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1つのバッハ演奏の極致

2009-07-11 15:59:50 | 折々の随想
先日、テレビで小澤征爾のインタビュー特集を行っておりました。残念だったのはインタビュアーのNHKの有働アナウンサーが、クラシック音楽については経験が浅いためか、小澤征爾に対する質問が紋切り型になっており、彼が音楽をかたち創る時の本質的な部分について、今ひとつ明確に引き出せなかったことです。

しかし、その中でも彼が言っていたことの1つ、作曲家が残した譜面への解釈は、演奏家その人の過去の人生の様々な経験が積み上がって、年を経るにつれ、いわば熟達していくものであるとの箇所は、確かにそのようであると思いました。

というのは、作曲家が譜面(楽譜)に書くことができることには、そもそも限界があるため、演奏家の解釈の余地が、録音技術の発達も相俟って、近年は随分と領域を拡げているからです。

今日届いたJ.S.Bachのハープシコードコンチェルトで、このことを改めて思い知りました。このよく知られたバッハの曲に対しての演奏家の解釈に基づく即興の部分が、ここまで嫌みなく新しい極致にまでこの作品を仕上げていることに、いささか感動しました。

ヴァイオリンと指揮は、あのトレバー・ピノックのイングリシュ・コンサートの後を継いだアンドリュー・マンゼ。

ピノックは演奏会にも行って彼のサインまで貰ったことがあり、LPレコード中心にかなり聴き込んでおりますが、このマンゼの演奏は、そう言われればイングリシュ・コンサートの面影はあるものの、実に斬新で現代的な解釈を、このバッハの有名なコンチェルトに対して施し得ております。

このCDに収録された3曲のコンチェルトは、筆者も過去40年間で、数え切れない演奏家の演奏をLP、CDや生で聴いてきましたが、それでもなお、このマンゼと、リチャード・エガーのハープシコードなどによる、アカデミー・オブ・エンシャント・ミュージックのCDには新鮮な驚きを感じました。

2001年のデジタル録音ですが、最近、ハーモニア・ムンディから発売されております。

バッハファンのみならず、バッハ音楽への入門用として、初めての方にもお薦めのCDです。
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市場概況(7.10.09)

2009-07-11 08:49:56 | 市場概況
後場は、3時前から円安の動きがピタリと止まり、それと軌を一にして先物がついに9250円まで下落。ゴールドマンも真っ青。首の皮一枚です。赤字部は11日朝の更新

どこまで続くこの下落。7月10日(金)の市場概況です。

◆日経先物:9250円(-60円)、OSC31%(-5%)6月24日の39%からは底抜け継続。指数値倍率:107(同値)
◆日経平均:9287円(-4円)、OCC28%(-2%)2月20日の28%についに並ぶ。
◆日経平均指数値倍率:108(同値)数字が増えるほど下降傾向を示します。
◆TOPIX:872.5(-1.4) OSC29%(-1%)2月19日の29%に並ぶ。
◆マザーズ指数:430.73(-14.3)、OSC47%(-9%)ついに底抜け状態に。
◆ヘラクレス指数:609.15(-12.09)OSC41%(-6%)3月12日の41%についに並ぶ。
◆ドル・円:92.53円。(46銭円高)OSC43%(+1%)7月6日の51%から円高へと下落中。更新
◆米ドルLIBOR(3ヶ月もの):0.51%(前日比-0.015%)7月9日現在。債券買いのトレンド続く。3月来の高値(金利低下)更新中
◆米10年債利回り:3.297%(-0.106%)-7月10日現在。
◆日経先物イーブニングセッション:9130円(大証終値比-120円)
◆シカゴ日経先物:9215円(円建て、大証終値比-35円)更新
◆NYダウ:8147ドル(-37ドル)OSC41%(+2%)7月9日の39%からコンバージェンス。更新

日経平均は4円安ほどですが、個別株はとてもそのような緩慢な下落とは思えない状態です。後場の寄り付きはまさしく仕掛け的な下落攻勢にあいましたね。

前場から指していた6268ナブテスコの2匹目のドジョウ狙いは、かろうじてキャンセルしましたが、8697大阪証券取引所は403Kの買い玉はあっさりとさらわれ、前日安値も下回る勢いだったため398Kで損切り。この株前場にも-3K喰らっております。実に相性が悪い株です。近寄らない方が良さそうです。勝ったという記憶があまりありません。

それでも、意を決して引け際にかけて9793ダイセキと2914JTを仕込んで持ち越し。JTは素直に先物に反応して買値より1100円安。ダイセキはチョイと下あたりで終了。

日経平均の今日の終わり方なら、持ち越しはルール違反でしたが、ついつい個別株に見とれて買いに入ってしまいました。週明けのギャップアップを期待しての欲が先行したのでしょう。

まあ、駄目なら駄目で撤退ですね。

-------11日朝のコメント-------

ダウとS&P500は小幅下落、ナスダックは小幅上昇で終了。ドル・円も91.8円のレジスタンスは破られず、円高も小康状態。

NY市場はミシガン大学消費者信頼感指数の予想よりも悪化した分は、貿易収支の赤字幅の縮小で少し戻した勘定です。

この貿易収支は3月4月と280億ドルマイナスでしたが、5月は2月と同じ水準の260億ドルマイナスへと戻っております。対米証券投資がこの赤字分を埋めるだけあるのかがどうかが焦点です。

来週は米国債の入札はなく、リスク回避の動きから債券は下落(価格は上昇)。

原油も金も小幅続落。

ということで、昨日までのモーメンタムはそのまま続いておりますが、3月の初めの時のような雪崩を打っての下落にはなっておりません。つまり、まだ株も為替もこの間の上げの、下げ調整の範囲ですね。

来週の企業決算や小売り売上げの結果で、この程度の調整が正しかったのか、それとも、まだまだ調整が足らないのかを見極めようと言うのが、昨日の市場の雰囲気です。

ドル・円が一気に91円台へと突き進んだ今週ですが、これはテクニカルな支持線に置いていたストップロス・オーダーが思わぬ突撃隊によって蟻の一穴を喰らい、オプションバリヤーが突破されて昂進したのが原因との英銀の見立てもあります。従って、これから円買いを進めるのは少々危険とのこと。

なお、ガイトナー財務長官の発言はいろいろ伝わっておりますが、その中では、「ディリバティブ市場の透明性の欠如が金融市場全般への悪影響を増幅させた。」との発言が目を惹きます。

その通りなのです。国際決済銀行の統計が示すように、6京円を上回るデリバティブ総額のどの部分が既に決済され、どの部分がロールオーバーされているのか、これは金融機関のバランスシートには載っておらず、その金融機関のごく少数のエグゼクティブしか知らない筈です。

これは「地下の地雷の破裂」などという生やさしいものではありません。地雷ならそれを踏んだ人間だけが被害を受けますが、デリバティブは世界の金融機関を縦横無尽につなげている信用連鎖ですので、この信用連鎖の命綱が一気に破断した時には、もう地球上に数百発の核弾頭が落とされたような状態になる筈です。

もちろん、当局はこうならないため、またこの隠れた信用不安を世間に露呈させないために、会計手法の変更やストレステストなるパーフォーマンスやらを行ってきた訳です。

しかし、それが功を奏するには1つ条件があります。例えばCDSを構成する原資産(住宅ローン、クレジットカードローン、商業用不動産ローンなど)の価格が、信用連鎖の破断に至る前に底打ちをすることです。

まあ、分かりやすく言うと、生活の資金繰りに困って、やむを得ず我が愛娘を将来引き取る約束で、離れ小島の小金持ちに引き渡してしまった(どこかに飛ばされたデリバティブの損失)親が、世界中に沢山いるようなものです。

この親たちのある程度の破綻は、離れ小島の小金持ちも我慢できますが、(それが今までの現状)これがローン破綻が本格的になり急増すると、もう耐えることができません。

となると何が一番恐ろしいかというと、引き取った愛娘を、生かしているだけでも金がかかるため我先にと売り飛ばそうにも、既に世界にはその更なる飛ばしの相手がいないため、仕方なく、お互いが預かっている愛娘同士を「殺し合う」ことで、無理やり清算する事態ですね。

つまり、ローンを抱えている膨大な人間を全員殺して、預けた放蕩親が持っているわずかな資産をも回収にかかる事態です。これがこの地球規模で起こるとまさに生き地獄・阿鼻叫喚の世界の出現となります。

各国が生きるか死ぬかの大騒動となり、食糧争奪、外国資産没収、局地戦争勃発、貿易の停止などなど、大混乱を引きおこしかねません。

まあ、まさかここまでに至るほど人間の叡知がないとも思えませんが、このようなことを推測させるだけの不透明性が、デリバティブという、現代資本主義が生んだ鬼っ子のような商品には内在していることだけは認識しておいた方が良さそうです。

その意味で、残された時間がどのくらいあるのか分かりませんが、一刻も早く「偽りの夜明け」かもしれないものを、「本物の夜明け」にして欲しいものですね。

楽しい週末に、ガイトナー発言から、全く碌でもない話に発展して申し訳ありません。聞き飛ばしておいて下さい。
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