<市場概況の最後のコメントが長くなりすぎましたので、こちらにタイトルを改めて掲載します。>
今週の疲れから、9時頃からの宵寝に入り12時頃目が覚めたら、何と為替の約定メールが2つ飛び込んでおりました。ドル・円の103.7円の売り指しと、104.5円のストップオーダーです。締めて80銭の損失。為替は振れが大きな時に、値動きを見ないままに引っかけられてしまい、どうもうまく行きません。
NYダウも、この深夜の時間帯になおも上昇中です。12884ドル(+263ドル)近辺。(結果は、ここからはさして伸びず)
シティの決算は予想を下回るものだったようですが、市場では前の四半期よりもっと酷い決算を「予想」していたらしく株価に影響せず、逆にキャタピラーや昨日のグーグルの好決算が押し上げているようです。いわゆる悪材料出尽くしと、アメリカの景気持ち直しへの期待感からの上昇ですので、本当に市場はよく分からないものです。
結果としての、利下げ期待後退(0.5%の利下げ期待は今や18%)から、「ドルの復権」の動きを素早く見た為替市場で、ドルの買い戻しが急速に進んだという訳ですね。
しかし、筆者のストップオーダーはボリンジャーバンドの+2σ近辺にピッタリとセットされていたようで、全くまずいところにセットしたものでした。まるで食虫植物のモウセンゴケにでも、パックリと食された嫌な気分です。こういう「犠牲者」がFX市場に沢山いることでしょう。
利下げ期待が後退したということは、このような円安への転換を示すものですが、アメリカの景気が良くなる兆候が出たことで、「原油需要」が増えるのではないかとの見方から、NY原油がこの株高にも拘わらず、終値では大幅に上げております。
ここまで書いて、もうお分かりのように、昨日は以下の構図でした。
・景気好転期待→原油需要増加期待→原油高→インフレ昂進の怖れ
↓
利下げ中止予測→ドル買い戻し=キャリー通貨の売り(円とスイスF)
原油高と円安が進むということは、日本にとってどうなるのかですが、景気が良くなることによって、いわゆる新興国の成長も元の軌道に乗ります。そうなると、先日書いたような食料や、商品価格も上がり続けます。
その結果、円安+原料高+原油高で、日本でのインフレがさらに進行することになります。一部の輸出産業も円安で潤う以上に、原料高、原油高の影響を更に受け、価格転嫁がますます課題となる筈です。
日本でのインフレの昂進から来る長期金利の上昇こそ、この国が一番恐れていることです。短期の政策金利は日銀がコントロールできますが、長期金利は市場で決まります。本当は政策金利を速やかに上げて、上手に円高誘導し、インフレの芽をつみつつ、経済成長を計って税収を上げなければこの国の未来はないのに、長期金利の上昇を恐れて、それが出来ないという、全くの無策のデッドロックに乗り上げているのが、この日本ということになります。多分、今の政府はインフレ(数年で倍程度)を渇望していることと思います。それで、借金が実質的に少しは減って、財政破綻の延命処置が計れるという次第かと。
(後期高齢者の皆さん、健康保険料が少し上がったぐらいで騒いでいる場合ではありませんよ。あなた方が選んだ政府はもっと酷い仕打ちを仕掛けているのかも知れません。)
その意味で、昨日は市場の大きな転換点になった可能性がありますが、ポイントは、やはりサブプライム問題の実体経済への影響度ですね。住宅価格の下げ止まりがあれば、ABSなど証券化商品にも値が付き、市場での流通が再度行われ、金融の動脈硬化も改善されるのでしょうが、高くなりすぎた住宅価格はこれからまだまだ下がる筈です。(注1)ヨーロッパの住宅問題(注2)がこれに上乗せされて顕在化します。そう簡単にサブプライム問題が収束するとは思えません。
今後の推移を見守りたいと思います。
注1)ケース・シラー住宅指数(2000年1月を100としての指数)
特に値上がりの大きかったロスアンゼルスで1996年1月に73だったものが2006年9月には274まで上がっております。これが今年1月ではまだ224です。3.7倍に上がった住宅価格がまだ3倍です。2002年1月から見ても昨年末では1.85倍です。
日本のバブルの時はどうだったのか、筆者の住んでいる場所の相場をざっと記憶しておりますので、思い出しながら見てみます。(バブルになってから比較的遅く購入したことに注意。)
買値:100(1988年4月でした)←自宅
高値:170(1990年頃)←すぐ近所の同様の物件価格
現在の相場:68(昨年夏)←すぐ近所の同様の物件価格(長く売れ残り、結局値下げ)
つまり、高値からの下落調整は60%(68÷170)にも及んでおります。
=こちらも参照、真ん中の日本の地価=
そうなると、274という最高値指数の40%は109となります。今年1月の224から現在は200まで落ちているとしても、まだ底値までは半値近くになる必要があります。日本のバブルはもっとも激しかったのかも知れませんが、アメリカもこれに劣らずに激しかった筈です。後15%の下落で済むとはとても思えなくなってきました。仮に半値まではいかなくとも、あと3割から4割の下落は必然ではないでしょうか。
注2)欧州各国の住宅価格(1992~1997年にかけて上昇開始)
スペイン、フランス---2007年9月のピーク時までに2倍
イギリス---2007年9月のピーク時までに3倍
デンマーク---2006年9月のピーク時までに3.3倍
アイルランド---2006年9月のピーク時までに4倍
筆者の家も、バブル開始前に買っていれば2.5倍は値上がりしたでしょう。(170÷68)どの国もまったく同じような罠に嵌るものです。これがどうしようもない人間の性でしょうね。
今週の疲れから、9時頃からの宵寝に入り12時頃目が覚めたら、何と為替の約定メールが2つ飛び込んでおりました。ドル・円の103.7円の売り指しと、104.5円のストップオーダーです。締めて80銭の損失。為替は振れが大きな時に、値動きを見ないままに引っかけられてしまい、どうもうまく行きません。
NYダウも、この深夜の時間帯になおも上昇中です。12884ドル(+263ドル)近辺。(結果は、ここからはさして伸びず)
シティの決算は予想を下回るものだったようですが、市場では前の四半期よりもっと酷い決算を「予想」していたらしく株価に影響せず、逆にキャタピラーや昨日のグーグルの好決算が押し上げているようです。いわゆる悪材料出尽くしと、アメリカの景気持ち直しへの期待感からの上昇ですので、本当に市場はよく分からないものです。
結果としての、利下げ期待後退(0.5%の利下げ期待は今や18%)から、「ドルの復権」の動きを素早く見た為替市場で、ドルの買い戻しが急速に進んだという訳ですね。
しかし、筆者のストップオーダーはボリンジャーバンドの+2σ近辺にピッタリとセットされていたようで、全くまずいところにセットしたものでした。まるで食虫植物のモウセンゴケにでも、パックリと食された嫌な気分です。こういう「犠牲者」がFX市場に沢山いることでしょう。
利下げ期待が後退したということは、このような円安への転換を示すものですが、アメリカの景気が良くなる兆候が出たことで、「原油需要」が増えるのではないかとの見方から、NY原油がこの株高にも拘わらず、終値では大幅に上げております。
ここまで書いて、もうお分かりのように、昨日は以下の構図でした。
・景気好転期待→原油需要増加期待→原油高→インフレ昂進の怖れ
↓
利下げ中止予測→ドル買い戻し=キャリー通貨の売り(円とスイスF)
原油高と円安が進むということは、日本にとってどうなるのかですが、景気が良くなることによって、いわゆる新興国の成長も元の軌道に乗ります。そうなると、先日書いたような食料や、商品価格も上がり続けます。
その結果、円安+原料高+原油高で、日本でのインフレがさらに進行することになります。一部の輸出産業も円安で潤う以上に、原料高、原油高の影響を更に受け、価格転嫁がますます課題となる筈です。
日本でのインフレの昂進から来る長期金利の上昇こそ、この国が一番恐れていることです。短期の政策金利は日銀がコントロールできますが、長期金利は市場で決まります。本当は政策金利を速やかに上げて、上手に円高誘導し、インフレの芽をつみつつ、経済成長を計って税収を上げなければこの国の未来はないのに、長期金利の上昇を恐れて、それが出来ないという、全くの無策のデッドロックに乗り上げているのが、この日本ということになります。多分、今の政府はインフレ(数年で倍程度)を渇望していることと思います。それで、借金が実質的に少しは減って、財政破綻の延命処置が計れるという次第かと。
(後期高齢者の皆さん、健康保険料が少し上がったぐらいで騒いでいる場合ではありませんよ。あなた方が選んだ政府はもっと酷い仕打ちを仕掛けているのかも知れません。)
その意味で、昨日は市場の大きな転換点になった可能性がありますが、ポイントは、やはりサブプライム問題の実体経済への影響度ですね。住宅価格の下げ止まりがあれば、ABSなど証券化商品にも値が付き、市場での流通が再度行われ、金融の動脈硬化も改善されるのでしょうが、高くなりすぎた住宅価格はこれからまだまだ下がる筈です。(注1)ヨーロッパの住宅問題(注2)がこれに上乗せされて顕在化します。そう簡単にサブプライム問題が収束するとは思えません。
今後の推移を見守りたいと思います。
注1)ケース・シラー住宅指数(2000年1月を100としての指数)
特に値上がりの大きかったロスアンゼルスで1996年1月に73だったものが2006年9月には274まで上がっております。これが今年1月ではまだ224です。3.7倍に上がった住宅価格がまだ3倍です。2002年1月から見ても昨年末では1.85倍です。
日本のバブルの時はどうだったのか、筆者の住んでいる場所の相場をざっと記憶しておりますので、思い出しながら見てみます。(バブルになってから比較的遅く購入したことに注意。)
買値:100(1988年4月でした)←自宅
高値:170(1990年頃)←すぐ近所の同様の物件価格
現在の相場:68(昨年夏)←すぐ近所の同様の物件価格(長く売れ残り、結局値下げ)
つまり、高値からの下落調整は60%(68÷170)にも及んでおります。
=こちらも参照、真ん中の日本の地価=
そうなると、274という最高値指数の40%は109となります。今年1月の224から現在は200まで落ちているとしても、まだ底値までは半値近くになる必要があります。日本のバブルはもっとも激しかったのかも知れませんが、アメリカもこれに劣らずに激しかった筈です。後15%の下落で済むとはとても思えなくなってきました。仮に半値まではいかなくとも、あと3割から4割の下落は必然ではないでしょうか。
注2)欧州各国の住宅価格(1992~1997年にかけて上昇開始)
スペイン、フランス---2007年9月のピーク時までに2倍
イギリス---2007年9月のピーク時までに3倍
デンマーク---2006年9月のピーク時までに3.3倍
アイルランド---2006年9月のピーク時までに4倍
筆者の家も、バブル開始前に買っていれば2.5倍は値上がりしたでしょう。(170÷68)どの国もまったく同じような罠に嵌るものです。これがどうしようもない人間の性でしょうね。