熱海に行ったときには必ず立ち寄るMOA美術館。そこでは、平松礼二・森口邦彦展が開催されていた。
平松礼二の作品は、ぼくがよく行く、箱根の成川美術館にしばしば登場するし、湯河原の平松礼二美術館も訪ねたこともある。独特の華やかな色彩の装飾的絵画で、モネのオマージュ作品や富士山などが有名である。一目ぼれではなかったが、だんだんよくなる法華の太鼓で(笑)、今は大好き。
モネの池の四季が描かれる。春は桜の花筏、夏は睡蓮の花、秋は紅葉が水面に浮かぶ、冬は雪の睡蓮池。うっとりする夢の景色。
モネの池・春彩
モネの池四季彩夢
平松の言葉があった。水墨が一番精神性が高いものと云われるが、多色を極めた様式美、装飾性の方が逆に精神性が高いと思う。
日本の祈り花は咲く(4曲1双) 東北大震災のあとに制作。祈るような気持ちで描いた。日本の象徴、富士山は沈まない、そこには花が咲くのだと。
平松礼二と森口邦彦は共に、昭和16年生まれ。これからは、ジャポニズム、フランスの美術を教科書にするのではなく、それらをつくった琳派、浮世絵など江戸期の芸術を教科書にしたいと、平松。
さて、森口は、平松と共に、今年の梅花の季節に、ここで開催された、(光琳の二大国宝屏風、紅白梅図と燕子花図が並ぶという)世紀の展覧会”光琳アート”にも出展していた。その一つが友禅訪問着 ”白地位相割り付け文 実り” で、平成25年4月から、この文様が三越のショッピングバッグに採用された。
この展覧会では、それは展示されていなかったが、うつくしいモダンな意匠の友禅訪問着がいくつも並んでいる。彼はこんな言葉を残している。私は人間がつくりだした芸術の中で音楽が一番だと思う。友禅はそれに近いものだと思っている。友禅を所有して、着ていただくことで、制作者のメッセージが伝わり、喜びとして共用できるという高等な造形物だと思う。
千花(左)と黄唐茶格子文(右)
渓流
常設展はいつみてもすごいし、とても、楽しい展覧会だった。
常設展から
重文 色絵金銀菱重茶碗 (野々村仁清)
青磁大壺 (南宋・郊壇官窯) 汝窯の青磁のようなうつくしい青、そして細かい貫入。好きになりそう。
MOA美術館
空と海と初島と
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