ようやく空の青を見た今朝
樹木樹林さんの訃報を受けて、ちょうどのタイミングで隣駅の小さなシネサロンで上映されていた
『モリのいる場所』を観たのが9月の19日。明日10月18日で上映終わりとのこと。
3月に近代美術館で、没後40年の熊谷守一さんの展覧会を観賞した時にフライヤーもいただいたが、
私は、たぶん観ないだろうな、と思っていた。
絵だけでいいや、と。圧倒されたからね。それと、熊谷さん役の山崎勉さん苦手だからね。
映画は熊谷家の、ことが起きているような起きていないような1日を温かくユーモラスに描いているのだが、
なにかちょっとピリッとくるものがなさ過ぎて物足りない。
熊谷さんご夫婦と、そこに出入りする方たち(池谷のぶえさん、加瀬亮さんはじめの実力俳優さんたちがいいのよ)
のごくごく日常の佇まいはとてもよかったのだけれど。
なにかなあ、とつらつら考えて。的外れかもしれないし私が観ていなかっただけだかもしれないけれど。
ない頭で、しかも生意気な上から目線で「そうだわ」と。
「昼間は自宅の庭で1日中アリや石ころをぼーっと観察していたり、
長年連れ添った奥さんと囲碁を楽しんだりした後、夜になると一転して厳しい画家らしい顔つきになり、
アトリエに篭りきりになって1日1時間~2時間絵を描く毎日だった。」
ここが描ききれていなかったから、熊谷さんがただの好々爺に見えてしまったのかもしれないと、
ひとり合点した次第で。
もう上映は終わっているけれど、今後テレビで放映されるかもしれないので。
映画紹介のホームページは こちら
熊谷守一さんの展覧会で200点余りの作品をを観賞した後、それまで持っていたシンプルで平面的な
色と線の絵の画家、いわば仙人と呼ばれていたというイメージとは、ずいぶん違う印象を受けた。
若い時から壮年までの絵は力強くダイナミックで風景や裸婦が多く、ひゃあそういう面があったのかと
びっくりするやら感嘆するやら。
キャプションの中に、
「景色を見てゐるでせう。そうすると、それが裸体になって見えるのです。
つまり景色を見てゐて、裸体が描けるんです。同じように裸体を見てゐて、景色が描けるのです。」
とあったのを見つけ、そうだったのかと。
自宅の庭だけで30年近く過ごし、植物、昆虫、猫を主題に絵を描いていたのは、
76歳の時に身体を壊して遠くに風景を描きに行くことが難しくなったからかと納得。
しわがひどいパンフレットで
「ヤキバノカエリ」いちばん切なくなった作品
展覧会の出口近くに書いてあった熊谷さんの言葉、メモしてきた。
生きていたいと思いますね
私ってしみったれですから いくつになっても命は惜しいですね
命が惜しくなかったら見事だけれど 残念だが惜しい
享年97歳。
なお、熊谷さんは岐阜県中津川市のお生まれ。そこに「熊谷守一つけち記念館」
豊島区千早町のご自宅に「熊谷守一美術館」がある。
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