朝、水上隣保館の高山さんの講演会に行ってきました。
水上隣保館というのは、大阪府の養護の必要な子どもを預かる施設です。
1931年大阪の水上生活者の子ども達が劣悪な衛生環境、生活環境の中亡くなったりするのを見かねた中村夫妻が、4人の子どもを預かったことから、始まりました。
キリスト教の理念のもと、支援者を募り、眼科、産科の病院も隣接した立派な施設にまでになり、運営も機動にのりだした時、大阪大空襲で全ての施設を失い、疎開。現在の島本町に多くのボランティアや篤志家の支援を受けて、46年に再建。
昔は貧しさから、預かると言う子ども達が多かったそうですが、今ではほとんどが被虐待児童だそうです。
虐待を受けて育った子どもは、「・・・してね」と言っただけで、命令されたと取ったり、大人にべったりくっついてきたり、暴力的だったり、他の子どもを巻き込んで集団でルール違反をするなど、試し行動があって、「毎日野戦病院のようだ。」
気になって聞いてしまいました。「そういう子ども達を、普通の生活が出来るように戻すのに何か有効な方法があるのでしょうか?」
全く児童会にも同じような行動を示す子どもがいて、日々悩んでいたからです。
「有効な方法ってないんです。あなたは大切な存在だって自覚できるように関りたいです。しかし、すぐに問題は起こってくるので、説教したり、指導したりしなくてはいけなくなります。そういうことをできるだけ避けるためには、はじめにルールのオリエンテーションをしっかり厳しいくらいにします。暴力は絶対にだめ。もし、違反したら一人部屋に入ってもらって反省する。と言うことをいい、必ず実行します。そうやって徐々にわかってもらうしかないですが、普通の生活に戻るのには本当に時間がかかります。戻るのかどうかもわからないくらい。それでも、大人同士連携をとって、毎日するしかない。」
やっぱり。心理療育児童心理の専門家で、整った施設の中でもそうなのです。私が悩むのも当たり前。
それでも、方向性は間違ってないと少し、自信がでました。
午後は、児童会。
Aくん、障害があってパニックを起こさせてはいけないと、おやつのドーナッツをみんなとは別に先に選んで隠しておくのが慣例でした。こだわりが強いから、欲しいものと違うものしか残っていないと泣いたりわめいたり。というのです。
私がおやつの配膳をしていると選ぼうとやってきたのでためしに聞いてみました。「Aくん、私はAくんは、みんなと同じように、待ったり、ちゃんと思うものがこなくても我慢する力があると思うけれど、どうする?もし、今日は自信がなかったら、いつものように選んで隠しておくこともできるけど、どうする?」
「う・・・・・・ん。」2つしかないピンクのドーナッツを指差したまま、Aくんは悩んでしまいました。
「いつも、Aくんはとっておくんだね。」通りかかったB先生がいいました。
「う・・・・・・ん。」
「今、Aくんは悩んでいるところなんです。そう、いつものように隠しておくか?みんなときちんと座って、よばれるまで待つか?本当に隠しておいてもいいよ。隠しておく?」
「いい。ぼくいいよ。」
Aくんはちゃんと座って待って、ピンクのドーナッツは無くなっていましたが、残ったチョコドーナッツを、黙って選びなおしました。みんなと一緒にドーナッツを食べる背筋がピンと伸びたAくんの姿を見ていると、とても誇らしかった。
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