「そんな時代だったら、お仕事もしなくていいわね。 ただ家にいて、お花を活けたり、手紙 を書いたり ―― 昔の人って、どうして手紙ばっかり 書いてたんでしょう・・・・・ 一体誰に書いたんですの?」 「お前は何かと言うと人に電話をかけるけれど、 つまり昔はその代わりに手紙を書いた訳さ」 と、ミス・ブラックロックがぱちりと瞬して答えた。 「きっとお前なんか、手紙の書き方も 知らないんだろうね、ジュリア」 「『書簡筆法全書』 式の 素晴らしい手紙の書き方は知りませんわ」 【A・クリスティー作 「予告殺人」】 |
朝の早い時間こそ、雨が残っていましたが、その後、徐々に回復。
それでも午前中は、なかなかスッキリという訳には参りません。
午後になりますと、さすがに暗かった室内も明るくなって来ました。
そんな時、窓辺のレースは光を反射して模様が淡くなり・・。
そして、レースを通した外の景色は、何とも言えない優しさを与えてくれるのです。
こんな所がレースの好きな一つの理由かも知れません。
さて雨上がりの緑の匂う昼下がり。空気は澄んでいます。
いつものように、お気に入りのテーブルを思い切り窓辺に寄せ・・。
友達に、やっと手紙を書きました。
手作り(手描き)の時計が、チクチクと時間を刻む中、
これも手書きの文字を・・~なんて。
こちらの硝子ペンを手にするのは実に久し振り。【前回】 以来です。
それでも前回は、同じようにインクを付けた筈ですが、
ついつい文字が太くなったものです。
不思議なもので、あれから全然ペンは握っていませんのに、
今回は細い文字で、割とスムーズに書く事が出来ました。
いつの間にか手に、馴染んでいるのですね。
それに文字を書く時に入る、余計な力も抜けたようです。
尤も、文字自体は全然気に入りませんけれど。
そして・・「薔薇」、「石鹸」 の文字、辞書を見なければ書けません。
文字を書かなくなれば、漢字力も後退して行きますものね。反省です。
それにしても上記の A・クリスティーの文章。
今でも十分通用しますが、何と 1956年刊行の本。
50年以上も前の本なのですね。いつも思う事ですが、小説家の偉大さを思います。