

早春のある日、蜜のように色淡く甘い陽の光は、 クインスリー大学の赤レンガの建物と その構内一杯に燦々と照りそそぎ、 若芽を吹き出した楓や楡の木の間越しに、 そこここの小径の上へ金色や茶色で、 とりとめのない格好の版画をまき散らしていた。 太陽は・・青い頭を覗かせている蒲公英を しきりにそそのかし、早く咲け咲けと せきたてているようだった。 【「果樹園のセレナーデ」1.】 |

今日も寒い朝を迎えました。
ただ、ひとたび庭に目を遣(や)れば、あちこちに一杯に芽吹いています。
一時に比べれば、見違えるサマ。
『アンの世界』 に住む ジェーン でさえ、次のように言っています。
“もうすぐ 4月 である。
まだすっかり春とは言えなくても、
少なくとも春の見込みがつく訳である。”
【「丘の家のジェーン」 40.】
一方、見込みがつかないのが福島原発を初め、災害復興。
私などは僅かの募金と祈る事くらいしか出来ませんが、
この上は被災地に、1日も早く春が来る事を待ち望んでいます。


さて、冒頭の写真。本当に久し振り、絵筆を取りました。
薔薇と葡萄しか描かない私ですが、今回は敢えて林檎を。
そう言えば、『アンの世界』 でも林檎は、すっかりお馴染みですものね。
これからは林檎も仲間に加わるかも知れません。
それにしても相変わらず古めかしいこと!
「アンの部屋」 的な、カントリーっぽい雰囲気が出ていればいいのですけれど。
ご覧のように素材は木材で、元はビデオラックでした。
ビデオは整理しましたので、文庫本立てに。丁度、納まりました。
下が回転しますので、取り出し易くなっています。
ところで、震災に遭った友人の事。
本人も家も被害がなかった事は、先日も伝えましたが、
今では電気、ガス、水道のライフラインが整ったそうです。
未だに物資不足がテレビでも盛んに言われていますので、
何か足りない物を・・と思い、電話をしたのですが、間に合っているとの事。
ただ、ガソリンだけは10リットルしか入れられないそうです。
あれだけの災害なのに、友人の居住区は、皆さん被害はなかったそうです。
こんな風に記せば、町全体が被害の少なかった所では? と思いますね。
でも、壊滅的な被害・・と報じられ、
津波にさらわれている家屋をどれだけ映像で見たでしょう。そんな町。
おまけに地震発生時の午後2時46分は、車で走行中だったとか。
そして、その時は、たまたま山側の道を走行。
もし海岸側を走っていたら命はなかった・・と、声は震えていました。
生と死の狭間、運命の分かれ道・・
単なる運の良さだけでは片付けられない何かがあるような気がして。
口で言うのは簡単ですが、その境界線は・・?
~なんて思うと、そこで思考停止に陥ってしまいます。
こうなれば、神のみぞ知る・・? という事なのかも知れませんね。