おすすめ度 ☆☆☆
演劇的作品好き ☆☆☆☆
2003年製作/177分/R15+/デンマーク
「奇跡の海」で審査員グランプリ、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」でパルムドールと、2作連続カンヌ映画祭を制したデンマークの異才、ラース・フォン・トリアー監督。
スタジオの床にチョークで線を引いただけという、前代未聞の抽象的セットで撮られた3時間。
ロッキー山脈の麓にあるドッグ(犬)ヴィル(村)に、ギャングに追われた美女が逃げ込んでくる。彼女はかくまわれる代わりに村人に無償奉仕を約束をするが、人々は次第にエスカレート。彼女を犬のように酷使し、首輪までかけてしまう……。
後半、美女は徹底的にいびられ、男たちによる輪姦。
登場人物の禍々しい心情推移を見事に表出したショッキングな群像劇。それはまた、陽気な音楽とは裏腹な米国社会の底辺を、リアリスティックに写し取ったエンドロールが心に残る秀逸の社会派現代劇。