おすすめ度 ☆☆☆★
メキシコ・フランス合作 PG12
第77回ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(審査員グランプリ)を受賞したディストピアスリラー。
裕福な娘マリアンは夢にまで見た結婚パーティの日を迎え、幸せの絶頂にいた。彼女が暮らす豪邸には、結婚を祝うため政財界の名士たちが集まってくる。そんな中、近所の通りで行われていた貧富の差に対する抗議運動が暴動化し、マリアンの家も暴徒たちに襲撃されてしまう。殺戮と略奪が繰り広げられ、パーティは一転して地獄絵図と化す。マリアンは運良く難を逃れたものの、次に彼女を待ち受けていたのは軍部による武力鎮圧と戒厳令だった。
一部の富裕層のみが冨を独占する、現代の格差社会で、起きうる悪夢を描くサスペンス。
主人に尽くした使用人は冤罪で処刑され、使用人を救おうとしたマリオンは拉致され、レイプされ、最後まで翻弄される……と、よき行いをした人が酷い目に遭い、状況の中で上手く取り繕い、巧妙に立ち回った人が生き残る、と言う、モラルに反した展開。これこそが、新自由主義の行き着く先。
美しい画像とシビアな現実。今をえぐった佳作。