「あたしは最後を悲しくしたいのよ。 その方がずっと ロマンティック ですもの。(中略) ハミルトン教授がおっしゃっているのを聞いたけれど、 悲しい結末は天才でなければ 書こうとはしてはいけないんだって。 ところがあたしは、天才どころじゃないんですもの」 【「アンの愛情」 第12章】 |
先日来、暖かくなってからと
いうもの、ついつい雨戸を
閉めないで休んでいる昨今です。
そんな今朝も・・
カーテンの隙間からこぼれる
1条の光で目が覚めました。
昨日よりも少々、
雲はあるものの、今日も快晴。
思った以上に強烈な日射しです。
尤も、この時間になりますと、
その雲も全然見当たりません。一体、どこへ消えてしまったのでしょう。
ともあれ、“雨戸より、思い切りカーテンを開ける瞬間が好きなのだわ・・”
~なんて思いながら、私の1日が今日も始まるという訳です。
さて今日は、久し振りに A・クリスティーと過ごす時間となりました。
三浦綾子に長い事、没頭していた私。
そんな中、(ポワロではなく)このミス・マープルと過ごす時間は、
私にとっては、アンの延長線上と言っても過言ではありません。従って凄く楽。
と言いますのも、再三記していますように、
ミス・マープルは(イギリス婦人らしく)お茶が好き、編物が好き、植物が好き。
特にこの本ではとりわけ沢山登場しているような気がします。
それに 【先日】 も記しましたように、久し振りのレース編みで私との共通点も多くて。
勿論、ポアロ物でも編物以外は登場しますが、
やはり同性のよしみと言った処でしょうか。親しみが湧きます。
でも、その割には結構長い時間かかって、
この 『鏡は横にひび割れて』、読了しましたけれど。
ところで、ミス・マープルと言いますと、
どうしてもロッキングチェアーを連想してしまいます。そんなこんなで・・。
昨日と同じ場所でお茶を・・。丁度、お誂え向きに古びたそれがありますから。
それにちょっと屋根裏部屋の雰囲気ではないかしら・・?
アンは悲しい結末はロマンティックだと言っていますが、
最近の私は、苦手になりつつあります。
なのにミステリー・・? と思われがちですが、
ミステリーは最初から割り切っているせいか?
あまり心の痛痒は感じません。矛盾した心理のようですけれど。
さて、今回も1番犯人らしくない者が犯人でした。
最初から分かっていても見逃してしまうのですね。やはり外れ。それも見事に。
でも物騒な事件を扱うから・・だからこそ、こんな何気ないお茶のシーンに、
ほっとさせられるのかも知れません。最後に、そのお茶のシーンの一駒を。
「(中略)ジェーンおばさん、美味しいお茶と バタつきパンでもご馳走して、セント・メアリー・ ミードの昔話でもして、僕を慰めて下さいよ」 ミス・マープルは同情の思いを込めて 舌を鳴らした。 「そんな弱音を吐くのはおよし。 それからね、紅茶にトーストなんてあなたの 欲しがっているものではない筈よ。 失望を味わされた時には、 殿方はもっと強いものを欲しがるものだわ」 いつものようにミス・マープルは、 まるで異人種の事でも言うように、 殿方 という言葉を使った。 「私なら、強いウイスキーに ソーダ水を勧めるわ」 【A・クリスティー作 「鏡は横にひび割れて」 より】 |