2024年09月13日
北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[道秋サケ漁出足低調 露シロサケも振るわず]
2024年09月12日付“みなと新聞ニュースレター”は、同年漁期、北海道の秋サケ漁の出足が低調で、ロシアのシロザケも振るわないとリポートしている。
2024年09月12日【みなと新聞ニュースレター】
今月漁期入りした北海道の秋サケ定置網漁は、漁期前の予想通り低調なスタートとなっています。
北海道漁連がまとめた9日までの累計水揚量は301トンで前年同期の3割にとどまっています。
一方、北海道に隣接するロシアのサハリン州のシロサケ漁獲量も8月末までに4280トンで7割の水準と北洋開発協会(北海道機船漁業協同組合連合会内)がリポートしています。
6月に始まったロシアの極東地方太平洋サケ・マス漁は漁期前の研究機関の漁獲勧告(予測)通りカラフトマスの不漁が確定、8月末までの総漁獲量は20万9330トンにとどまっており、前年同期比63%減、直近偶数年の2022年同期比で8%減となっています。
2000年代初頭には10万~15万トンあった北海道のサケ漁獲量は、近年は5万トン前後と歴史的な低迷が続いており、今年も厳しい漁況が想定されています。
道総研さけます・内水面水産試験場が6月下旬に公表した今年の秋サケ来遊予測(沿岸・河川捕獲の合計)は1702万9000尾。前年実績(2256万6000尾)の24・5%減で、過去最低の17年(1737万尾)を下回ります。昨年の沿岸漁獲数は1921万8000尾で、漁獲量が5万3000トン(道漁連集計)でした。
今年の漁獲量は5万トン割れも想定されているようです。
一時的に漁獲が回復した22年(7万9000トン)には魚価は下落し、イクラや親製品市況は修正局面となりました。
23年当初の好漁予測もあって昨漁期中盤まで生鮮を中心に値頃感を維持しました。
その後の不振で浜高に転じたものの、23年の全道平均単価はキロ615円と前年から1割前後安でした。
今年はまだはしりとあって雌が上値2000円、雄も高値にあります。
今期の魚価を左右するイクラは、昨年の生産量が少なかったこともあり、「新物までのつなぎを加味しても昨年産消化のめどは立つ。
ただ不漁予測だからといって過度な浜値過熱は禁物」(加工筋)と警鐘を鳴らしています。
ロシアのマスも不漁で推移しており、ロシア国内や欧州で需要が強く、流通関係者は鮭卵市況全体の高値を警戒しています。
ロシアの8月末までのサケ・マス主要魚種別内訳は、カラフトマスが13万5540トンで全体の65%を占め、シロサケが3万1470トンで15%、ベニサケが3万5470トンで17%となっています。
ベニサケの漁獲量は近年安定しており、前年同期比2%減の生産で予測量を上回りました。
「供給体制に大きな変化をもたらすものはない」と北洋開発協会は予想しています。
今後はシロサケの漁獲がどの程度まで伸びるかで、低調ならサケ・マス最終漁獲量が予測量を下回る30万トン前後に落ち込む可能性もあります。
ロシアは22年27万トン、23年60万トンとカラフトマス漁いかんで総漁獲が大きく変動してきました。