2024年09月16日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[ロシア業界 韓国スケトウダラ市場への高次加工製品供給シェア拡大のため関税障壁の撤廃を求める]
今年2024年1月-7月、韓国の低次加工W/R(ラウンド)・H&G(ドレス)冷凍スケトウダラの輸入は数量が7万3,000トンで前年2023年同期比12.9%、金額は7,375万ドルで17.2%、それぞれ減少した。
これらの数量の98.1%をロシアが占め、米国が1.7%、その他が0.2%となった。
大手水産グループ企業で組織するロシア漁船船主協会は、ロシアのスケトウダラの輸出額を増やす可能性は、利益率の高い製品のシェアを増やすことだと指摘している。
低次加工W/R(ラウンド)・H&G(ドレス)冷凍スケトウダラのほぼ全量がロシアから韓国に輸入されている一方、フィレ、すり身、ミンス等の高次加工製品の輸入量は約半分にすぎない。
報告期間、ロシアからのスケトウダラの高次加工製品の輸入は、数量が1万6,100トンでシェア58.3%、金額は3,460万ドル、54.2%相当となっている。
残りの部分は、スケトウダラ製品市場におけるロシアの主な競争相手である米国によるもので、高次加工製品の報告期間の韓国の輸入は数量が1万1,500トンでシェア41.6%、金額は2,910万ドル、45.6%相当となった。
これは、ロシア漁業者が米国に代わって自らの供給量を増加させる機会を示唆している。
一方で、ロシアからのスケトウダラの韓国への輸出は、現在、2つの大きな障壁に直面している。
それは韓国の輸入関税10%の設定とロシア自国輸出関税の導入(報告担当者 原口聖二:ロシア政府は、2023年9月21日付決定No.1538により、水産物を含めた広範な商品の輸出関税を、ルーブルとドルの為替レートに連動させて設定、同年10月1日からこれを施行した。レートは1ドルあたり95ルーブルを超える時、輸出関税は7%となり、80ルーブル未満の時ゼロとなる。ルーブル安で輸出が増加傾向に向かうとき税金を徴収、ルーブル高で輸出が減少に向かう時、輸出促進のため無税に近づけるシステムとなっている。)である。
韓国は自由貿易協定の一環として、米国からのスケトウダラ製品の輸入に低率関税割当を設定している。
ロシアのスケトウダラ製品に競争条件を与えるには、その生産と輸出の発展に対する障壁を取り除く必要があることは明らかだとロシア漁船船主協会は言及している。