2024年09月05日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[第9回東方経済フォーラム ロシア漁業 制裁措置に対応BRICs向け製品輸出拡大に取り組む]
2024年9月3日から同6日までの間、ウラヂオストクにおいて第9回東方経済フォーラムが開催されており、この枠組みの中で、ロシア漁業者水産物輸出者協会ヴァルペ会長ズベレフは、水産物製品の輸出供給においてBRICs向けの拡大に取り組むことを表明した。
ロシアは漁業生産量において世界5傑、当該製品輸出においても10傑に入っている。
ロシアの水産物輸出相手国は80カ国以上で、主な輸入国は中国、日本、韓国、EUとなっている。
EUは白身魚の需要が強くスケトウダラやタラ、日本はベニザケと魚卵、アフリカ諸国は太平洋ニシンなどの安価な水産物製品の供給に関心を持ち、それぞれ輸入している。
この中にあって、ズベレフは、一連の制裁措置が、漁業分野の大規模な再編の引き金となり、金額面で大きな打撃を与えていると語り、製品輸出拡大が求められる中、ロシア漁業者が、米国、EU、カナダが導入した製品供給の禁止や制限への対応に迫られていると加えた。
昨年2023年のロシアの輸出供給は、数量ベースで8.6%増加し256万トンに達したものの、金額ベースでは5% 減少して58億ドルにとどまった。
一方でズベレフはBRICsとの貿易の拡大に大きな可能性を見出していると語り、中東、アフリカ、南米市場へのロシア産水産物製品の輸出成長の機会について指摘、水産加工分野が発展しているアジア太平洋地域の国々への輸出も有望だと加えた。
また、今後10年間で、ロシアはスケトウダラ、カニ、タラ、ニシンなどの伝統的な市場だけでなく、フィッシュミール市場においても地位を強化できるとの見通しを示した。
昨年2023年のロシアのフィッシュミール生産量は、前年2022年を8.2%上回り、17万4,600トンに達した。漁業生産量において日本の400万トンに対し、ロシアは500万トンで近年リードしているものの、フィッシュミールの生産量は日本(20万トン弱)より大幅に遅れ、これは、設備投資が求められる残滓利用が進んでいないロシアの状況を表すものとなってきた。
しかし、資源に対する漁業製品歩留まりの向上、出現した極東海域のイワシ資源の利用、残滓の不法投棄問題の解決等を目的に、中国の水産養殖向け飼料市場ほか、世界的に需要が高まっている当該製品の生産を拡大しており、2018年に初めて10万トンを突破、以後も右肩上がりで成長している。