
【リラの木】

「私達はそれから逃げる訳には行かないのよ ―― 例えお天気の話をしている時でさえもね。 (中略) 自分の気持ちのいい床に ぬくぬくともぐり込む時は、 気持ち良くしている事が恥ずかしくなるんです。 多勢の人がそうしていないのに、 自分が楽々としているのは悪い気がしますのよ」 【「アンの娘リラ」 第11章】 |


明けました。寒い朝。
そう言えば・・。
今日24日は彼岸明けなのですね。
いつの間にか・・? もう・・?
3月も残り後、1週間。
「暑さ寒さも彼岸まで」
と言いますが、今年ばかりは
そういう訳には行かないようです。
それでも着実に春を感じ、芽を膨らませている草花たち。
“今年こそ花を咲かせてね” と願うリラの木を初め、
去年よりは相当遅れましたが、蔓日々草もいよいよです。

名前を忘れてしまった花も。
いいえ、何度確かめても
すぐに忘れてしまう花。
毎年の事ながら、こんな
他愛のない事に時間を忘れます。
こんな時、決まって頭を
過(よぎ)るのは被災者の方たち。
それは私だけでなく、
日本中の、恐らくほとんどの方が
同じ気持ちでしょう。
テレビを見ていましても、
居酒屋を経営されている方までが、
「お酒を飲んでワイワイ騒ぐ事が申し訳ないような気持ちになる」
~なんて仰言っていらっしゃいましたから。
あれだけの震災ですから、ショックでしたけれど、
私達までが、いつまでも落ち込んでいては仕方ありませんね。
それに過剰な自粛は、そろそろ考えた方がいいのでは・・と思います。
ところで、昨日の夕刊に次のような記事を見つけました。
私などは全然気付きもしませんでしたが、さすが服飾デザイナーですね。
綿入れのちゃんちゃんこ、そう言えばありましたね。

食べるものも着るものも不十分な避難所で、 暖房設備もなく寒さに耐えておられる人々に 北国の人の辛抱強さを見る思いです。 一方で衝撃を受けた事もありました。 自宅に留まった人も避難所にいる人も、 誰も 綿入れ を着ていない。 暖を取る時はすっぽり毛布を羽織っている。 都会と同じ軽そうなコートで歩いている。 20年以上前、生活着を求めて東北を 歩いた事があります。(中略) でも、東北にはまだまだ残っていたのです。 綿入れ の暖かさ、刺し子 の丈夫さ、 角巻き の堂々たる美しさなど。 寒さを防ぐ先人たちの知恵に 強く惹かれました。(中略) 私達は捨てたのだと思います。 電気の便利さ、安全性に頼り切った暮らしと 引き換えに。 【森 南海子(なみこ)╱ 服飾デザイナー】 |
