バンコックは雨季だった。 空気はいつも軽い雨滴を含んでいた。 強い日射しの中にも、しばしば雨滴が舞っていた。 しかし空のどこかには必ず青空が覗かれ、 雲はともすると日の周りに厚く、 雲の外周の空は燦爛と輝いていた。 駿雨の来る前の空の 深い予兆に満ちた灰黒色は凄かった。 その暗示を孕んだ黒は、 一面の緑のところどころに 椰子の木を点綴した低い町並みを覆うた。 【三島由紀夫作 『豊饒の海 「暁の寺」Ⅲ』】 |
朝から雨の鬱陶(うっとう)しい天気が続いています。
これまでの処、今年は長続きしない雨で助かっていましたが、
今回は、ちょっと長く、今日から4日間雨とか。
湿度が高いのは困りますが、でも大丈夫。
家の中でしっかり楽しむ事にしますから。
ただ、午後になってからは重苦しい空ながら、雨は降っていません。
さて、今日の引用文。随分、放っていましたね。
三島由紀夫作 『豊饒の海』 第3巻、「暁の寺」 の冒頭部分です。
この作品、1巻完結だったものですから、
2巻まで読んだ所でついつい。久し振りに手に取りましたら・・。
三島文学の独特の洗練された筆致と流麗さに触れ、
何だか懐かしいような気持ちを抱いたりして、柄にもなく感慨に耽っています。
昨年の9月以来ですから、かれこれ 【9か月振り】 となりました。
それにしても上記の描写。
丁度去年の今頃訪れた、石垣島の空を思い出したり。
石垣島も雨が降っても青空が覗き、
一過性のその雨は、どこか異国の雰囲気でしたっけ。
とは言ってもこちらの本、
まだ読み始めたばかりですので、感想など書けません。
となりますと・・1週間振りですね。
『カフェ「薔薇の詩(ポエム)」』 の開店と致しましょう。
我家では窓際に小さな
テーブルを数個置いています。
狭い家ですが、
“今日はどこでお茶しましょう・・?”
こんな些細な事も、気分転換に。
今日は、その中の1番大きな
テーブル、そう、リラ版
「リンド夫人のテーブル」 で。
幸い、「実家に帰っていたから・・」
と、お隣から頂いた花びらを載せた
ロマンティックなクッキーもあります。
(ご実家は妙高高原だそうです)
頂いた、「公園通りの花クッキー」(名前も素敵)は、大層美味なのです。
何でもこのクッキーは、妙高山麓で育てられた、
“コシヒカリ” を粉にして、小麦粉と混ぜて作ったクッキーとか。
ザクッとした独特の歯触りが特徴です。
実は私、こんな “歯触り”、格別に好きなのです。
“ ミード夫人 はドーナツを1箱に、パンの塊を3個、
クローバーの葉 の模様が付いている丸いバターの塊、
クリームを1瓶、乾し葡萄入りのパイ、干鱈3本などをくれ、・・・・・”
【「丘の家のジェーン」 16.】
お隣の奥様は ミード夫人 よろしく、クッキーばかりでなく、
かなざわ総本舗の 「出陣餅」 に、「水羊羹」、「ちまき」 等本当に沢山・・。
今日は、リンド夫人ですから勿論、カントリーで。
カップは絵柄こそ違いますが、【以前】、登場したものと同じシリーズです。
優しいパステル調の絵柄に心もほっと寛げます。