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超低金利局面の終焉の始まりか?

2008-04-26 12:07:25 | 金融全般
今週は、ここまで債券と株式のアンワインド(逆流)が強いとは思いませんでした。

長期金利の目安となる、10年物国債先物の値段に異変が現れたのが4月24日(木)でした。前日までOSCも29%から33%にまで切り返し、この日に逆襲なるかと思っていたのですが、一気に85銭安の137.13円まで落ちました。

実はこの24日の日経225先物は、円安トレンドにも拘わらず、朝高の後、ジリジリと右肩下がりでの-40円終了だったのです。

本来なら、国債先物に買いが入らなければいけない場面での急落でした。この異変に鈍感だった筆者の負け。

そして、金曜日の朝、長期国債の(高値の)在庫を抱えた国内機関投資家からの「投げ売り」(注)があり、一気に1円も窓を開けて寄りついたのです。これで、株式市場にその売却資金が流れ込み、少しでも損失を取り戻そうと、必死に株式市場を持ち上げざるを得ませんでした。

この国債先物の週足を見ると、今週はもの凄い下げです。週足ですから2004年からしか見れませんが、そのつるべ落としの様はひときわ目を引きます。

国債先物が最も上昇したのが、去年の8月の例の株式市場の暴落の時でした。その時の上げ幅の倍近くの下落です。ちなみに、月足でも見てみました。これも群を抜いた下落です。

円先物の短期金利も上昇しております。アメリカも同様です。よって、今週のFOMCでは、利下げ打ち止め観測まで出ております。

長短金利が上昇する(価格は下落)ということは、それだけインフレ懸念が高まっていることが背景にあります。

また、日米ともに金利が上昇しておりますが、これまでアメリカの利下げ観測が強かったのがなくなる可能性の増大分が、日銀の利下げ可能性よりも大きかった、その反動から相対的にドルのアンワインドが強かったため、円高ではなく円安方向に振れております。

問題は今後の読み方です。この歴史的な債券の投げ売りをどう見るのか、筆者は経験が浅く読み解くことは困難です。つまり一時的なリバウンドになるのかどうかの見通しがうまくできません。(いよいよ外国勢の売り仕掛けが始まったのかも知れませんが。過去、幾度となくこれに失敗。今度こそか?)

しかしこれは、ここ数年続いた日本の超低金利局面の終焉の始まりではないかと思うのです。

相変わらず、アメリカの各種経済指標は悪化を続けております。昨日もミシガン大学の消費者信頼感指数が、予想の63.2に対して62.6に留まりました。この傾向はしばらく続くでしょう。何しろ、GDPの70%を占める個人消費が、住宅価格の下落継続でますますシュリンクしているからです。ウォルマートなどの安売り店だけ繁盛。これは単に生活防衛のためです。

最後に、日本の市場に大きなインパクトを与えるNYダウの動きから、来週の流れを推測してみます。この際、昨年の10月31日からのマクロな動きを振り返ってみます。もちろん、誰も行っていないOSCをベースにした分析手法を使います。今日は日柄に焦点を当てます。(高値・安値はその前後に付けたもので同じ日に達成しているとは限りません。)

・2007年10月31日 OSC69% 高値13963ドル
・2007年11月26日 OSC39% 安値12724ドル(日柄18日)
・2007年12月6日  OSC65% 高値13780ドル(日柄8日)
・2007年12月17日 OSC39% 安値13092ドル(日柄7日)
・2007年12月26日 OSC58% 高値13563ドル(日柄6日)
・2008年1月8日   OSC29% 安値11634ドル(日柄8日)
   この最安値は9日目に出現。
・2008年1月31日  OSC64% 高値12767ドル(日柄16日)
・2008年2月12日  OSC42% 安値12103ドル(日柄8日)
・2008年2月28日  OSC63% 高値12756ドル(日柄11日)
・2008年3月10日  OSC40% 安値11731ドル(日柄7日)
・2008年3月24日  OSC60% 高値12622ドル(日柄9日)
・2008年3月28日  OSC46% 安値12176ドル(日柄4日)
・2008年4月9日   OSC59% 高値12733ドル(日柄8日)
・2008年4月14日  OSC38% 安値12270ドル(日柄3日)
・2008年4月23日  OSC65% 高値12942ドル(日柄8日)

このことから少なくとも言えることは、OSCの高値から安値(その逆も)への移行の日柄は、10日以内が主流であること、長くても15日程度となっていることです。特に3月以降はその傾向が顕著です。このメッセージだけだとちっとも面白くありません。

そこで、次にOSCの高値から高値までの日柄と、その間の終値の変化をプロットしてみました。

・4月3日~4月20日までの12日(+452ドル)
・4月20日~5月16日までの18日(+526ドル)
・5月16日~6月5日までの13日(+108ドル)
・6月5日~7月6日までの22日(+16ドル)
・7月6日~7月19日までの9日(+389ドル)
 ダウ14000ドル台乗せ
・7月19日~8月24日までの26日(-622ドル)
 ダウ12517ドルの安値
・8月24日~9月18日までの16日(+361ドル)
・9月18日~10月31日までの30日(+191ドル)
 ダウ14198ドルの最高値
・10月31日~12月6日までの25日(-310円)
・12月6日 ~1月31日までの37日(-969ドル)
 ダウ11636ドルの安値
・1月31日 ~2月28日までの19日(-69ドル)
・2月28日 ~3月24日までの16日(-34ドル)
・3月24日 ~4月18日までの19日(+301ドル)
・4月18日 ~4月25日現在までの5日(+43ドル)

となります。特に青字の部分にご注目下さい。プラス調整する時は日柄のかけ方は様々ですが、大きくマイナス調整するときは日柄をかなり長くかけていることがお分かりかと思います。

2月末までのマイナス調整の流れから行くと、3月中旬のベア・スターンズの危機の時には、本来更に大きなマイナス調整があって然るべきでしたが、たったの16日の日柄調整で下落幅もわずか34ドルに留まっております。いかに、FRBの緊急対策が功を奏したかを如実に現しておりますね。それを見た市場の反応が、その後の期間の301ドルの上昇だったという訳です。

そうなると、やはりベアスターンズ危機を脱した現在、NYダウは潮目が変わったと考えざるを得ません。長期的には住宅価格の下げ止まりがまだであることから、まだまだ各種経済指標の変調は続くものと思いますが、後は、野村の赤字決算の元凶ともなったCDS市場での異変が起こらない限り、各種の悪材料はいわば織り込んでしまった状態かと思います。もちろん、昨年秋口も2回立ち直りを見せており、その後頓挫しておりますので、これからも何が起こるか分からない状態ではあります。

こんなこと、皆さん感覚的には先刻ご存じだったことでしょう。しかし、アメリカの構造的な問題の深刻さと、市場のこのような現実的な反応とは、一時的にせよ切り離して考えなければなりません。そうでないと、先週の日本市場の活況と債券の暴落の意味が分からず、ともすれば筆者のように、ただただ相場の上昇に唖然とするのみ、という結果になってしまいますね。市場はある意味で非常なダイナミズムに溢れております。

と言う訳ですので、来週のNYダウは、日柄的には小調整の時期に入るかと思いますが、これまでのような200ドル超の大幅下落が続くようなことはないものと思います。

以上、今週の結果、特に債券市場の暴落と、ダウのトレンドを踏まえての私見となりますが、これが北極圏から脱するための新型GPSになるのかどうか。。。GPSの頭文字が、どうも、God!、Please Save(Me)という弱気に聞こえてなりません。

(注)出来高からの損失推定値
    ↓ 
   国債先物:70233枚(前日比-1.49円)=単純損失1046億円。

もし個人投資家がひまわり証券で証拠金200万円を差し出し、前日に長期国債の売りをかけていれば、1日で149万円の儲けとなります。凄いボラティリティですね。とても手が出ません。
 
コメント
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