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BISから野村インサイダー事件の対策を考える

2008-04-29 14:57:44 | 金融全般
例の野村證券のインサイダー事件、業界一の内部統制が行き届いていた筈の野村證券で起きたことに、内心、証券業界は狼狽しているのではないでしょうか?

どうしたら再発防止ができるのか?と業界の方々は自問自答し、「今回のようなケースは絶対防止出来ない」と観念しているのではないかと。。。

野村の社長が、「年2回誓約書を取っていたのに」と、つい漏らしたようですが、そりゃ、誓約書をいくら取っても駄目でしょう。そんなことは極めて形式的なことです。サインする社員もそれが形式的であることを先刻ご承知です。

では、一体全体どうすれば、こういった不祥事が防げるのか?これが今日のテーマです。

しかし、筆者もいささか無謀ですね。普通に考えると、悪意を持ってやられたら防止のしようがない問題に、あえて、この休日に何か意見を言ってみる気になるとは。

切り口は、タイトルに書いたようにBISです。

これは銀行に対して行われているBIS規制のことではありません。

Biological Incentive Systemの略です。文字通り、生物に生得的に備わったインセンティブシステムのことです。(BISは、ウィリアム・B・アーヴァインが使った言葉です。)

動物も人間も、何らかのインセンティブシステムに従って行動をしているのではないかとの説がBISという訳です。

目的は、自然淘汰に打ち勝ち、自らの子孫をできるだけ多く残そうという、いわば生物が本源的に持たされているリチャード・ドーキンスの利己的遺伝子戦略の1つと言えます。

さて、野村インサイダー事件であの中国人社員の、自らが生き残るためのインセンティブは何だったのでしょうか?

この場合、生き残るとは、野村社内でのことではありません。あくまで彼が生きているこの世の中での生き残り戦略のことです。

彼は直感的に、自らの仕事を通じて、巨万の富が内々に蓄積出来ると考えた筈です。確かに野村社内では自分が所属する部署では社員そのものが株式トレードをすることを禁じております。そのために誓約書も書いております。しかし、抜け穴は十分にあると見込んだのです。絶対にばれない方法があると。

そこまで確信できたとしたら、後はそれを実行し、野村での報酬に加えて、インサイダーでの裏金を加えれば、これは金銭的にはぼろいことになるのではないかと考えた筈です。一生、優雅な暮らしが出来、「美人妻」をめとり、多くの子孫が残せるのではないかとね。

これが、今回の行動に彼に駆り立てたインセンティブです。

ところが、氷山の一角とはいえ、たまたま、M&A絡みでのインサイダー疑惑の「捜査」を行っていた証券取引等監視委員会が、特定のM&Aに絡んで、特定の中国人の名前が出てくること、そしてそのM&A案件がすべて野村證券が絡んだ案件であったことに気がついたのです。

今回はたまたま見つかりましたが、これからはかなりの確率で見つかることを示せば、こうしたインサイダー事件の多くは「撲滅」される筈です。何故なら、見つかる確率が相当に高ければ、証券会社はもちろん、普通の会社の社員でも、懲戒免職を覚悟してまで、当面の数百万円のお金のためにインサイダー事件を起こそうというインセンティブが働かないからです。

問題防止の鍵はここにあります。誓約書の徹底やら、社員教育には決してありません。社員教育が無駄だとは言っておりません。効果が極めて限定的だと言いたいのです。現にこれまでもこうした教育は、過去に不祥事を犯したどの企業も、教育内容は別にしてもそれなりに行ってきた筈です。

さて、かなりの確率でインサイダー事件が見つかる方策はあるのでしょうか?

それは、今回、証券取引等監視委員会がたまたま発見したやり方にヒントが潜んでいると筆者は思います。

いくつかの条件を組み合わせば、そして、うまく名寄せさえ出来れば、今回のケースのように確率的にはあり得ないような人物があぶり出されてくるのです。

これを業界全体でシステムを構築して行う以外には対策はありません。

データベースは各証券会社が持っている口座開設者の個人情報と取引情報です。統計学的な手法も用います。それまではほとんど取引がなかったのに、急にある特定銘柄で取引が増え、しかも統計的に有意な差で大儲けをしている顧客とその銘柄、その銘柄が、今回の野村のM&A案件のように、特定のイベントに絡む儲けかどうかのスクリーニング等々。

専門家の叡智を結集してこうした条件付けを行い、それを金融庁のシステムに一括管理出来るようにして、数百、数千の条件式を絶えずシステム的に自動検証し、疑惑のトレーディングを人物名とともに浮き彫りにすることが出来るようにするのです。

そして、こうしたシステムがほぼ完成した暁には、このことを公表するのです。開発プランを先に公表するだけでも、かなりの効果が見込めるでしょう。何しろ、既に過去の取引履歴は各証券会社にあるのですから。

仮にバレる確率が、どんなに精緻なシステムを組んだとしても、30%に満たなくてもOKです。こうしたことを裏で行っていることのアナウンスメント効果は絶大です。

インサイダー事件を引き起こそうという人間に、それで稼げる金額が、自らの生涯賃金よりも多くないと思わせ、誰もやる気にはならないように持って行くのが眼目です。多く稼げば稼ぐほど、露見する確率が増えるのがこのシステムの特徴です。

関係者が連携して、この方向で今後の対策を固めることを、誠に僭越ながら期待します。
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明日のモニタリング銘柄(4.30.08)

2008-04-29 11:41:11 | 明日のモニタリング銘柄
最初に、4月28日(月)の結果をOSCの4層分析で振り返って見ます。

注釈:①から③に件数が移動するに従い、相場環境の改善を示唆しております。④は中立。【 】内の一口定義を参照。

日付の後の( )内の数字はその日の日経平均の前日比。

①OSCが前日同値以下&終値が前日安値と同値以下で終了【悲観
②OSCがコンバージェンス&前日比マイナス引け【希望の芽
③OSCが前日以上&プラス引け【楽観
④いずれにも該当せず【躊躇

1月11日から2月22日までのデータ

2月25日から3月19日までのデータ

3月21日から4月18日までのデータ

4月21日(+220円)①27件 ②9件 ③97件 ④70件
4月22日(-149円)①74件 ②6件 ③39件 ④85件
4月23日(+31円) ①19件 ②26件③95件 ④64件
4月24日(-38円) ①44件 ②17件③52件 ④86件
4月25日(+322円)①50件 ②10件③83件 ④60件
4月28日(+31円) ①42件 ②26件③85件 ④51件

①の「悲観」がもっと減っても良さそうですが、③の「楽観」の伸び悩みといい、月曜日の上げは、大型株>中型株>小型株>新興株の順に御利益が行き渡ったということになります。

こんなに綺麗に分散するのは、この高値圏では異例だと思われます。一斉に上げたものは一斉に下げますが、このような分散上昇型は、揉み合いながらも物色の矛先が変わっていきながらの上げ基調が継続している証拠かも知れません。

さて、こんな時に逆張り銘柄への投資はチョイ勇気がいるものですが、あえて、これまでのスタイルを守って、オシレーター系のテクニカル指標が底値を示しているものを中心にモニタリング銘柄を抽出してみます。

1.3715ドワンゴ
 10日安値平均値の331Kを下回ったままですので、あまり上げ迫力がありません。しかしながら、OSCを+5%の49%とコンバージェンスさせての終了でしたので、明日は再度320K割れから313K割れは死守した上で、地合に乗っての反転が期待できそうです。月曜日の後場の先物の顕著な下落にも、前場のような313Kまでの滑落は見られず、大きな売りは鳴りを潜めている物と思われます。

しかし、筆者はいつからこの奇妙な名前の株の「虜」になったのだろう?昔は数百株の取引しかなかった株が、今や1万株以上もの取引高があるという、このどんでん返し的な事実と、この濁った発音の社名の相乗効果で「テストステロン」が分泌されすぎているのだろうか?「美女」と同じで余り思い入れし過ぎると良くないのかも知れません。

2.6804ホシデン
 5月8日の本決算を控えて、調整の度を強めてきております。OSCがしかし33%から36%へとコンバージェンスして切り返し気配。明日は2025円割れに注意。このところの上げからの一服ならば再度の切り返しに入るかと。。

3.6363酉島製作所
 おっと、この株を取り上げようとしておりましたら、既に28に上方修正しておりました。後はどこまで戻すのかですが、MAX2000円までの余地がありそうです。ギャップアップして始まっても、一瞬利確の動きが出た時にすかさず大きな買いが入るかどうかがポイントです。

4.3774インターネットイニシアティブ
 上がり馬からはこれを。10日の高値の平均値で月曜日は終了。370Kが直近の高値ですので、どこまでこれに迫れるのか。折に触れ玄人筋に持ち上げられる面白い株。

5.7915日本写真印刷
 これもそろそろ底打ちでしょう。4150円までは届きませんでした。しかしまだ油断は禁物。下値模索中ではあります。OSCは32%→37%へと明らかにコンバージェンスしましたので取り上げております。これも4270円割れに注目しながらの参戦です。

以上です。

新興市場の特にネット関連銘柄が大きくやられております。4689ヤフーに引っ張られているのと、4700アクセスの粉飾決算の影響と言われております。明日はヤフーが持ち直すなら、次のような、売りに売り込まれているネット関連株にも勝機はあるかも知れません。

・2121ミクシィ、2497ngi、2440ぐるなび、2461ファンコミ。

持ち越しは、月曜日のモニタリング銘柄から6519エネサーブのみ。セブン銀行は残念ながら196Kで撤退。195Kで終わっておりかつOSCを2%落としておりますので、まだまだ下値模索が続くかと思いますが、一度底打ちに入ると、この株、あっというまの上昇を演じますので潮目が変わる時期に注意。192Kが当面の底。
コメント (2)
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