快晴無風、暖かい日だったので日限地蔵尊の境内で開いている、町のボランティア運営の日限茶屋に行ってきました。通りから本堂に向かって坂道を登ると、正面に托鉢僧のような形の僧の像があります。誰の像かと思って、どこかに名前が彫られていないかと思って見ましたがどこにも彫られていません。高野山真言宗の寺だから弘法大師の像だろうと口にしたら、後ろの方で「そうよ」という声がしました。
振り返ると、老夫婦が立っていました。おばあさんの方がおしゃべり好きのようで、自分は真言宗を信じていると話し始めました。私も弘法大師の事績に関心があったのでおばあさんとおしゃべりを始めてしまいました。
するとおじいさんが、「ばあさんは話し好きだからすぐ1時間はたってしまう」と言っておばあさんにおしゃべりをやめさせようとしました。常日頃、おばあさんと行動を共にすると、会った人とする彼女の長話に悩まされていたのでしょう。
するとおばあさんが、「主人は頭はいいが、真言宗の勉強をしないのよ」と言いました。私は、主人の気持ちを察して、すぐ老夫婦と別れました。なんのかんの言い合っても、仲がいい夫婦と思いました。
日限茶屋の案内の垂れ幕が手作りでいいですね。
一番奥の「茶店」とある方が日限茶屋
日限地蔵尊の宿坊の1階を借りているのでしょうか。日限山地区では日限茶屋という名称で知られていますが、「茶店」という手作りのれんを下げています。「田辺屋」という青のれんが見えますが、これは隣の店ののれんです。
「また来ちゃいました」と言って店に入ると、茶店を運営しているボランティア達が、「またまた来てください」と言って歓迎してくれました。
前にきたとき、食べに来ていた人が、すいとんがうまいと言っていたので今回はすいとんを注文しました。戦後、食料難のとき、アメリカが小麦粉を支援してくれました。小麦粉をどうやって食べるかみんな工夫をしました。一番簡単な方法が、小麦粉に水を加えてとろとろにし、スプーンですくってぐらぐらと煮えているおつゆに落とすことです。おつゆにお団子ができます。当時は味がしみるのを待たず、無味の団子を食べていました。したがってすいとんは貧乏人が食べる安っぽい食事でした。
それが今ではおでんや、おしるこなどと同格の料理になっています。
現在のすいとんの食材は片栗粉でそれに調味料が加えられ、おいしくなっていると店の人が言っていました。食べてみると味がよくしみておいしいと思いました。しかし、食感と口に広がるすいとん独特の味は今もあって、子供のころ食べたすいとんを思い出しました。
約1時間、日限山地区の町の情報交換を店の人々や来客と楽しみました。今日はお天気がよかったからでしょう、次から次へとお客が日限茶屋に来ました。13時ごろには料理は売り切れ状態で、店の人が、「予測がむずかしいのよ。つくりすぎると、店の人で分けて持ち帰ることになるでしょう。どうしても少なめにつくるのよ。今日はつくる量が少なすぎたの。ああ、むずかしい。アハハ。」いいですね。この日限茶屋の雰囲気。
日限地蔵尊には広い駐車場があります。無料です。毎月4日、14日、24日、4のつく日に9:00-15:00開いています。地蔵尊信仰の有無に関係なく、日限地蔵尊を町の名所と思い、日限茶屋を楽しまれるといいと思います。運営しているボランティアたちは町の人々の居場所として運営に頑張っています。
帰りに地蔵尊の窓口や本堂を覗いてみましたが、人は誰もいませんでした。午後ということもあったと思いますが、信仰よりおでん、花より団子かなと思いながら地蔵尊を後にしました。
地蔵尊の近くにある「生活クラブ デポー 日限山」に寄って、魚のコーナーを見てみました。生協の一種で安心安全を売り物にしています。さかなをさばく部屋があり、店に並べている鮮魚の種類は、ユーコープ日限山よりはるかに多いです。しかし千葉産、長崎産、北海道産などと表示があり、すべて加熱用でした。湘南海岸の魚市場から早朝仕入れているようではありませんでした。それでも魚好きにとってはデポー日限山は嬉しい店です。姿焼き、姿煮、姿から揚げなどが楽しめます。