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北海道機船漁業協同組合連合会
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一般社団法人北洋開発協会

#97 洋上風力発電と漁業 海外の経験 米国 ブレード破壊事件 GEベルノヴァ社900人解雇へ “雇用創出どころか大規模解雇/大規模解雇で株価急回復/あっという間に撤退”

2024-09-28 19:25:07 | 日記

 

2024年09月28日

北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二

[#97 洋上風力発電と漁業 海外の経験 米国 ブレード破壊事件 GEベルノヴァ社900人解雇へ]

“雇用創出どころか大規模解雇/大規模解雇で株価急回復/あっという間に撤退”

①洋上風力発電が本当にCO2削減に貢献するのか、②洋上風力発電事業自体が再エネ賦課金だのみの不採算事業であり漁業分野を含め満足な補償等に対応がなされるのか、③政府が責任をもったMSP(海洋空間計画)を設定すべきではないのか、④政府がベースラインをしっかり作るような漁業影響調査を指導すべきではないのか。

日本での先行する欧米の洋上風力発電の漁業分野との共栄、相乗効果等の成功体験は、ほとんどが開発事業者による切り抜き発信で、実際に漁業分野の情報にアクセスしていくと様々な問題が報告されている。

世界中の漁業者は共通に、洋上風力発電プロジェクトについて、自らが知らない間に選定地が決まって唐突に説明会が始まり、漁業当局に十分なヒアリングを行うことなく、他の部局が主導する地方自治体の前傾姿勢による拙速な取り組みが行われ、事業開発者から漁業分野の科学的知見を理解しようとしない姿勢を感じていると指摘している。

一方、新型コロナウイルスのパンデミックを発端とするサプライチェーンの混乱は、ウクライナ紛争で一段と深刻化しており、輸送コストや原材料費の高騰、金利の上昇、そして、インフレにより、風力発電事業者の利益が圧迫され、内容が悪化しており、このような環境で、漁業分野を含め満足な補償等に対応がなされるのか、はなはだ疑問な状況が伝えられている。

2024年7月13日、マサチューセッツ州沖の“ヴィンヤード・ウインド”(Vineyard Wind)社による洋上風力発電開発プロジェクトのタービンが破壊、その後、ブレードの残骸がナンタケット島に打ち寄せられ、危険でありビーチが閉鎖される等の事態が発生、米国安全環境執行局(BSEE)は、風力発電所の建設と操業を一時停止する命令を発出する事件が起きた。

このプロジェクトのブレードはグラスファイバー製で残骸とともにガラス繊維が漂着、住民説明会において人体への被害、周辺海域の海洋汚染、魚の食物連鎖を危惧する指摘、意見等が噴出した。

2024年9月12日付“The New York Times”紙(WEB)は、”漁業者の怒りとコスト高騰が洋上風力を遅らせる“と題し、当該事件が引き金となり、マサチューセッツ州とイングランド沿岸沖合でのプロジェクトが遅延しており気候変動に対する目標を脅かす可能性があると伝え、“新しいクリーン・エネルギー事業が漁業にもたらす危険性に関する最悪の懸念を裏付けた”とした上で、“リセットの必要がある”とのアナリストの意見を紹介した。

2024年9月初め、世界最大規模の英国ドッガー・バンク風力発電所の試運転中に長さ107mの“ヴィンヤード・ウインド”事件と“同一メーカー”、“同一デザイン”の風力タービンブレードが破壊していたことが確認されたと英国漁業専門紙が伝えた。

このブレードは、GEヴェルノヴァ(GE Vernova)社製で直近の破壊はこの3ケ月間で3度目だったが、2024年9月19日、同社が、洋上風力発電プロジェクトの損失を抑えるため、世界規模で最大900人員削減を行う可能性があると、欧州労使協議会に当該計画を提出したこと明らかにすると、皮肉にも株価は急上昇した。

GEヴェルノヴァ社代表スコット・ストラジクは、マサチューセッツ州沖のヴィンヤード・ウインドと英国ドッガー・バンクの洋上風力発電プロジェクトの遅れで、当該四半期に3億ドルの損失に直面、陸上風力発電の利益を食いつぶす可能性があると投資家に説明、抜本的再編を行う旨を加えた。

洋上風力発電において、先行する英国の再生可能エネルギー財団“Renewable Energy Foundation”は2020年11月、レポート“風力発電の経済-レトリック(美辞麗句)と現実”を発表している。

この中で、洋上風力発電プロジェクトのコストの予測は、押しなべて規模の拡大と経験効果によって、設置容量の増加にともない平均コストが低下すると説明されているが、現実には、容量が増加するたびに発電コストは上昇しており、その重要な要因の一つに、予想以上に早期に多発する故障にあると指摘している。

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