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ウィルス耐性獲得の副作用

2008-04-05 07:34:57 | 株に出会う
市場概況(4.4.08)の最後に書いた、4月5日の朝のコメントの続きです。

これだから、勝手な予想は難しいのですが、NYダウのOSCの推移を見ていて、気づいたことがあります。

それはOSCの底値が1月の後半からは、40%そこそこに留まっていることです。年初の1月8日と、昨年の8月16日には29%をマークしておりますが、その後は30%台の後半にはOSCを落として、上は60%そこそこまで上昇という、通常モードで推移しております。

つまり、過去2度の「金融危機」の時は29%にまで押されましたが、それ以降は、何とか値幅の振れを押さえ込むことに成功しております。

このことは、日経平均についても言えそうです。昨年8月来の日経平均のOSCの底値は、最近の順に3月10日の29%、1月22日の30%、11月12日の31%、そして8月17日の30%です。

つまり、この株式市場の異変の時期では、日米の主力市場のOSCが30%になれば、その後は反発しているというのが第一点。RSIのトラッキングでは、これほど顕著な結果は出ておりません。これは今後とも使えるデータです。

もう1つは、最初の話題のNYダウの1月後半からの「異様な安定ぶり」です。これは金融システムの危機という今回の問題は、4-5ヶ月のサイクルで市場での認知度が更新されると見て良いのではないでしょうか。最初は昨年8月、2回目は今年の1月でした。

3月のベア・スターンズの危機の時は、誰しも2番底があると思ったものでした。それが肩すかしに終わった訳ですが、市場は1月段階でこのような出来事がアメリカにも発生するとある程度織り込んでいたのではないでしょうか。そして、その救済劇がFRBのJPモルガンを間に挟んでの、準公的資金の投入といった、思い切った処置にまで進んだので、とりあえず、サブプライム問題に端を発する金融危機の第3幕が切って落とされることがこれで回避されました。

そうなると、この後、欧米の銀行の1Q決算の悪い結果がドシドシと出てきても、その程度は既に市場は織り込んでいるということになります。既にメリルは自己資本の増強は必要ないと言っているほどです。

もし第3幕があるとすれば、政府系といわれるフレディマックやファニーメイから出てくる新たな問題か、CDS(クレジット・ディフォルト・スワップ)市場からの大きな損失のクローズアップか、いずれにしても、市場がこれまでに認知した事柄に対しては、雇用統計の今後の悪化も含めて、今は随分と耐性が出来上がっていると言えそうです。

市場も生物界と同じで、「ウィルス耐性」のような、持って生まれた、この世を生き延びるための本能特性をどうも備えているようです。

しかし、重要なことは、この新型ウィルスへの対応は、新しい「抗生物質」の投与によって、一時的には回避することができますが、人間がアマゾンの密林を乱開発することにより、既に新しい抗生物質開発の基礎となる植物種の発見が困難になっているように、金融工学で世界の金融資本市場を荒らしまくった後では、今は既に国家による「抗生物質の投与」しか事実上残されていない状態です。

そして、例えば、我々日本人の生活を向上させるための、アマゾンやボルネオ等の密林の乱開発が、地球温暖化というより厳しい副作用を人類に突きつけているのと同様に、国家によるこの「救済劇」が、中央銀行のバランスシートの毀損による国家信用の崩壊(ドルの失墜)からくる金利上昇という、最悪の副作用が何時どういった形で芽を吹いてくるのかを見定めることだと思います。
コメント
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