おすすめ度 ☆☆☆★
「イタリアの最も美しい村」のひとつに数えられるチビテッラ・デル・トロントを舞台に、年齢や国籍の違いを超え、本を通して老人と少年が交流する姿を描いたハートウォーミングストーリー。
美しい風景を見渡せる丘陵の町並みに一軒の古書店があった。店主のリベロは老齢で商売っ気はない。自分で選んだ古書に囲まれていることの方が大事なようだ。接客は独特だ。店の外に置いてあるワゴン商品の本を眺めている移民の子がいた。リベロは代金は払わなくていいから、読むために貸してあげる、と少年にコミックを渡す。少年はエシエンといい、読み終わったコミックを店に戻しに来た。好奇心旺盛で律儀なエシエンをリベロは気に入った。次にリベロはコミックではない「ピノキオ」を渡す。翌日、本を返しに来たエシエンの感想を聞く。これがリベロにとっても至極の時間となった。年齢の環境も異なる二人だが、本好きのDNAが感応したようだ。「イソップ物語」「星の王子さま」「ロビンソン・クルーソー」、そして大著の「白鯨」に至る。
古書店には様々な人がやって来る。いわばリベロの一期一会とも言える。ゴミ箱から本を集め、リベロに売りに来る移民の男。その中から日記帳を発見したリベロは1957年の日記を読む。
びたび顔を出す隣のカフェの店員ニコラは、特別リベロを気が合い、和やかなつきあいをする。ニコラは、雇い主に頼まれてフォトブックを探す若い女性キアラが好きになる。
淡々と話が進むが、ほのぼのと温かい。