチャルでLIVE参加した。
この中でロシアスケトウダラ漁業者協会会長ブグラクは業界の収益性の低下を指摘した。
昨年2023年、ロシアのスケトウダラ業界の純利益率は7.6%で、2019年の28.8%から、この5年間で低下を続けている。
主要因は生産コストと外部市場の状況悪化によるもので、これを収益がカヴァーできていない。
この10年間でスケトウダラの輸出は数量で14%、金額で16%それぞれ増加した。
ロシアの水産物輸出構造においてスケトウダラが数量で50%、金額ベースで約30%を占めている。
昨年2023年、ロシア漁業は13億ドル相当のスケトウダラ製品を輸出したが、そのうち約40%がフィレ、ミンス、すり身等の高次加工製品だった。
漁獲量と輸出量、そして高次加工製品の生産量を増加させているにもかかわらず、単位あたりの収入が増加していないことを指し示している。
今年2024年、中国へのスケトウダラ製品供給価格はこの10年間で最低となっている。
これまでEUは25万トン-26万トンのスケトウダラのフィレを輸入しており、2022年-2023年、供給量で米国を上回る等、ロシアのスケトウダラ漁業は満足のいく結果を残した。
EUは、既に、2022年2月のウクライナ侵攻以降、ロシアの新規の輸出者リスト登録を停止、2024年から2026年の新たな自主関税割当(ATQ)制度から、ロシア産の主要なスケトウダラ等の白身魚を含め水産物製品を除外、輸入免税を停止、13.7%の標準関税を設定し、中国等、第3国が再加工した製品についてもこれを対象としている。
この影響を受け、EU市場においてスケトウダラのフィレ全体の需要は21%減少、ロシア産が10%減少したが、米国は1.9倍の供給量となった。
ロシアのスケトウダラ業界にとって輸出収入の効率化が課題であり、今後、漁獲量と各製品の生産量のバランスをとることが重要となるとブグラクは述べた。
# 報告担当者の原口聖二は、当該フォーラムに初回から7回連続(第1回・第2回・第3回はリアル)の参加となる。