パン屋にはしょっちゅう行くが、なかなか記事にしにくいものがあり、この「パン屋さすらひ」はスタートから、既に破綻状態である。例えば、西武池袋の「メゾンカイザー」はいつも混んでいて、商品をじっくり吟味することができない。だから、書くべきものがないのだ。本当はパン屋が持つ、様々なドラマ、あるいは独特の商品について書きたいと思っているが、都会のパン屋は慌しいだけ。いや、それこそその慌しさを書けばいいはずだが、そうできないのは自分の未熟さ故なのだが。
この「Sweet Kitchen」は最近、東十条銀座に移転してきたお店で、以前は東十条図書館の目の前にあった。当時は取り立てて特に特徴のないお店だった。田舎にあるような飾り気のないお店。落ち着いて買い物は出来るが、毎週行こうとは思えない。ところが、どういう訳か急転直下に移転し、一躍表通りに店舗を構えたのである。
その場所は昔から空き地だったところ。何故か家の基礎があって、随分放置されていた空き地。いつしか猫が住み着き、東十条小学校の子らはその猫を眺めて登校していた。まさに猫の額ほどの空き地で使い勝手が悪そう。その長年空き地だった土地にパン屋がやってきたのだ。
店舗としては格段に狭くなった。店内には2組しか入れないほど。それが功を奏してか、並ぶパン屋さんになったのだ。並ぶお店=流行っているお店=おいしいお店。そんな図式になる都会の飲食店で「並ぶ」ことは間違いなくステイタスを上げる要素なのだ。
かくして並ぶパン屋になった「Sweet Kitchen」だが、いい意味でも悪い意味でも、都会的に進化をしてしまった。以前は「スマイルブレッド」というお手頃な食パンがあったが、移転してからはどうも見かけない。代わりに、最近流行りのちょっとプレミアムな食パンがお目見えした。正直な話し、ちょっと幻滅した。東十条図書館の前にあった頃の牧歌的な雰囲気はもうなく、街仕様になってしまったからだ。
ともあれ、我が家の周囲にパン屋が少ない。だから、これからも「Sweet Kitchen」には行くだろう。できればゆっくりとパンが選べるならいいのだが、後ろに人が並んでいるとちょっと焦っちゃうんだよ。
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