昨夕
夫は今朝も野球帽なしで散歩に出かけて行った。
そうなのよ、悩み苦しめられていた(大げさ)ひどい円形脱毛症から解放されたからね。
思い出せば、去年の5月ごろ、出先から帰って玄関に入った途端、自分で散髪していた
夫の頭を見てびっくり仰天。「なにその頭!」ってな驚きの声を上げたわ。
側頭部、後頭部、高原の大小の湖沼群よろしく丸いハゲが10個は点在しているんだから。
当のご本人は分からなかったらしく指摘すると鏡を見て唖然とした。「ひっでえなあ」って。
そりゃあショックだわ。
私は証拠写真を撮って見せてあげたら「こんなか!」って。
さあ、それからが大変。痛くも痒くもないけれど、何しろみっともないと本人がいたく気にする。
すぐそこのゴミ出しに行くにも野球帽をかぶっていく。
こんなに早い時間だから誰にも会わないでしょ、大丈夫だよ、と励ましてもかぶる。
スーパーに行くにも、カブのヘルメットの下にかぶる。
医院に行くにも散歩に行くにもかぶる。バスに乗るにもかぶる。
今朝
皮膚科は受診した。医師にストレスはないかと聞かれ「妻がストレスです」なんてふざけたこと
言って。薬をいちおうもらって熱心にぬっても変化なし。1回受診でさっさとやめた。
で、その後は、3日にあげず「どうだ、少しは生えてきたか」と聞く。
たんびたんびに聞いてきてうるさい。が、本人は気にしているだろうからと適当に
「そうね、ここは少し生えてきたかもよ」と喜ばせる。実際には変化がないけどね。
そんなこんなが去年の秋ごろまで続いて。11月ごろ同級生との飲み会があったとき、
「おれ、円形脱毛症なんだ」と帽子を脱いでカミングアウト。するとカズコサンが、
「大丈夫大丈夫、私もなったことあるけど生えてきたわよ。気にしないことが一番よ」
とアドバイスくれた。夫は希望が見えたみたい。
そうこうするうちに、暮れごろになると耳の上あたりの小さなハゲが少し毛が生えて
目立たなくなってきた。夫は、「ここ生えてきたよなあ」と何度も繰り返す。
「後ろはどうだ?!」と聞くから「白髪が1本2本生えてきたみたいだよ、面白いね白髪が
生えるなんて」と今度はほんとのことを教える。
正月に家族が揃ったときにも「ひっでえ円形脱毛症ににかかったよ」と見せていた。
そのあたりから、生えてきたかと聞く頻度が下がってきて。実際小さなハゲは埋まってきて
難関の直径2センチはあったそれが2、3個残っているだけになったのよ。
そして自然に夫は気にしなくなったのか、どうだどうだと聞くことがなくなった。
私も忘れてしまった。
不思議ね、相変わらず帽子をかぶって行動していたけれど、聞くことがなくなったら
いつの間にか黒い毛がふさふさと丸いハゲの中にも生えてきたの。元通りになったの。
それが7月頃だったかしら。
突然の円形脱毛症から1年2ヶ月くらいかかって自然消滅していったわ。「時薬」というわけね。
今は帽子なしで生活している。そして今度は前髪がふつうに薄くなってしまった。フフフ。