財政危機に追い込まれているカリフォルニア州が、大幅歳出削減の一環で刑務所費用を12億ドルカットするようです。
ロスアンジェルス・タイムズによれば、これは2万7千人の囚人を釈放することになると報じておりますが、カリフォルニアの刑務所事情と建設の歴史については、あまりご存じない方が多いと思いますので、チョイとご紹介しておきます。
◆カリフォルニアの収監者総数:168000人(2009年)
-施設別内訳(これは158000人だった2002年のデータ、以下同様)
・監獄:33ヶ所
・収容所:38ヶ所
・コミュニティ更正施設:16ヶ所
・母親用の小さな収監施設:5ヶ所
-人種構成内訳
・ラティーノ(ラテン系):35.2%
・アフリカ系:30%
・白人:29.2%
・その他:5.6%
なお、カリフォルニア州には世界最大のヴァレイ州立女性監獄と、第2位の中央カリフォルニア女性監獄を有しております。ともに、3500人規模と巨大。
このヴァレイ州立女性監獄は、1980の女性用ベットを備えて1995年に開設されておりますが、2002年にはこの監獄に3570人の囚人が収容されるという過密ぶりです。
◆世界の収監者総数:約900万人
これには刑務所、留置所、少年院、移民収容施設が含まれております。そのうちアメリカ合衆国の収監者総数は、2007年6月段階で、何と230万人に達しております。
このアメリカの収監者数の世界のそれに占める割合は25.5%となり、アメリカのGDP(2007年)が世界に占める割合の25.4%とほぼ同じです。(世界の人口比ではアメリカは5%以下)日本は2000年段階で55000人と推計されております。ちなみに政治が不安定なタイは2009年現在20万人を収監。
◆カリフォルニア州の監獄建設の推移:
-最初の州立監獄:サンクエンティン監獄(1852年建設)
-次に建設した監獄:フォルサム監獄(1880年建設)
-3番目に建設した監獄:テハチャピ女性用監獄(1933年建設)後に男性用に転用。
1852年~1955年までの103年間での監獄建設総数:9ヶ所
1962年~1965年に建設:州の更正センター+収容所2ヶ所
以後、10年間は新たな施設建設はなし。
1984年~1989年の5年間での監獄建設総数:9ヶ所
1990年代以降の建設総数:12ヶ所
赤字と青字の対比にご注目下さい。
新自由主義のレーガン政権以降に刑務所建設の一大プロジェクトが始まったことを示しております。
なお、刑務所内の実態は、民主主義国家アメリカにおいても例外ではなく、奴隷制時代に負けず劣らずの懲罰的暴力と性的陵辱が横行しております。(米国監獄における女性に対する性的陵辱に関する人権監視団体ヒューマン・ライツ・ウォッチの1996年の報告。内容はあまりにひどいので省略。)
以上ですが、これはカリフォルニア州の財政事情の酷さどころの話ではありませんね。
こうした刑務所建設ラッシュは、より多くの人々を刑務所に入れてしまえば、社会はそれだけ安全になるとアメリカ社会が信じたことが背景にありますが、実は1980年代以降のこの建設ラッシュによる大量収監と犯罪発生率とは全く関係なかったことが後に立証されております。
その意味では、今回の大量釈放によってカリフォルニアの治安が悪化するとは限りません。ならば最初から収監しなければ良いではないかと思いますが、この監獄制度は死刑制度の次にこの社会が取り組まねばならない課題だと思っております。
ロスアンジェルス・タイムズによれば、これは2万7千人の囚人を釈放することになると報じておりますが、カリフォルニアの刑務所事情と建設の歴史については、あまりご存じない方が多いと思いますので、チョイとご紹介しておきます。
◆カリフォルニアの収監者総数:168000人(2009年)
-施設別内訳(これは158000人だった2002年のデータ、以下同様)
・監獄:33ヶ所
・収容所:38ヶ所
・コミュニティ更正施設:16ヶ所
・母親用の小さな収監施設:5ヶ所
-人種構成内訳
・ラティーノ(ラテン系):35.2%
・アフリカ系:30%
・白人:29.2%
・その他:5.6%
なお、カリフォルニア州には世界最大のヴァレイ州立女性監獄と、第2位の中央カリフォルニア女性監獄を有しております。ともに、3500人規模と巨大。
このヴァレイ州立女性監獄は、1980の女性用ベットを備えて1995年に開設されておりますが、2002年にはこの監獄に3570人の囚人が収容されるという過密ぶりです。
◆世界の収監者総数:約900万人
これには刑務所、留置所、少年院、移民収容施設が含まれております。そのうちアメリカ合衆国の収監者総数は、2007年6月段階で、何と230万人に達しております。
このアメリカの収監者数の世界のそれに占める割合は25.5%となり、アメリカのGDP(2007年)が世界に占める割合の25.4%とほぼ同じです。(世界の人口比ではアメリカは5%以下)日本は2000年段階で55000人と推計されております。ちなみに政治が不安定なタイは2009年現在20万人を収監。
◆カリフォルニア州の監獄建設の推移:
-最初の州立監獄:サンクエンティン監獄(1852年建設)
-次に建設した監獄:フォルサム監獄(1880年建設)
-3番目に建設した監獄:テハチャピ女性用監獄(1933年建設)後に男性用に転用。
1852年~1955年までの103年間での監獄建設総数:9ヶ所
1962年~1965年に建設:州の更正センター+収容所2ヶ所
以後、10年間は新たな施設建設はなし。
1984年~1989年の5年間での監獄建設総数:9ヶ所
1990年代以降の建設総数:12ヶ所
赤字と青字の対比にご注目下さい。
新自由主義のレーガン政権以降に刑務所建設の一大プロジェクトが始まったことを示しております。
なお、刑務所内の実態は、民主主義国家アメリカにおいても例外ではなく、奴隷制時代に負けず劣らずの懲罰的暴力と性的陵辱が横行しております。(米国監獄における女性に対する性的陵辱に関する人権監視団体ヒューマン・ライツ・ウォッチの1996年の報告。内容はあまりにひどいので省略。)
以上ですが、これはカリフォルニア州の財政事情の酷さどころの話ではありませんね。
こうした刑務所建設ラッシュは、より多くの人々を刑務所に入れてしまえば、社会はそれだけ安全になるとアメリカ社会が信じたことが背景にありますが、実は1980年代以降のこの建設ラッシュによる大量収監と犯罪発生率とは全く関係なかったことが後に立証されております。
その意味では、今回の大量釈放によってカリフォルニアの治安が悪化するとは限りません。ならば最初から収監しなければ良いではないかと思いますが、この監獄制度は死刑制度の次にこの社会が取り組まねばならない課題だと思っております。