おすすめ度 ☆☆☆★ (劇場鑑賞)
風刺のきいたアート映画好き ☆☆☆☆★
PG12 セザール賞5部門受賞
第1次世界大戦後のフランスを舞台に2人の帰還兵が企てた大胆な詐欺事件を描くクライムドラマ。
「その女アレックス」のピエール・ルトメールの小説が原作。
第1次世界大戦の終結目前。仏軍のプラデル中尉からの不条理な攻撃命令に従ったエドゥアールは、小心者の簿記係・アルベールの命を助け、顔に重傷を負ってしまう。
良家の御曹司で才能あるアーティストであるエドゥアールは家族にも会いたくないと戦死を偽装。そんな彼をアルベールは手伝うことに。戦後、パリに戻った2人は貧しい共同生活をスタートさせる。
エドゥアールの心の声を通訳する少女ルイーズが現れ、3人で戦没者を悼む記念碑を立てるという名目の詐欺を働く。
エドゥアールは、顔面の傷を隠すため、仮面をかぶるのだが、その仮面が実にアーティスチック。愁いを含んで見えるその姿が、映画に色を与える。
上官だったブラデルは、富豪になっており、一方で、戦死者はサイズの合わない棺に押し込められ、帰還兵は失業にあえぎ、傷病兵はモルヒネに身も心も蝕まれていく。
そんな現実を、鋭い目で描きながらユーモアを忘れないこの映画、只者ではない。
さらに、エドゥアールの芸術の才能を、評価しながら言えなかった父の姿を、彼の許しの姿で、表現。
ラストは、幾分の癒しを見せるが、戦争の代償は大きい。
エドゥアール役を「BPM ビート・パー・ミニット」のナウエル・ペレーズ・ビスカヤートが演じ、本作の監督を務めたアルベール・デュポンテルが相棒のアルベール役で出演。