我が町を通るミニバスこまわりくんの乗客は、言うまでもなく70歳以上敬老パスの方がほぼ9割。
最寄駅から鎌倉街道に出てすぐのバス停までは乗り込んでくる方のみ。滅多に下りる方はいない。
その滅多にないことが二つ重なって。
途中の停留所で目の前一人掛けに座っていた老紳士が降りた。
座ろうかなとも思ったが、ほらまだ若い!のいつもの見栄が顔を出して、お隣に立ってい女性にどうぞと促すも。
「子供が・・・」と躊躇される。
私も知っていた、女性の隣の隣に親子連れの二人が立っていることは。
「子供なんていいですよ、どうぞ!」
例によっての怒り口調で言ったわ。
「でも、さっきからずっと見ているんですよ」って、その方。
うーん仕方ないな、その女性は自分が座ると居心地が悪いんだろうな、と妥協。私が妥協するも変だけれど。
5歳くらいの女の子は、その女性に呼ばれて嬉しそうにちゃっかり座る。
その方それを見届けて「私もね、半々くらいだったんですよ」と耳もとでこっそりおっしゃる。そっか。
そっかだけれど、私は自分に腹が立った。どうして言えないのか、あなたは立っていなさいって。
「あなたは元気でしょ、疲れてても我慢できるよね、もう少しだけがんばろうね」くらいのセリフ。
子どもに嫌われては嫌だ、が無意識に出たのね、ああイヤだ何のために年とってるんだ!自分。
と年寄りの責任は若いママに飛び火して。どうして言えないのか、そこのお母さん。
「ありがとうございます、でも大丈夫ですから。どうぞ座って下さい」ぐらいのセリフ。ったく。
だってね、ついこの間は見たのよ、後部座席にママと3歳くらいの坊やが座っているのを。
それがいつものようにどんどん乗客が増えてくると、余裕があった後部座席もぎゅうぎゅうになってきて。
ママは坊やに言ってた。
「お客さんがいっぱいになって来たから、お膝のところに来てね」って。
どうしてって坊や。他の人が座れるでしょってママ。
この坊やが可愛いの。ママの膝の間から外を見ていて、
「ぼく、しろいせんだいすき」だって、あの道路の白線のことなのよ。意外さにママも笑ったけれど聞いていた私も笑った。
「かっこいいから?」
「うううん、かっこいいんじゃなくてきれいだから」
ああ、あの道路の白線がきれいだから好き!だなんて。いいわあ。おばちゃん君の頭なでなでしたい。
路線バスで腹たてたりほっこりしたり。変化がある日々は楽しい。